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サッカー日本代表vsオーストラリア代表 ~適材適所のアギーレ采配も、光ったキャプテンの存在感

今野のボール奪取力を活かしたトランジションサッカーで形成逆転

 後半、日本は”ボールを持てないと凡庸な選手”になってしまいがちな遠藤に替えて、ボールを奪う事に長けた今野を投入。そのまま長谷部とダブルボランチを組ませる事で中盤でのボール奪取から素早い攻守の切り替えで一気にフィニッシュへ持ち込むというトランジション志向のサッカーへシフト。

 開始早々は押し込まれたものの、いきなり50分にその今野が中盤で相手の軽率なパスを奪って自ら左サイドをドリブルで持ち上がり、中央の香川へショートクロス。香川のワントラップからのシュートはGKに阻まれたものの、今野投入と戦術の微調整が垣間見れた場面でした。

 52分にも右サイドからの鋭い攻撃からボールを奪われた後の吉田の瞬時の寄せで再び奪い返したボールがゴール前へ。GKに防がれたものの、岡崎が反応する決定機も演出。

 そして61分でした。本田の右CKがニアサイドに密集する両チームの選手の上を抜け、ゴール前に誰もいない中、ファーサイドまで流れたボールをフリーの今野がヘッドで押し込んで日本が先制。1-0。

 その後は57分に投入された乾がセレッソ大阪のホーム=長居への凱旋で元セレッソホットラインとなる香川とのコンビでドリブルやワンツーを駆使しての華麗な攻撃も増やしていきました。

 68分には速攻から本田のパスに左サイドから抜け出した岡崎のシュートはGKに防がれたものの、その左CKからでした。左CKが逆のサイドライン付近まで流れるも、森重が拾って対面するDF2人相手に股抜きをしての突破で置き去りにしてエリア内に侵入。ゴール前へ速いクロスを送ると、岡崎がヒール気味の巧みなキックで合わせて2-0となる追加点。乾がさらにキレのある動きを見せてゴールに迫ったり、途中出場のFW豊田が終盤に右からの高徳のクロスを豪快にヘッドで叩いたシュートもあったものの、さらなる追加点はならず。

 その後、豪州が”日本キラー”のティム・ケーヒル等FWを投入して4-2-4の布陣になった事で日本にとっては中盤にスペースが出来た事で主導権を握りやすい試合展開に。

 ただし逆に93分、中盤で今野が中途半端な対応でルーズボールを追わなかった一瞬の隙、左クロスからT・ケーヒルにヘッドで決められた2-1。

 試合はそのまま2-1で締め、日本代表の今年の試合日程は全て終了。アギーレ監督就任後初の連勝で日本代表の11月シリーズを終えました。

ザッケローニが陥っても仕方ない袋小路 〜”ミスター・コンステンシー”長谷部の存在感

 この試合のマン・オブ・ザ・マッチを選ぶなら試合の流れを変えた今野か、90分通して1人だけアグレッシヴにプレーし続けた高徳。
 
 ただ、この日は”ボールを持つ”という持ち味を発揮できないながらもポジショニングの妙でスコアレスを維持した遠藤、逆に”ボールを奪いに行く”という試合の性格を変えた今野、流れたを変えたアギーレ監督のシステム変更など様々な要素があって勝利に繋がった中で、長谷部の存在感の大きさを感じました。

 遠藤にはスピードと俊敏性、今野にはポジショニングと視野の狭さという短所があり、共にリーダーシップに欠ける点もあり、周囲の強力がなかったり、特徴が合うチームでないと活きない中、長谷部はどんなチームでもどんな戦術を採用するにしても、どんな試合展開にでも必要不可欠な存在である事を感じました。
 ガンバサポーターの中には、「遠藤でなく、長谷部に替えて今野投入をすれば~」と考える人も多いと思いますが、上記のように彼等2人はガンバでも阿部浩之や大森晃太郎のサポートなしではやや不安があります。もしかしたら、昨年の7月~10月頃のJ2でも失点が急増していた時期のようになっていた可能性もあります。

 遠藤に出来ない事、今野に出来ない事を長谷部には出来る。それもどんな試合展開でも。ミスも少なく、いかにも”ミスター・コンステンシー”(安定感)と言えるキャプテンの存在感は凄みを感じました。この日は欠場した右SB内田と共に、長谷部は自立した選手と言えるのかな、と感じた2試合でした。
 また、ブラジルW杯でザッケローニ監督がボランチの起用法が遠藤含めて中途半端な采配になったのも、やはりこの”ミスター・コンステンシー”の大会直前での負傷からの回復を待ち続けていたのだろうな、という事と、ザックが待つに値する選手であるパーソナリティの持ち主なのだとも実感した次第でした。

 では、最後に個人採点をお楽しみ下さい☆

【選手採点・寸評】

先発出場
選手 採点 一言
GK川島永嗣 6.0 読みの良い飛び出しあり、ファインセーブもあり。結局、西川との序列は変わらないという事だろうか・・・。ただ、良いセーブは見せたが、統率力やコーチングでは試合勘不足からか、強気な姿勢が見えない。
DF酒井高徳 6.5 アギーレ体制になってから最も安定している選手かもしれない。というよりも、監督が代わった事と長友や内田に負傷が多発している現状で最大限のアピールをする姿勢に好感と応援したくなる気持ちが自然と沸いてくる。酒井宏樹ー清武弘嗣のコンビが代表定着、そして、代表漏れを共有しているように、彼の活躍は蒼黒の39番にとって非常に良い材料でもある☆
DF吉田麻也 5.5 試合を通して不安定だった。ボールを奪うべきポイントで付いていけなかったり、精度の低い縦パスも多かった。
DF森重真人 6.5 苦しい時間でもしっかり跳ね返したり、読みの鋭さでラストパスを阻んだり。攻撃面では縦パス1本で決定機になるようなボールを供給し、W杯直前のザンビア戦を彷彿とさせる2点目のアシストなど幅広く貢献した大黒柱。
DF太田宏介 6.0 守備面で相手に狙われた感がある中では耐えた。それでいて、独特の多種類のキックから放つクロスでアクセントを付けているため稀少価値の高さは大きな戦力。長友の代役としてFC東京が獲得した選手が代表でもその位置を担う。FC東京のスカウトレベル、センスも称賛されて良いんでしょうね☆
MF長谷部誠 6.5 プレー自体は6.5だが、存在感を考えれば8.0以上。遠藤にも今野にも出来ないプレーが出来る上で1人でもアンカーがこなせる稀有な存在。それでいて主将もこなしてCBコンビとの連携を密にとるなど、彼ひとりで3人分の価値はあると言えるでしょう☆
MF遠藤保仁(45分まで出場) 5.5 好パスも配球し、ポジショニングの妙で苦しい展開を0-0で終える事が出来たが、持ち味と言う意味や、彼にしか出来ないプレーは出来なかった。
MF香川真司 5.5 こういう密集した局地戦になると3センターとしては機能できず。トップ下になってからは思いっきり受け手だけになろうとするのも正直微妙。アギーレとしては4-2-3-1というよりも4-2-1-3というイメージでバイタルでボールを受けるために配置を変えたと思うが、中盤でなくアタッカー然とし過ぎたのでは?乾投入後は良い方向に。
FW本田圭佑 6.5 圧倒的なキープ力を見せたり、遠藤の負担を軽滅する守備面での献身。
FW岡崎慎司(77分まで出場) 6.5 アギーレ体制になって自身初ゴール。前半も苦しい時間帯で後方からのロングボールを引き出す動きも利いていた。
FW武藤嘉紀(57分まで出場) 5.5 良い仕掛けもあったが、左サイドでの太田とのFC東京コンビが、あまり補完する事がなかったのは残念。