第136話はBSCヤングボーイズの本拠地スタッド·ドゥ·スイス·バンクドルフ。ベルン駅の隣のバンクドルフ:Wankdorf駅からならば六百メ-トルの距離。トラムの九号線を利用しても三十分かからない。スタジアムの地下は巨大なショッピングモールで生活に必要なモノはほぼ揃う。ファンショップは一階にありこんな感じ。サンドイッチのSubswayやス-パ-のCoop店内にはその場で焼いている自家製ベーカリ-もあって館内で腹ごしらえ。但し平日は二十時までの営業だから夜食は試合終了後に営業しているのはベルン駅構内のマクドナルドぐらいしかない。現在の為替レートにすると価格は日本の二倍。千円以上払ってもオモチャはついてこない。
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現在チ-ムの指揮を執るのは帰ってきたジェラルド·セオアネ:Gerardo Seoane【1978年10月30日生】。’21年に去ってからレバーク-ゼン、ボルシアMGとドイツブンデスリーガで揉まれてきた。セオアネの名前がクラブ史に刻まれたのは2018年8月28日、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)予選プレーオフでGNKディナモ·ザグレブとのアウェー戦に勝利。二試合合計スコア3-2で悲願の本戦進出を決めている。前述のデブレツェンとのELプレーオフに勝利した翌(15)年からはスイス王者の肩書きでCL予選の戦いに挑んだもののASモナコに三回戦で敗退。’16年はプレーオフでボルシアMG、’17年にはCSKAモスクワに阻まれており、ザグレブ戦は四度目の正直で花を咲かせる。その後も19年のプレーオフはツルヴェナ·ズヴェズダ、’20年は予選三回戦でミッティランの前に涙を飲む。
22年監督に就任したデイヴィッド·ワグナー:David Wagner【1971年10月17日生】はシャルケの監督時代に構築したユルゲン·クロップ流のゲーゲンプレスをスイスに持ち込むのだが、これが東欧勢相手にはまった。予選二回戦 スロヴァン·ブラチスラヴァ、三回戦ではル-マニアのクルジュを撃破。プレーオフの相手は平原の盟主フェレンツヴァロシュTC。最後の関門を突破して二度目の欧州最高峰の晴れ舞台。
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あの日あの時は2021年9月14日UEFAチャンピオンズリーググループF第1節BSCヤングボーイズ対マンチェスター·ユナイテッドFC。観客動員: 31.120は超満員札止め。前半の退場者で数的有利となった状況でゲ-ゲンプレス発動。中でも印象に残ったのはこの二人。戦術的な知性の高さには定評のあるミシェル·アエビシェール:Michel Aebischer【1997年1月6日生】、2013年の高校年代のヤングボ-イは黄色と黒のウェアで育ち16年のトップデビューから22年ボロ-ニャへの期限付移籍まで十一年をベルンで過ごしたスイス代表。攻守で汗を流す中盤の大黒柱の後ろで
フィジカルの強さを発揮したのはクリストファー·マルティンス·ペレイラ:Christopher Martins【1997年2月19日生】
ルクセンブルク市出身。2013年夏にオリンピック·リヨンと契約
2019年7月ヤングボーイズと四年契約を締結した。 初年度からチ二十八試合出場で三得点を記録し国内リーグとカップ戦制覇のダブルを貢献した。’22年にクマの顔でお馴染みのロゴのロシアプレミアのスパルタク·モスクワに移籍。移籍の翌月ウクライナ侵攻による特別措置など何処吹く風。2013年3月にカーボベルデ代表からのオファーを断り、ルクセンブルク代表を選択したから今回のFIFAワ-ルドカップで見れないのは致し方無い。
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さてこの試合で活躍したわけではないがBSCヤングボーイズを語るならばこのヒトは欠かせない。ミラレム·スレイマニ:Miralem Sulejmani【1988年12月5月37日生】。母国セルビアを離れオランダ一年目でヨハン·クライフ賞を受賞。A代表デビューも果たすと2008年7月、オランダ国内の移籍金レコードを更新する€16.4mでヘーレンフェーンからアヤックスが獲得したセカンドストライカー。五年間プレーした後 SLベンフィカでの二シーズンを経て’15年6月にベルンへと流れ着く。このマンチェスターユナイテッドと対戦した21-22シーズンでアヤックス在籍期間を上回る六年目に突入。計百六十五試合に出場して24年母国のFKジェレズニチャル·インジヤに加入から半年後引退を決意した。スレイマニの€16.4mはオランダ国内クラブ間での移籍金としては現在も最高額。他国からの移籍となると一位はステーフェン·ベルフワイン:Steven Bergwijn【1997年10月8日生】をトッテナムがアヤックスに払った€31.3m、 次いでカルバン·バッシー:Calvin Bassey【1999年12月31日生】の€23m、 セバスティアン·アレー:Sebastien Haller【1994年6月22日生】の€22.5m ブライアン·ブロビー:Brian Brobbey €16.4mとなるが全てアヤックスへの移籍。スレイマニの写真は2010年の撮影だから当時は二十一歳だった。
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試合が終了後スタジアム前の喧騒が落ち着き、真夜中人気のない大通りを駅方向に歩くこと十五分「こんな時間でも運行しているのか」と思いSchönburgのバス停で路線バスに飛び乗る。乗客は若くて綺麗なお姉さんと自分だけ。もしもバスに乗らずまっすぐ歩いていれば左側には樹木が繁り下り坂が続く。ローゼンガルテン·ベルンは旧市街を見下ろす高台に約220種のバラが植えられており、四月になれば奈良県から贈られたソメイヨシノが見事な花を咲かせる隠れた名所。
バラ公園からアーレ川に架かる二-デック橋を右手に見ながら更に進むとベーレンパーク:BärenParkがある。更に南方向に歩けばベルン動物園もあるのだが、気になるのはクマ公園。約六千平方メートルの敷地でほぼ自然の環境でヒグマを飼育している。公園だから入園時間の規制もなければ、入場料を払わなくても良い。2009年に近代的な施設へとリニューアルされて、広い空間で飼育されるようになったから三頭のヒグマも喜んでいるに違いない。このような施設を設けているのたから やはりベルンは噴水とクマの街。
東京近郊で見かけたことはないが、大阪に引っ越して一週間後に道路を横切るイタチを目撃。木葉の里の忍びではなく野生のイタチ。全国で捕獲されるイタチが全国の五割近いというのは嘘ではなかった。《鳥獣保護法》により、業者ではない素人が無許可で捕獲·殺処分すると懲役または罰金に処される(こともある)から増えもする。逆に大阪で見掛けず足立区北千住で目にしたのはハクビシン。サッカーグラウンドの芝生の上で遭遇したのは十年前だったか。その頃野良猫にエサをあげる困ったおばちゃんがいて、困ったことに野良たちがたむろっていた。ところがその日は猫が餌の皿から離れ怯えている。大きさは猫と然程変わらず「ハクビシン」かと思われたが顔に白い筋がない。果たして···あの生き物は何だったのか。今も謎である。
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Googleで《奈良 ベルン》と検索したら、AIによる概要は桜を通じた絆と表示した。1975年に奈良県在住の方から百本が贈られたとのこと。筆者の脳内では桜よりもクマ繋がり。
この原稿を書いている途中の昨晩北千住で、三十代の友人(昔の部下)と飲むことに。冒頭の熊が出たと話したところ、イソップ寓話で嘘を繰り返した結果狼に食われたのは羊だったか、少年本人だったかで意見が割れた。このての話は時間を経ているから背鰭尾ひれがついたり取れたりする。すると友人が一言「元奥さんも『うちの旦那は嘘つきだから熊に食われて死んだの』ぐらい言ってるかもしれませんね。」。
いやいや、そこまで恨まれてはいない。たぶん。〖第百三十七話了〗
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