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アジア杯グループD、日本VSパレスチナ ~機能可変型3-4-3

 ちなみに2012年まで国際的にパレスチナ自治政府が国連で国家として認められたのは2012年ですが、1994年にこの自治政府は誕生していました。その中で、FIFAとAFCは1998年に代表チームを持ってW杯やアジアカップなどの予選となる公式戦のエントリーを許可。サッカーだけに実にフットワークが軽い勇気ある決断だったことを明記しておきたいと思います。

【マッチレポート】「強風の中で地上戦で確実に仕留める 」

 

 日本はキックオフから10mあるという強風の風下になり、ロングボールを蹴ると大幅に戻されてパスがズレるという組み立てにくい不確定要素があってボールコントロールに苦戦。

 しかし、直ぐにピッチ環境に慣れると、、アンカーのMF長谷部が下がり気味になって調整。最終ラインで前向きの状態でビルドアップが出来るDF森重からの縦パスで攻撃の起点を作っていく。その際、パスは全てグラウンダーを使ってボールを空中には上げない地上戦でシンプルにマークが空いた近い選手を使っていく事で相手を攻略。

 すると8分。ゴールキックから森重がハーフライン付近まで持ち上がって前線から引いた乾へ縦パスを入れると、乾もシンプルに前が空いている遠藤へ横パス。受けた遠藤はシュートコースが出来ていると、すかさず右足を一閃。正確な地を這うグラウンダーのミドルシュートが逆サイドネットに吸い込まれるように決まって1-0。ゴールキックから1度もボールが空中に浮かないでゴールが決まるとは・・・まさに日本らしい得点と言えるのではないでしょうか?

 25分には左サイドで後方の森重から出たロングパスを裏に走り出した長友がゴールライン際で懸命に折り返し。乾が絡んで香川のハーフボレーでのシュートを、中央で岡崎が反応。頭で合わせて日本が2-0に。森重の絶妙なロングフィードは、試合開始から彼が何度もビルドアップの起点になっていて狙っていた形で、強風の影響も何本か蹴って感覚を研ぎ澄ました上での精度の高さでした。

 この後、ややパレスチナに攻め込まれる場面があったものの、森重を中心に1対1で強さを見せる守備陣がピンチを未然に防ぐと反撃に転じる事も可能に。

 42分には左からショートCKで始めると、リターンを遠藤がダイレクトでニアサイドの香川へショートクロス。相手DFが抜け出した香川を倒してPKを獲得。44分、本田がそのPKを落ち着いて相手GKの逆をとり、中央付近にゴロで決めて3-0として前半を折り返しました。

後半の膠着は課題も、大会見通す幸先の良い勝利

 日本は後半開始から左ウイングの乾に替えて、アギーレ体制後の日本代表初選出となったMF清武弘嗣を投入。練習試合や合宿を通して好調な選手を積極的に使っていくアギーレ監督の采配は理想的でした。

 そして49分に左CKを再びショートでスタート。そのボールを受けた香川が反転してゴールライン際まで突破しての左足の浮き球クロスを、中央の吉田が高い打点からヘッドで叩いたシュートが決まって4-0。

 このあと大量リードの中、58分と早い時間帯で34歳のベテランMF遠藤をベンチに下げ、若手のホープ・FW武藤を投入。清武を遠藤の位置に配置して香川とのセレッソコンビで中盤をコントロールさせる事に。

 パレスチナはどんどんラフプレーが目立ち、集中力や緊張感がなくなって試合に締まりがなくなって行く中、日本は本田や清武、80分に投入されたFW豊田陽平に追加点のチャンスもあったものの、追加点は奪えず。

 しかし、アルベルト・ザッケローニ前監督時代と違って、センターバックに責任感のある選手が揃っている事もあってリスク管理が徹底されているため、危なげなく完封による幸先の良い勝利を挙げました。

初めて機能した攻撃時の<3-4-3>
しかし、やはり中盤のベテランコンビに頼りきり

 この試合は戦前の予想通りに、両チーム間の実力差が大きすぎていたため、圧倒的に日本がボールを支配する試合となりました。その中で相手に退場者が出てから得点が出来ないなどの課題も十二分に残っているのですが、プラスに思える部分もありました。

 特にアギーレ監督就任後に<4-3-3>のフォーメーションで全試合をスタートしているのですが、アギーレ監督の戦術では攻撃時にアンカーMFの選手がセンターバックの間に下がってビルドアップに入り、両サイドバックを高い位置に押し上げるという“可変システム”の約束事があります。つまり攻撃時は<4-3-3>ではなく<3-4-3>へ変形するのですが、この可変システムに置いて重要になのは両サイドバックです。この試合は相手のチカラが劣るからこそ長友と高徳が高い位置をとれたわけですが、6得点したホンジュラス戦も得点シーンはほとんどショートカウンターや速攻の形からで、両サイドバックを高い位置に上げてボールを動かしながら崩していくような遅攻はありませんでした。

 つまり初めてこの<3-4-3>が機能したのです。ザッケローニ体制時代からこのシステムを使えるかどうかで議論が起こっていましたが、その時は格下相手でも苦戦して結局は元の布陣に戻すというオプションにもなりえないままフェードアウトしてしまいました。ブラジルW杯ではこのシステムをメインに採用したコスタリカやチリ、オランダが大躍進。このシステムを専売特許としていたザッケローニ監督がいた日本がコレを体得できなかったのは相当痛かったのです。

 それが試合状況によって使いこなせるようになれば非常に大きい。特にこのシステムをインテル・ミラノでワルテル・マッツァーリ監督の下で1年半経験した長友が左ウイングバックに入っているのがプラスに左右しているように見えます。スピードやスタミナという走力上のフィジカル任せのプレーを選択しがちだった長友が、戦術面で大きな成長をチームに落とし込んでくれるのではないでしょうか?加えて、右サイドバックも専門職の内田ではなく、中盤の攻撃的な位置でもプレーできる高徳が入る事になるのもアギーレ流には好都合かもしれません。