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なでしこリーグ2部残留のバニーズ京都SC~課題と成長を通した1年の成果

「初戦を戦った感覚や映像を観ながら相手のセンターバックコンビの特徴を研究して来た中で、今日は個人的なパフォーマンスとしては今季1番良かったと思う」、と述べた谷口木乃実。彼女にボールがよく収まることで、リーグ後半戦からアンカーではなくインサイドMFに戻ったMF林咲希がFWを追い越す動きを多く見せて攻撃を活性化させる。

 また、谷口木乃実のポストプレーを使って中央から左サイドに密集を作り、逆サイドに展開。右ウイングの佐藤莉奈(下記写真:背番号13番)が相手DFとの1対1を積極的に仕掛けられる状況を多く作った。その佐藤が前を向いて自慢の快速と突破力でチャンスメイクし、右サイドバックの草野詩帆も攻撃参加する。中央を起点にサイドを攻略し、サイドから打開して中央を崩す。攻撃に“奥行き”と“幅”が出来たバニーズの理想とするポゼッションサッカーがピッチを支配した。

 そして15分、右サイドに流れた司令塔のMF松田望がタメを作り、内側にいた佐藤が浮き球のパスを最前線の谷口木乃実へ供給。谷口木乃実が巧みなトラップと身のこなしで相手DFを交わし、ペナルティエリアから少し外の位置から放ったミドルシュートが豪快に決まってバニーズが先制に成功する。

 22分には絶好調のFW谷口木乃実が左サイドからゴールライン際を突破。GKも引き付けながらゴール前フリーで飛び込んだMF林にラストパスを供給するも、惜しくも外れる決定機を演出。

 追加点は27分だった。右サイドを突破した佐藤からのクロスに、中央でマークを外した谷口木乃実のヘディングシュートはGKとクロスバーに防がれるも、こぼれ球をFW西川樹が押し込んで2-0。リードを拡げる。

 また、前半の終盤までは相手にシュートを1本も許さず、攻守ともに理想的な試合運びを披露していた。

 しかし、前半44分に十文字MF源間の右サイドからのクロスを、中央でFW 中原さやかに胸トラップから豪快に蹴り込まれて2-1とされると、2分後には左CKから最後は杉原に頭で押し込まれて同点。残留へ向けて暗雲が立ち込める中でハーフタイムを迎えた。

辛くも2部残留を掴み取ったバニーズ

 両チーム選手交代なしで入って後半。流れは完全に十文字に傾いていた。初戦の2点ビハインドに加えて、この日の前半の2失点。一時は2試合合計4点差の大差がついた試合の中で気持ちを切らさずに逆転を信じてゴールに迫る十文字イレブンの攻撃を前に、バニーズは劣勢に陥った。バニーズは持ち味のはずのパスを繋ぐ意識も薄れ、ロングボールを蹴って自ら後手に回ってしまった。

 前半終了間際に立て続けに失点したとはいえ、それでも2試合合計で言えば未だ5-3の2点リード。ショートパスの連続によるポゼッションサッカーを掲げているチームであれば、そのポゼッションを時計の針を進めるための“守りのポゼッション”として試合を運べば良い。

 しかし、今季のなでしこリーグ2部で僅か3勝に終わったバニーズは、1つの失点を食らうと不安を感じてしまう。前半終了間際の2失点目も、そんなメンタル面の不安がなければ防げたはずだが、年間通して競り負けてきたチームはどうしてもネガティヴな状況をフラッシュバックしてしまう。

「ウチの場合、もっとパスを繋いだ方が勝算があるし、それが出来るのも分かっているし、選手達もそう思っているはずです。でも、それをこの状況で指示すると、“パスを繋ぐことが目標”になってしまって、そうなると経験上“事件”が発生してしまう。それは選手達の能力が欠如しているのではなく、良い心理状態でピッチに立たせてあげられなかった監督の責任です。幸い、まだ(2試合合計)リードはしていたので、そこは指摘せずに見守るしかなかった。」

 そう語ったのは、バニーズを率いる千本哲也監督。とはいえ、ここから指揮官の交代策で残留するためのメッセージは伝わっていった。

 61分にはDFの野間文加を投入し、アンカーにDFの山本裕美を上げて攻守のバランスを修正。何とか時間を消化して耐えながら、70分にはPKを獲得。しかし、コレを谷口木乃実が外し、流れを引き戻せず。

 86分には、チームの弱点であるセットプレーやハイクロスに対して、「チームで1番ヘディングが強い」(千本監督)元日本代表DF加戸由佳を投入。守備固めに入るも、直後にそのハイクロスからゴール前で混戦となり、最後は杉原にこの日2得点目となるゴールを押し込まれて2-3。2試合合計5-4となり、あと1点奪われればアウェイゴール差で逆点を許すという冷や汗握る状況となった。

 その後の残り少ない時間も十文字の猛攻は続き、アディショナルタイムにはクロスバー直撃であわやの場面も迎えたが、そこは十文字側にも相当なプレッシャーがかかる場面だったため、決定力を欠いてスコアは動かず。この試合は2-3で落としたものの、2試合合計5-4。バニーズが辛くも2部残留を決めた。

バニーズを救ったのは、中断期間に取り組んだゾーン守備

 この試合の後半、バニーズに“らしさ”は全く感じられなかった。それでも何とか耐えられたのは、選手たちや千本監督が口にした中断期間に取り組んだゾーンディフェンスの整備にあった。

 昨季はチャレンジリーグに所属していたことで、「自分達のサッカーを貫くことが勝利への近道」、だったが、2部に昇格した今季はカテゴリーが上がって対戦相手のレベルが上がり、守備に回る時間が自然と増えた。全体が間延びして1対1を仕掛けられると個の能力で突破されるため、中断期間に、「よりボールを中心にしたコンパクトなゾーンディフェンス」を取り入れ、ポジショニングやカヴァーリングの優先順位を見直して整備した。

About the Author:

hirobrown
創設当初からのJリ−グファンで各種媒体に寄稿する副業サッカーライター。好きなクラブはアーセナル。宇佐美貴史やエジル、杉田亜未など絶滅危惧種となったファンタジスタを愛する。趣味の音楽は演奏も好きだが、CD500枚ほど所持するコレクターでもある。 サッカー歴:中学・高校時代にサッカー部に所属。 中学時は大阪市トレセンに選出される。 その後は競技者としてのサッカーから離れていたが、サッカー観戦は欠かさない 。

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