第33話はアテネ近郊キフィシアの市営スタジアム。キプロスからアテネに到着していきなり地下鉄の入り口が塞がれている。ストライキで利用できない人災など人生初体験。幸いバス路線は活用できたものの、当初の二倍近く歩かされたのは昨年の三月。酷暑であったならば間違いなく泣きが入った徒歩二時間の移動。観光客で賑わうアテネ中心部とは打って変わって落ち着いた高級住宅街に収容人員千五十人のこぢんまりとしたスタジアム。キフィシアとA.O.K.エルピドフォロスが合併した新興クラブは2023–24シーズンにギリシャ·スーパーリーグ1初参戦。
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理智の都に去ったセルビア系オ-ストリア人
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八月十九日のアウェ-開幕戦はPASヤニナに0-3の完敗。この日主将章を腕に巻いたのは六十六番のセントラルミッドフィールダー。二部降格したイオニケス·ニケアスとの契約が満了。フリ-で獲得した新加入のエマヌエル·シャーキッチ:Emanuel Sakic【1991年1月25日生】。名前はセルビア系でもオーストリアのウィーン出身。同市で受け入れた最大の移民送出国が旧ユ-ゴなので珍しくもない。ラピドのユ-スアカデミ-で育ち自国のアルタッハから’18年のアトロミトス移籍で国外へ、一年でグラ-ツで母国復帰となるのだが、’20年のアリス·サロニキからはギリシャに定住。クラブを四つほど渡り歩いたオ-ストリア人。二節は本職ともいえる右サイドバックでスタメン。三節かつて在籍したアトロミトスとの試合での嬉しい初勝利の瞬間を、ピッチ上で(後半三十分からの途中出場)で味わう。ギリシャ一部百試合出場まであと二試合というところでブルガリアのCSKAソフィアとの二年契約が電撃発表されたのは少々意外。ギリシャと比べれば北隣のブルガリアリーグのレベルは一段落ちる気もするが、同国屈指の強豪で欧州の道が開けるのであれば栄転の気がしなくもない。この移籍にも金銭は発生していない。
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ところでこのソフイアなる首都名。古代ギリシャ語の知慮や叡智を意味するソピアーを語源としギリシャ王コンスタンティノス一世妃も命名されたのはわかるが、スペイン、ロシア、スウェーデン、イギリス、ポーランド、デンマークなど各国王室に大人気。美貌よりも知性が重要なのか。