Foot ball Drunker 〔104〕visiting 『Tynecastle Stadium 』エディンバラ / スコットランド 

メルは12歳で豪州に移住。国立演劇学院で演技を学んでいるが、生まれは米ニューヨーク州。アイルランド人の祖母がアメリカに移住したからで、受け継がれたケルトの血がこの大作へと導いたのか。

代表がハーツと呼ばれる前から、スコットランドにハーツは存在する。ハート·オブ·ミドロシアンFC通称ハーツの創立は1874年。今季はグラスゴーの二強からやや離されてはいるが三位から追い上げる。主将章を腕に巻くのは現在18ゴールと得点王争いのトップを走るローレンス·シャンクランド:Lawrence Shankland【1995年8月10日生】。


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12月16日[18節]のアウェーのセルティック戦。貴重な先制点を頭で決め勝利に貢献。ここからハーツは勢いに乗る。続くセントミレン戦では2ゴールで2-0で連勝。ハイバーニアンFCとのエディンバラ·ダービー[20節]もアディショナルタイムでの決勝ゴールを決めている。

この試合残り6分で勝負に出たのはホームチーム。ジェームズ·ジェゴー:James Jeggoがピッチに入る。’22年3月シドニーでのワールド杯アジア予選、三笘薫:Kaoru Mitoma【1997年5月20日生】終了間際の2ゴールでカタール行きを決めた日本代表。この試合でも後半の頭から途中出場したジェゴー。下写真のとおり当時はベルギーのオイペンでプレーしていた。先月末スコットランドから母国のメルボルンシティへと移籍している。


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ハーツは年内最終戦となるロス·カウンティFC戦は0-2から残り20分で同点に追いつく。残り11分左足で決めたのはシャンクランド。そして年明けから怒涛の6連勝。10試合で11ゴールと驚異的なペース。

実はシャンクランドもジェゴーと同じく’22年はベルギーでプレーしていた。日本期待のフォワード二人が在籍するハーツ。しかしシャンクランドが日本人とポジションを争うのは初めてではない。
ベルギーのKベールスホットVAには22年まで鈴木武蔵:Musashi Suzuki【1994年2月11日生】がプレーしていた。2トップを組む機会もあったが1トップの優先順位は、まずシャンクランドで武蔵はセカンドチョイス。実際にプレーを目の当たりにしてしまうと納得。オールラウンドに高い能力で、正直日本人の自分でもシャンクランドを起用する。「もう少し高いレベルのリーグでも通用するのでは」と思いながらシャッターをきった。

ベールスホットVAの紫のユニフォームに袖を通し現在もベルギー二部KMSKダインゼの最終ラインに君臨するデニス·プリチネンコ:Denis Prychynenko【1992年2月17日生】。ドイツ·ポツダムで生まれウクライナ人の両親と暮らした彼は、何故かハート·オブ·ミドロシアンのユース出身。2010-11シーズンのU19スコティッシュプレミアリーグはセルティックに次いで2位のハーツ。14ゴールを挙げておりチームの年間最優秀選手賞(得点王)を受賞した当時はミッドフィルダー。


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五大リーグを夢見て、アフリカをはじめ各大陸から様々な人種·国籍のフットボーラーが集い、まずは欧州での第一歩を踏み出すのがベルギー。そしてスコットランド·プレミアリーグも近年、安くて良い人材が揃うアジア圏に目を向け始めた。

’21年8月ニューカッスル·ユナイテッド·ジェッツからのCammy Devlin【1998年6月7日】を皮切りに、同年冬にメルボルンシティからナサニエル·アトキンソン【Nathaniel Atkinson【1999年6月13日生】、’22年セントラルコースト·マリナーズFCからキー·ロールズ:Kye Rowles【1998年6月24日生】を立て続けに獲得したハーツ。