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アジア杯決勝、韓国VS豪州 ~進化を象徴する壮絶なアジア王者決定戦

 開催国相手に試合終了間際の劇的な同点劇。韓国有利の雰囲気が漂ってスタートされた延長戦でしたが・・・、なんと今度は韓国が疲労による満身創痍な状態に。守備的MFキム・チャンスとパワープレー要員のはずだったCBカク・テヒが続けて足を攣って動けなくなり、本来は守備専門職のはずだった2人が負担軽滅のために最前線に残るという違和感たっぷりの布陣で延長戦を進めなければならない状況になりました。ただ、脚を攣った韓国の2選手の精神力は凄まじく、ボール際の競り合いで激しく寄せて再び痙攣を起こしても最後までファイトし続けていました。

 しかし、105分でした。豪州FWユーリッチが右サイドに流れてチャンメイク。倒れたり、もつれながら突破を試みるもキム・ジンスに続き、ソン・フンミンも戻って対応されると思った瞬間でした。ユーリッチが大きな体格を活かして韓国選手2人を割ってゴールライン沿いを突破。グランダーの折り返しは、GKキム・ジンヒョンに弾かれるも、こぼれ球はエリア内に走り込んで来た豪州の途中出場MFジェームズ・トロイ―ジの足下へ。ベテランらしくトロイ―ジが確実にゴールネットを揺らした得点により、遂に豪州が1-2と勝ち越しに成功。前半・後半・延長前半と終了間際にゴールが記録されるシーソーゲームに終止符を打つ決勝点となりました。

 満身創痍の韓国はトロイ―ジのゴールで終わった延長前半を経ての延長後半の15分間は再びのパワープレーとイ・グノ&ソン・フンミンの個人技に賭けるも、正直言って試合を進めるだけでも精一杯の状況。それでも終了間際に得点が動くこの試合状況にやや豪州も慎重になったものの、最後は安全に試合を運んでタイムアップ。オセアニアからアジアへのサッカー協会転籍後、3回目の大会でホスト国として大会を主催し、チームも見事に初優勝という最高の結果をピッチ内外で達成。

 試合終了後に豪州のアンジ・ポステコグル監督が敗戦のショックで自力で立つ事ができない韓国の選手1人ずつに挨拶をして回る場面も印象的でした。負けた韓国も若い選手が多く、警告を5枚受けた豪州とは相対して警告をもらわないフェアプレーもあり、非常にクリーンで爽やかな印象を残してくれました。

 ちなみに大会MVPには、この日の先制点を記録した豪州MFマッシモ・ルオンゴ。得点王には準々決勝の日本戦を含む5得点を記録したUAEのFWアリ・マブフート、最優秀GKには韓国からではなく、豪州GKマシュー・ライアンが選出されました。

【決勝観戦後記】確かなアジアの進化~日本には相当な危機感が必要

 「この決勝に勝者も敗者もない」というウリ・シュティーリケ韓国代表監督の言葉の通り、インテンシティ(プレー強度)が高く、試合の迫力も満載のエンターテイメント性に溢れる素晴らしい決勝戦でした。正直、4年前の決勝とは比べ物にならないほどレベルの高い試合でした。壮絶すぎた試合内容のため、負傷者や痙攣を起こす選手も多発。日程に恵まれた両国でも試合中に多数のアクシデントに見舞われたアジアカップ2015豪州大会。やはり、先発メンバーを固定していくのは日程面で最も厳しいグループDでスタートした日本には限界があったのかもしれません。

 しかし、「連覇、連覇」と当たり前のように結果を煽ったものの、ピッチ上のサッカーの質では4年前の優勝は本田圭佑も認めた通り、「まぐれ」でした。そして、今大会決勝で魅せつけられたアジアの頂点を決める戦いの迫力は凄まじいものでした。

 日本もPK戦で運があってUAEを下していれば優勝へ向かっていたかもしれません。ただ、それを言うならば4年前の優勝もヨルダンに土壇場で引き分けに持ち込み、シリアとカタールに何とか勝利し、韓国にPK勝ちし、豪州に偶然勝った“だけ”の優勝を、“当たり前”のように捉える兆候の方が危険。UAEがPK戦で日本に勝つよりも、前回大会の日本の優勝の方がもっと偶発度は高かったのが真実でした。それを“史上最強日本代表”と煽ってブラジルW杯惨敗を喫して挙句、そのメンバーを残し、アジアカップも「連覇が最低ノルマ」としてる時点で相当無理があったと思います。

 近年のアジアからのW杯出場国は4.5枠。0.5枠は南米との大陸間プレーオフになることが想定されるためウルグアイなどが回って来ることを考えると、4枠と捉えるべきでしょう。だからこそ、日本はベスト4に入らなければいけなかった。勝てばベスト4となる準々決勝のUAE戦こそが最初の決勝戦だったはずなのに。

 クラブレベルではACLベスト8や16が多くなり、下部年代の代表では、U19が世界大会へ行けない事が当たり前になり、U17も昨年はベスト8敗退で世界大会への出場を逃しました。世界を意識していたはずの日本ですが、アジアのベスト4に入れなかったのが真実と現実。これで4年前の優勝が本当に偶然なら、日本サッカーは本当に危機です。“勘違い”する事が悪い事ばかりではありませんが、今の日本サッカーは”勘違いし過ぎ”ではないでしょうか?または「裸の王様」なのかもしれませんね。

以上、当コラムでは日本代表の敗退後も、世代交代に着手した国が躍進する今大会は興味深いと捉えて書き綴っています。大会の総括記事をあと1つ書きたいと思います。ベストイレブンも少し変更したいと思いますので、読者の皆様よろしくお願い致します。