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ドイツ史上初の4連覇も既定路線〜過去2年間のペップ・バイエルンの歩み

 ペップが就任した1年目、ボール支配率の高さが3冠を達成した前年をさらに上回り、リーグ戦では無敗のまま3月に優勝を決めるという最速の独走優勝でした。ただ、そのボール支配率の高さというのは、短いパスを回し続ける事から来るというよりも、ボールを失っても直ぐに奪い返したがゆえの数字。80%を越える試合もあるほどの驚異的な記録も作っていましたが、まずは相手を自陣に押し込む事を大前提にして、相手の体力や思考力を奪って何も出来なくさせるのが狙い。その上でこのシーズンは両ウイングの”ロッベリー”ことオランダ代表FWアリエン・ロッベンとフランス代表FWフランク・リべリの個人能力の高さをより効果的に引き出す事を狙いました。

 バルサではリオネル・メッシを大エースに仕立てたように、リべリにはセンターフォワードへのコンバートも考えたようですが、彼やマリオ・ゲッツェを最前線に置く“フォルソ・ヌエベ(偽CF)”があまり上手くいかない。あるいは、チームの最大値を考えると、クロアチア代表FWマリオ・マンジュキッチとドイツ代表FWトーマス・ミュラーの得点力を活かす事から考えたと言えます。

 ただ、両サイドを活かす上で左足からの対角線に渡るロングフィードが得意なブラジル代表DFダンテを最終ラインに置きながらも、「ロングボールは禁止」にしたペップのチーム作り。その意図はロングフィードが成功しなかった場合は相手ボールになって奪い返しにくいから。であるならばと、ハーフウェイラインを越えてからならばロングボールを解禁したのは、「適切な距離間でプレー出来ているので、瞬時のボール奪取が可能」だから。そして、自陣から相手陣内に入るまでのビルドアップの段階では何をするか?が問われるところ。バルセロナ時代はピボーテ(アンカー、守備的MF)がCBコンビの間に下りて来て後方を3人で組み立てをしながら両サイドのSBを押し上げる、といったメカニズムを浸透させ、今では世界中に流行したわけですが、バイエルンではアンカーが最終ラインに下りてから、インサイドMFがアンカーのいた位置に下り、SBがインサイドMFの位置へと内側への攻撃参加をするメカニズムを完成させました。

 攻撃参加するオーストリア代表の左SBダヴィド・アラバはスピード抜群で加速を伴って前向きでボールを持って内側に上がって来るのでマークを引き付ける事に成功し、これによりリべリへ展開するとフリーもしくは1対1でボールを受けられる上、選手間の距離も近く、リべリがボールを奪われても奪い返せる仕組みになっていました。同様の事は右サイドでも行われますが、こちらはSBからMFへコンバートされたフィリップ・ラームが右サイドのカヴァーに入ったり、リべリよりもロッベンは自ら得点を狙うカットインが得意なため、右SBのラフィーニャは外側を上がる事も多かったと思います。また、クロースと同じようにゲームメイクを担うチアゴ・アルカンタラが怪我で欠場し始めると、点取り屋のトーマス・ミュラーがインサイドMFに入るため、このような選手の特性に合わせた調整型になったと言えます。


【ペップ1年目=2013-2014】

 そんな1年目を経て、司令塔役だったドイツ代表MFトニ・クロースがレアル・マドリーに移籍してしまい、尚且つ彼の代役的存在に成り下がっていたとはいえ、クラブの看板であるドイツ代表MFバスティアン・シュバインシュタイガーとチアゴも長期離脱。シーズン当初からとにかく怪我人に泣かされたシーズンでした。そこでクラブが緊急的に獲得したのがスペイン代表の守備的MFシャビ・アロンソ。結果的にレアル・マドリーとはクロースとのトレードになりましたが、現役時代のペップにも似たプレースタイルを持つ彼をアンカーに据えた事で劇的に安定。また、左サイドのタッチライン際専任のサイドのスペシャリストであるスペイン人左SBファン・ベルナトを獲得した事で、アラバのオールラウンドな能力をフル活用し、相手のシステムや試合の進め方によってアラバのポジションを調整する事で3バックと4バックを始め、その他多くのシステムを使えるようになったのが2年目でした。相手が2トップならアラバが左CBの3バック、相手が1トップ(3トップも)ならアラバはインサイドMF配置の4バックという具合です。

 ただ、そのアラバも終盤戦で長期離脱の怪我を負うなど、シーズンを通してチアゴ・アルカンタラやハビ・マルティネス、リべリ、ロッベンがシーズン終盤で全く起用できない野戦病院化した事で尻すぼみに終わってしまったのが2年目でもありました。ラームやシュバインシュタイガーまでも長期離脱を経験した昨季はとにかく負傷者続出の日々でした。


【ペップ2年目=2014-2015】

 そんな成功も失敗も経験した過去2年を経て迎えた今季については次回をお楽しみに。しばしお待ち下さい。