Foot ball Drunker 〔42〕visiting 『Edmond Machtens Stadium』ブリュッセル/ベルギー  

ブリュッセルでの銃殺にスタジアム震撼

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アウェ-のサンド二で貴重な勝ち点1を持ち帰ったイスラエル代表をフレ-ムに収めたUEFAネーションズリーグのグループA2第五節。この結果ベルギー代表との最終戦で降格回避の可能性を残した。奇跡の四点差勝利は成らずとも今大会初勝利に拍手を贈りたい。この顔合わせ、9月6日の前回はベルギ-協会は無観客開催を希望しにもかかわらず、それすらブリュッセル市をはじめとする各自治体が拒否。結局ハンガリーのデブレツェンで行われた事は記憶に新しい。その理由は言うまでもなく、昨年発生した銃撃事件。2人のスウェーデン人が射殺された為、欧州選手権予選のベルギー対スウェーデン戦は試合前半のみで終了する異例の事態をまねいた。


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この時ボードゥアン国王スタジアム:King Baudouin Stadiumの観客には、安全上の理由からスタジアムにとどまるよう指示が出されている。逃走した容疑者は、スカールベークで警官に撃たれて死亡した。前轍を踏むのは懲り懲りとハンガリ-開催の流れに。
そういえばブリュッセル南駅付近で邦人が窃盗や強盗に遭う被害が多発。加害者の違法薬物摂取が治安を悪化させているようで、
在ベルギー日本国大使館からも注意喚起の告知がされていた。
欧州主要都市で最も盗難に遇う確率が高いと聞くがこれは事実で、筆者も体験者のひとり。EUの首都は陽が暮れると別の顔を覗かせるから用心に越したことはない。


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2016年はベルギーと日本両国が1866年に外交関係を樹立してから150年の記念年。関連事業の打ち合わせでブリュッセルへを訪問した直後に同時多発テロが勃発した八年前。連日の報道でテロリストの多くがモレンベーク地区の出身であることを知る。同地区住民の半数を占めているのはイスラム教徒。


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60年代の高度経済成長期、多言語都市ブリュッセルに移り住んだもののそれまでアラビア文字での生活しかしておらず、アルファベットにすら慣れない異邦の民は痛烈な社会的差別を味わう。オイルショックで一転経済不況になると、モレンベークから撤退する企業が続出。同地区出身の若者たちの失業率が高まる一方。
ベルギー王国は、連邦政府、言語共同体政府、地域政府で構成され、特に首都圏は行政区が複雑に分かれている為、刑事警察機構内の情報共有、即ち横の繋がりが弱い。その隙間からジワジワとテロリストが侵入してきて現在の犯罪多発地区へと変貌を遂げた。


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ブリュッセル南駅付近に集中するフットボールクラブ


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