121〗Stade de Gerland /リヨン

半世紀を経て知ったボニーMの衝撃
永遠に輝くジャマイカの歌姫

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ドイツのミュージシャン、フランク·ファリアン:Frank Farian がプロデュースした『ダディ·クール』はボビ-の口パクMCとコーラスが絶妙に絡みあい英国でも大ヒット。そして『Sunny』でリードボーカルを務めたリズ·ミッチェル:Liz Mitchell【1952年7月12日生】には六十過ぎのジジイが鼻血が出そうなほど衝撃を受けた。イギリス領ジャマイカのクラレンドン教区に生まれたミッチェルが家族とイングランドのハーレスデンに移住したのは十一歳の時。その後西ドイツではレス·ハンフリーズ·シンガーズの一員に。当時二十五歳のリズの映像を片っ端から探して試聴してみた。ビジュアル重視のためlip sync=口パクのものが大半であるが、生の歌声が聞ける貴重な映像もあった。五十年前のリズは個性的な声質もさることながら、ルックスが抜群に良い。ボビ-との絡み以外でもチャーミングな笑顔を絶やさない。しなやかな肢体が繰り出すダンスも驚く程うまい。彼女のリズム感の根底にあるのは生まれ育ったジャマイカの環境と体内に受け継がれた血。白人や黄色人種ではあのナチュラルなグルーヴ感は出せない。

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>BONEY M →youtube『Sunny』1976

大航海時代、先住民を一掃したスペイン人がサトウキビ農園の労働力としてアフリカから多くの黒人奴隷を移住させた。ジャマイカの暗黒の歴史は他の中南米カリブ諸国と変わらない。鉱物資源が乏しいこともあってスペイン人が手放し十七世紀以降は英国の植民地に。
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1962年に独立した同時期、スカ:Skaが発生したのを皮切りにジャマイカ特有の音楽文化は世界に影響を及ぼし、音楽大国としての地位を確保した。年明けからはジャマイカ人と聞いてまず頭に浮かぶのはボルトでもウィットモアでもなく五十年前に降臨した黒い女神リズ·ミッチェルに脳内がアップデートされた。しかしネットは頼みもしないのに、80年代、21世紀から現在までリズの情報や画像を流してくるから余計なお世話。今更七十過ぎのババアに興味はない。心を奪われ頭の中にストックするのは’76年の『Sunny』を歌うリズだけでよい。〖第百二十一話了〗
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⏹️写真/テキスト:横澤悦孝 ⏹️モデル:Mariana