Foot ball Drunker 〔106〕visiting 『Stadio Alberto Picco 』ラ·スペツィア/ イタリア


◆◆◆◆◆

先月1日、トリノに買取オプション付きのレンタル移籍で加入したオケレケ。3月3日ホームでのフィオレンティーナ戦はベンチ入りも出番はなし。一方ヴィオラベンチにはクアメの姿は見あたらず。

年明けのアフリカネイションズカップ、優勝の美酒に酔いしれた26歳のストライカーは、イタリアを離れたことで悲劇に見舞われる。2月20日から21日にかけての夜に発熱し、検査の結果マラリアに感染していることが判明した。 「治療を受けており、数日後に更なる検査を受ける」とクラブ側の声明。以後欠場が続いており復帰時期は未定。因みにマラリア=Malariaは悪=Malと空気=Ariaを組み合わせたイタリア語。


◆◆◆◆◆

ヌラ·アブドゥラヒ:Nura Abdullahi【1997年8月17日生】は2013年スペツィアに加入。’14年10月に17歳のナイジェリアコンビは、仲良くトップチームのベンチに。15年に二人は永遠の都へ貸し出されると翌16年ASローマは四年契約移籍金は総額500万ユーロで二人を買い取る。プリマヴェーラではアルベルト·デ·ロッシ:Alberto de Rossi 【1957年9月9日生】監督率いるチームで22試合に出場し4ゴールを記録した。UEFAユースリーグでもジャロロッシのユニフォームで国際試合を経験、’16年2月に「いつかチャンピオンズリーグで優勝したい」と自身の夢を語っていたアブドゥラヒは天国から地獄に突き堕とされる。

心臓に疾患が見つかりドクターストップ。ローマはクラブスタッフとして残る道を薦めるが、本人は現役復帰を諦めきれない。
盟友サディクは、20年12月ナイジェリア国内メディアのインタビューに「これまで以上にハードなトレーニングを行っている。彼は戻ってくる。」とコメント。思えばアブドゥラヒの心臓疾患に衝撃を受け、誰よりも復帰を望んでいるであろうサディク。

◆◆◆◆◆

それでも一昨シーズン(21‐22)前、二度目の大掛かりな手術を終えてイタリアに戻った記事を見つけた時には些か目頭が熱くなった。健康状態は良好と判断は下されたが、ASローマ広報から復帰に関する情報はその後途絶え現在に至る。


◆◆◆◆◆

最近はプレーは精細を欠き厳しい批判に晒されているウマル。右膝前十字靭帯断裂の重傷から復帰した彼の周りに漂う重苦しい空気。それでも道半ばで倒れた盟友の無念を思えば、“艱難汝を玉にす”、現状の試練を乗り越えて行けるのではないだろうか。[第106話了]