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J1リーグ第29節 柏レイソルVSガンバ大阪 ~またも”太陽”の影になった蒼黒

【ベンチ入り】
GK16.河田晃兵、DF6.金正也、22.オジェソク、FW9.リンス

今野欠場を利用しての川崎撃破でリーグ7連勝 ~3冠の可能性が高まる中で4人の先発替えと布陣変更

 ガンバはブラジルW杯による中断をリーグ16位と言う降格圏で迎えたものの、中断明け後の5連勝で一気に盛り返し。連勝ストップ後はやや停滞したものの、新潟を5-0で粉砕して復調し、カップ戦はナビスコカップで決勝進出、天皇杯でもベスト4進出を決め、Jリーグ史上2000年の鹿島アントラーズ以来2度目の3冠の可能性を残しています。

 特にアジア大会への派遣と負傷欠場によりCB西野貴治に替わって丹羽が入って以降は内容面の濃い勝利が続いており、ナビスコカップ準決勝の2試合では5-4と日本代表でFW小林悠と負傷のMF中村憲剛を欠いた川崎フロンターレに2試合合計スコアで勝利。
 しかし、その第2戦は内容面では完敗。前節のリーグ戦では小林と憲剛が復帰した川崎相手に進化が問われましたが、中盤で積極的に前でボールを奪おうとする今野が出場停止となった事で、先発に抜擢された内田達也がポジショニングセンスで川崎が使うバイタルエリアを封鎖する”待つ守備”をチーム全体として浸透。
 結果として、セットプレーからの1点を守り勝つ1-0での勝利により、現在Jリーグで最も美しいサッカーをするチームに完封勝利しての7連勝を達成。首位・浦和レッズが敗れた事で勝点差4の2位となって3冠への現実味が増してこの日を迎えました。
 今月6試合目の過密日程の中、長谷川健太監督は出場停止から今野が復帰した他にもSB藤春・MF明神・FW佐藤と合わせて4日前の川崎戦から4人の先発メンバーを変更。また、9月にこの日の対戦相手となった柏と同じ【3-4-2-1】のシステムを取るサンフレッチェ広島との3連戦時に大成功した中盤をダイヤモンドとする布陣へ変更してスタートしました☆

【ネルシーニョとレイソルの歴史】「哲学はヴィトーリア(勝利)

“太陽王”の影になったガンバにとっての負の歴史

 柏は現在J1リーグ8位でリーグ優勝の可能性もほぼ消滅。カップ戦も全て敗退しているため、すでに5年半に渡って指揮を執ってきたネルシーニョ監督も今季限りで退任。J2降格濃厚の状況で2009年途中に就任したネルシーニョ監督の下、その年はJ2へ降格したものの、翌2010年にはJ2で世代交代を施しながら圧倒的な強さを披露して独走優勝。その勢いと安定感は以降も続き、翌年にはJリーグ史上初のJ1昇格初年度のリーグ優勝の偉業を達成。この時期にDF酒井宏樹(х(ハノーファー)、MF大津祐樹(VVVフェンロ)、FW田中順也(スポルティング・リスボン)という後に日本代表入りと海外移籍へ至る3人の若手、Jリーグ史上最高峰の外国人助っ人コンビと言えるMFレアンドロ・ドミンゲス(現名古屋グランパス)、ジョルジ・ワグネル(現鹿島アントラーズ)というチームの軸が固まった事も含めて、J2降格に至っても同じ監督と共にチームを本格的に強化できたJリーグ史上でも模範になるチームとフロントの融合が感じられるクラブの1つ。さらに、2012年度には天皇杯、2013年にはナビスコカップと4年連続でタイトルを獲得している。

 しかし、「哲学はヴィトーリア(勝利)】として勝負に徹したチーム作りは、タイトル獲得による国際経験の豊富さを身につけた一方、過密日程での疲労からリーグ戦での順位が2012年の6位→2013年の13位と不安定に。
 また、偉業となったJ1優勝メンバーへの信頼感は以降の新加入選手の妨げとなり、大型補強と言えるFWクレオ、レアンドロ、DF鈴木大輔のようなタレントも十二分にフィットできない土壌となってしまい、現在は完全にサイクルが終焉したようなチームとなり、ネルシーニョ監督も退任の運びに。

 ”太陽王”レイソルの黄金時と言えるこの時代は2011年の最終節でのJ1リーグ優勝、2013年元旦の天皇杯決勝での敗戦や昨年のJ2生活など、ガンバにとっては太陽の影となった負の歴史でもあり、それを象徴するように過去6戦でレイソルに対して1分5敗という直接対決の圧倒的な差にも表れています。(ちなみに2011年は2戦2勝。今野加入後が1分5敗)

【マッチレポート】機能不全の中盤ダイヤモンド

 何もなかった、と言える前半。いや・・・何も無かった。連戦による過密日程とはいえ、大雨の中でここまで内容に乏しい試合をしてお客さんに申し訳ないのか・と言える程の試合。
 特に相手が3バックだからか? 対サンフレッチェ広島との3連戦で大成功したからと言って採用したダイヤモンド型の中盤が全く冴えない。アンカー役となる明神の奮闘はあるものの、藤春の攻撃参加するスペースを今野が消していたり、阿部は約束事はきっちりこなせたものの疲労困憊で守備が優先となり、攻撃にスピード感や連動性ない寒い試合。加えて、パトリックが温存された影響でロングボール1本の単発な攻撃では打開策を作れず。頼みの宇佐美も前を向いた状態でボールを受けられないとあってはどうしよもない展開。

 そんな中で唯一28分。今野が中盤で相手のプレスを誘って遠藤のマークを外してからパス。受けた遠藤がバイタルで前を向いて放った強烈なミドルシュートがトップコーナー直撃という中盤の構成を活かした場面が。コレが狙いで、コレを見せつつサイド攻撃をしたかったものの、上記のように自らスペースを消すようなクローズな前半は予想をしなくても分かるスコアレスで折り返しました。

拮抗した試合の采配で勝ったのは百戦錬磨のネルシーニョ

 大雨によるピッチコンディションの影響があるとはいえ、両チーム共に停滞感が著しかった前半を経て、共に後半開始から選手交代を敢行。ガンバが疲労の色が濃いMF阿部に替えて、ハードワークと積極的な仕掛けが特徴のMF大森を投入。レイソルは前半に全くサイド攻撃を見せられなかった両ウイングバックの藤田優人、輪湖直樹に替えて、キム・チャンス、橋本和という実力者をそのままウイングバックに配置してサイドを強化して後半がスタートしました。

 まず、この選手交代の効果が出たのはガンバ。投入された大森が46分に右サイドからカットインしてのシュート。55分にも左サイドのスペースで開いた宇佐美を起点に、ヒールパスから藤春が左サイドを抜けてグランダーのマイナスクロス。コレを大森がぺナルティアークでボールを浮かして受けてのハーフボレーによるシュートは共に外れたものの、試合に”動き”が出ました。

 対するレイソルは途中出場の2人の実力派による両ワイドが高いポジションを取る事で攻撃を開始。サイドでキープする事でバイタルエリアを空ける攻撃を仕掛けてきたものの、ここはミドルシュート止まりに終始。
 また、DFラインも高い位置に設定するため、裏のスペースにはGK桐畑が広い範囲でカヴァーしており守備面での綻びは感じさせませんでした。また、GKの負担は多かったのですが、彼がこの日は大当たりでした。

 均衡を破りたいガンバは61分に満を持してFWパトリックを投入してから勢いを増して攻撃開始。