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プレナスなでしこリーグ1部第2節、伊賀FCくノ一VS日テレベレーザ〜苦戦を完勝に導いた“女・遠藤保仁”

 この日の先発メンバー発表の際に改めて感じたが、スタメン11人全員が代表経験者で占められている超豪華布陣だ。コスタリカ戦のメンバーに招集された7選手はもちろん先発出場。それ以外にも右SBの清水梨紗はU23代表まで各年代の主力で、今後は「高倉チルドレン」としてなでしこジャパンでも招集されるのは間違いないだろう。DF村松智子やMF上辻佑実も代表経験があり、主将のDF岩清水梓はもちろん代表通算122キャップを記録するレジェンド的存在だ。

 2年連続でリーグMVPにも選出されている日本代表MF阪口夢穂と昨季リーグ得点女王の同代表FW田中美南ら、昨季のリーグベストイレブンにも7人が選出。個としても組織としても完成度が高い上に、平均年齢22歳前後で構成されている現在のベレーザは絶対女王にして“伸びシロ”も抜群だ。

 対する伊賀FCくノ一でコスタリカ戦に招集されたのは追加招集されたMF杉田亜未のみ。同じカテゴリーとはいえ、戦力的には大きな差がある。

 また、昨季途中に就任した伊賀の野田朱美監督にとっては、選手としても指導者としても過ごした古巣がベレーザ。昨季後半戦で対決した際は0-1とベレーザが辛勝している。伊賀にもベレーザ流のポゼッションサッカーを植え付けた野田監督がその古巣を相手にどんなサッカーを仕掛け、どの程度それらが通じ、結果を分けるのか?様々な注目ポイントを持って観戦した。

序盤は伊賀のプレスに苦戦したべレーザ

 13時にキックオフされた試合は、伊賀・野田監督のコメント通り、「試合の入りは戦術的にはまって、優位に試合を進めることができた」。

 伊賀は最前線からのプレスにより、中盤の守備でボールではなく人につくマンツー・マン守備がハマり、インテンシティ(プレー強度)の高い奇襲が奏功した。昨季後半戦からFWとしてプレーする伊賀・杉田が相手DFのボールを奪って自らエリア内に持ち込んでのシュートが飛び出したように、この戦略で伊賀は開始10分ほどはボールも支配するなど狙い通りに試合を運んだ。

 ただ、試合を進めながら修正を施せるのが女王が女王である所以だ。伊賀のプレスを回避するのなら、敢えて自陣に引いてロングボールを蹴り、前線の個人技に長けた攻撃陣に託すカウンターサッカーに徹してもベレーザなら勝機も十分ある。

 しかし、ベレーザの修正はそうではなかった。もしかしたらベレーザというチームではなく、個人だったかもしれない。

違いをもたらした“女・遠藤保仁”阪口夢穂

 ボールを持つとMF阪口が最終ラインに入り、より低い位置から攻撃のスイッチとなる縦パスやサイドへの展開を主導した。阪口はFWとしてプレーしたシーズンもあるほど、得点力にも長ける選手だ。それとは逆に攻撃のスイッチを入れるために頻繁にDFラインまで下がってプレーする時や、得点が欲しい場面ではスクランブル体制でDFとしてもプレーできるし、ゴール前で自ら得点を挙げるようなプレーもできる。

 阪口は、「私は得点が欲しい時と、パスを回そうと思う時で全然違うポジションをとる」。だから、「私がどこにいるか?を見ていれば狙いが分かる」と語る。

 この日はまず伊賀のプレスを回避するために後方で数的優位を作るため、阪口はDFラインに下がって起点となった。CB2人とボランチの阪口、あるいはもう1人のMFも絡んで中央でビルドアップに積極的に関与する事により、伊賀のプレスを剥がす事に成功した。

 前線の中央にはFWと攻撃的MFの4人が流動的にポジションを入れ替えて中央突破で機動力を出しつつ、阪口ら中央の選手が後方で起点とカヴァー役を担っているので、右SBの清水の攻撃参加でサイド攻撃も威力を出した。中央でもサイドでも脅威を与える変幻自在の攻撃が始まったのだ。

 34分には伊賀がクリアした直後のDFラインの押し上げで裏をとり、FW田中が相手DFと入れ代わって抜け出し、0-1。45分には相手のミスからボールを奪ってショートカウンターを発動。ぺナルティエリア内でも速いパス交換を駆使し、再びFW田中が決めて、0-2。

 後半、開始早々に再びカウンターから抜け出し、先日のアルガルベ杯で代表デビューし、初得点含む2得点2アシストを記録したMF長谷川唯が3点目を奪って勝負あり。その後は明らかにテンポを落としてカウンター狙い1本に切り替えたが、2年連続のリーグMVPにして、代表でも背番号10を着る、阪口の凄味を感じさせた試合だった。

 いつも飄々と、全力疾走はあまりしなくともプレー範囲は凄まじく広い。ドリブルで複数人を抜けないし、スピードもさほどない。でも、おそらく狙えば自らが得点も量産できる。その姿はまさに男子の日本代表で最多キャップ152試合を記録しているMF遠藤保仁(ガンバ大阪)のようだった。

 これから筆者は、阪口夢穂を“女・遠藤保仁”と表現したいと思う。

 P.S.この試合の伊賀FCくノ一からの視点は、筆者のブログからどうぞご覧ください。

About the Author:

hirobrown
創設当初からのJリ−グファンで各種媒体に寄稿する副業サッカーライター。好きなクラブはアーセナル。宇佐美貴史やエジル、杉田亜未など絶滅危惧種となったファンタジスタを愛する。趣味の音楽は演奏も好きだが、CD500枚ほど所持するコレクターでもある。 サッカー歴:中学・高校時代にサッカー部に所属。 中学時は大阪市トレセンに選出される。 その後は競技者としてのサッカーから離れていたが、サッカー観戦は欠かさない 。

One Comment

  1. Jリーグファン 2017年4月14日 at 7:40 PM - Reply

    非常に良い記事でした。阪口選手ってあんまりそのす凄さを伝えられてない気がするので、とても興味深く読ませていただきました。たぶん、こうした内容の記事は他のサイトや雑誌もしてないと思いますよ!なので今後も楽しみに読ませていただきます!

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