Foot ball Drunker 〔52〕visiting 『Marcantonio Bentegodi』ヴェローナ / イタリア

シェイクスピア戯曲の街に二つのフットボールクラブ

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16世紀に主権国家が形成されるようになり、近代ヨーロッパは幕を開ける。1559年の講和条約で半世紀に渡るイタリア戦争が終結。戦場となったイタリアではまだ都市国家や小君主国が威勢をふるっていた。当時人口18万人規模のロンドンやパリに対してナポリ王国の人口は15万、共和国制のヴェネツィアは10万人を超えている。ローマ、ミラノ、フィレンツェ、ヴェローナは5万人以上が暮らしており、ヴェローナはヴェネツィア共和国に属していた。
ウィリアム·シェイクスピア:William Shakespeare【1564年4月26日生-1616年4月23日没】の戯曲『ヴェローナの二紳士』や『ロミオとジュリエット』の舞台として知られ多くの観光客がこの街を訪れる。

カバー写真はシェイクスピア作品を愛する真面目系文学少女のイメージで、手にしているのはキエーボ・ヴェローナVSインテル戦のチケット。

Veronaと聞いてスペルは異なるが神話好きの方なら戦争の女神《Bellona》を頭に思い浮かべるはず。勝利の女神ヴィクトリアのVを併せるとかなり強そうな都市名だが、この街のフットボールクラブに勝利の女神は厳しい。


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街中は中世の風情。ローマ帝政時に造られた円形闘技場=コロッセオも人気のスポット。ポルタヌォーボ駅前からバスに乗ったが徒歩移動も苦ではない距離だった。

第52話は39,211人収容のマルカントニオ·ベンテゴディ·スタジオ:Marcantonio Bentegodi。

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円形闘技場を彷彿させる曲線のフォルム。照明鉄塔を四コーナーに建てるのではなく屋根の下に投光器設置方式を採用している。
この試合長友佑都に6.5をつけたのはガゼッタ紙。その活躍は同胞として喜ばしく、そして誇らしくもあった。

2016年のエラス·ヴェローナで輝いた三人

エラス·ヴェローナの試合を取材したのは2016年。当時印象に残ったプレーヤー。まずはDaniel Bessa【1993年1月14日生】。15歳で祖国ブラジルを離れインテルのユースに。’12年トップチームに昇格し毎年レンタル移籍を繰り返していたが、17年エラス·ヴェローナに完全移籍。現在プレーするFCイティハド·カルバ:Ittihad Kalba (UAEガルフ·リーグ)は11番目のクラブ。エラスでの出場試合数は105。


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同じくブラジルがルーツのロムロ:Rômulo【1987年5月22日生】※写真左] は、母国に戻り今年クルゼイロで現役を退いた。
伊国6クラブを渡り歩き計210試合に出場。半数以上の124試合が2013年から18年まで在籍したヴェローナでの足跡。’14年にはアイルランドとの国際親善試合の際、アズーリに招集されている。