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クラブW杯準々決勝、マゼンベVS広島〜世界へ向けての紫の存在証明

世界へ向けての”紫”の存在証明

【FIFAクラブW杯・準々決勝】
マゼンべ0-3サンフレッチェ広島
<得点者>
[サンフレッチェ広島]塩谷(44分)、千葉(56分)、浅野(78分)

【マッチレビュー】劣勢ながらも柔軟な試合運びで先制

 開催国王者として今大会への出場権を獲得したサンフレッチェは12月10日の開幕戦でオセアニア王者のオークランド・シティと対戦。昨年の同大会では3位に躍進しているとはいえ、ニュージーランドのセミプロ集団を相手に、森保一監督はCS2試合で使った全く同じ先発イレブンから6人の大幅な変更で挑んだ。開始早々に野津田岳人の強烈なミドルシュートのこぼれ球を日本代表歴のあるFW皆川佑介が押し込んでサンフレッチェが先制。しかし、得点直後に野津田が、後半開始早々にも柴崎晃誠と清水航平が一気に負傷。ただ、温存されていたFWドウグラスが投入されると、彼を起点に攻撃のバリエーションを拡げ、彼が塩谷司の追加点にも絡んで2-0。そのまま試合運びの上手さを活かして完封勝利を飾った。

 しかし、開幕戦で負傷したMF野津田は全治8週間、柴崎は同3週間と診断されて共に今大会の残り試合を欠場する事に。清水こそ大事に至らなかったものの、野津田も柴崎もシャドーを定位置にする選手。同ポジションで負傷者が重なった事で、この日のシャドーの人選が注目ポイントに。開幕戦で温存された数多くの選手が先発に復帰する中、シャドーの位置に抜擢されたのはMF茶島雄介。森保監督は今季のリーグ戦では3試合(先発1)122分間の出場のみに終わっている小柄なテクニシャンに賭けた。また、チーム全体としても開幕戦から先発メンバーを6人変更。アフリカ王者のマゼンベへ挑む一戦を筆者も現地で観戦した。

 サンフレッチェはアフリカ特有の想像を越える身体能力を備えるマゼンべに対しても、普段通りの低い位置からのビルドアップを徹底。ただ、序盤から相手の無理が利く身体的アドバンテージの前に、決して思い通りにボールを運べていたわけではなかった。リスクも織り込み済みとはいえ、マゼンベに低い位置でボールを奪われてはミドルシュート攻勢から度々CKを奪われて苦しい時間も多かった。前半だけでマゼンベに8本のCKを与えていた。

 しかし、サンフレッチェの徹底したビルドアップに対して、マゼンべは高い位置からプレスをかけて来た事で、相手のDFラインの裏にはスペースが拡がっていた。つまり、中盤への縦パスをターンして受けられれば、佐藤寿人が裏へ抜け出すチャンスボールに直結する攻撃を仕掛けていた。また、マゼンベがそこでラインを引くする選択をとれば中盤がガラ空きとなっていた。マゼンべのプレスは前線と最終ラインで連動出来ておらず、攻守共に個人の卓越した能力で違いを作って来たものの、まだまだ身体能力に任せたプレーの多い“典型的なアフリカのチーム”だった。それを時間の経過と共に見極め、攻略していく過程に置いて、この日先発に抜擢されたMF茶島がアクセントになった。小柄で小回りの利く茶島のアジリティ(敏捷性)には異次元のフィジカルを持つアフリカ系選手の身体機能でも対応出来ず。彼が中盤やバイタルエリアでのギャップで“間”を突いてボールを収め、ドリブルで仕掛けるプレーが出始めるとサンフレッチェがリズムを掴み始める。

 そして前半終了間際の44分、右CK茶島のキックからニアに飛び込んだDF佐々木翔がダイビングヘッドでゴール前へ流すと、走り込んだ塩谷が押し込む相手が反応も出来ない完璧なセットプレーで先制。サンフレッチェが良い時間帯で貴重な先制点を挙げ、そのまま前半を1点リードで折り返す。

冴え渡る森保采配で時間の経過と共に完勝