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【前編】城福浩監督とヴァンフォーレ甲府の成し遂げた偉業 ~「予算」を口にする理由

 昨季限りでヴァンフォーレ甲府の監督を退任された城福浩前監督に、ハビエル・アギーレ日本代表前監督の後任になってもらいたいと思っているサッカーファンは多いと思います。ところで、ネクタイは甲府のモノなのでしょうか?いつもスタイリッシュで格好良いネクタイなので欲しいですね。

 2006年にはU17アジア選手権で優勝し、U17W杯での国際的な指導経験。当時から柿谷曜一郎(現・バーゼル)をワントップに起用するポゼッションサッカーを志向していた事。FC東京の監督時代には今野泰幸をセンターバックにコンバートし、最終ラインからのビルドアップによって、ヒトもボールも動くパス&ムーヴによる“ムーヴィング・フットボール”と名付けたスタイルでJリーグファンを魅了し、2009年のナビスコカップ優勝も経験。テクニカルエリアで声を嗄らす熱血漢ぶりのキャラクターも好印象。それらの経験を携えながら、ヴァンフォーレ甲府では戦力的に厳しい状況でのチーム史上初タイトルとなるJ2優勝やJ2記録となる24戦無敗記録、2年連続のJ1残留。タイプ分けや一言では言い表せられない様々な実績と経験値を有する監督だと思います。

 アジアの舞台では強者であり、世界大会では弱者にあるという日本代表にとっても、城福さんの様々な立場での監督経験は活かされると思います。Jリーグで優勝を狙うようなチームでの経験は実は日本代表監督としては微妙で、甲府のような規模のチームでの経験や戦い方が大事だと思います。

 しかし、よく城福さんが甲府の監督をしている時に、「予算」について話す事を非難されたり、快く思わないサッカーファンがいたのも事実です。今回ははその辺りにフォーカスしつつ、ヴァンフォーレ甲府と城福監督について書きたいと思います。

開幕直後から迫られた深刻な運営状況 キャンプか補強のどちらをやめるかの2択

 まずヴァンフォーレ甲府の運営面での実情を表すのに最も顕著だったのは、昨年の開幕戦である鹿島アントラーズ戦。ホームゲームで鹿島を迎えるはずだったのですが、雪の影響でホームである山梨中銀スタジアムでは開催出来ず。急遽、東京の国立競技場での開催になった時のことです。

 当然ながら、国立競技場を借りる上での想定外の支出が出てしまのですが、この時点で、城福監督はフロントから「夏のキャンプをやめるか?シーズン途中での補強をやめるか?」の選択に迫られるほどの深刻な運営状況が甲府の実情だそうです。試合前日のミーティングはアウェイならホテルでするものの、ホームでは寮でやっていた、というのが物語っているでしょう。

 結局、キャンプは何とか資金を工面してくれたり、予定をとっていた宿泊施設からのご厚意もあったそうで実地できたものの、その期間は3泊4日というキャンプとは呼べない合宿。補強面ではJ1残留争いをするセレッソ大阪には元ドイツ代表FWカカウ、大宮アルディージャにはセルビア代表FWムルジャ、徳島ヴォルティスにはJリーグで実績のあるFWアドリアーノ、元コロンビア代表MFエステバンという大型補強を敢行するライヴァルたちを尻目に、獲得できたのは約1年間公式戦出場がなかったFW阿部拓馬と半年間無所属だったブラジル人FWキリノ。キリノに関しては外国籍枠が埋まっていたため、急遽、東ティモール国籍を取得させてアジア枠で加入させるというベンチャー企業のような“裏技加入”でした。

 もともと甲府にはクラブ専用の練習場すらなく、行政に優先的に貸してもらっているグラウンドで練習をしています。また、常にクラブ所有ではない施設を使うため、賃貸料が予算を占める割合が高く、「予算」と言っても他クラブで考えるそれとは違うパーセンテージで、特に人件費に相当する割合の低さはJ1クラブでは考えられない水準。

 10年ほど前にクラブ消滅の危機があった甲府では人件費の切り詰めは著しく、城福さん自身も、「ぎりぎりセーフじゃなくてアウト」と言うほど選手以上にフロント、運営スタッフの人数の少なさは深刻。それでも、「こんなとこじゃやってられない」ではなく、「俺がいないと、このクラブはやっていけない」という覚悟で運営と営業両方を重ねるスタッフたちから城福さんや選手達は刺激をもらえるほどの情熱があったようです。

 その上で、J1リーグでやっていくには“アウト”の環境ながら、成績を残してしまう状況に対して、城福さんは「この環境でやれるんだ」という反応に対する裏には「この環境のままでやれるんだ」という考えが潜む事を悟り、最低限でもクラブ専用の練習場は用意されるべき事を望むのならば「J2へ降格した方が良いのかもしれない」と悩んだこともあったそうです。

 “苦労”はもちろん、それ以上に自虐的になってしまうような複雑さを含む“苦悩”“葛藤”のあった運営面での3年間だったようです。

「予算」を度々口にする理由

 上記のようなチーム、クラブですから、「予算」を口にしたり、たびたびメディアにもそこを取り上げられるのも納得なのですが、これを嫌うサッカーファンの皆様に伝えておきたい事があります。

 それは城福さんが「予算」を口にするのはチームが勝った時のみにしていたことです。負けた時にそれを言えば負け惜しみに聞こえるし、優先的に行政が練習場を貸してもらっているのには歴代のクラブ関係者の努力あってこそなので失礼にもあたるからです。

 それでも最低限練習場くらいはないと“プロクラブ”と言えない事は分かって欲しいから「予算」をたびたび口にして発言したいたのです。

By | 2017-04-21T21:52:08+00:00 2月 23rd, 2015|Categories: J1リーグコラム, コラム|Tags: , |0 Comments

About the Author:

hirobrown
創設当初からのJリ−グファンで各種媒体に寄稿する副業サッカーライター。好きなクラブはアーセナル。宇佐美貴史やエジル、杉田亜未など絶滅危惧種となったファンタジスタを愛する。趣味の音楽は演奏も好きだが、CD500枚ほど所持するコレクターでもある。 サッカー歴:中学・高校時代にサッカー部に所属。 中学時は大阪市トレセンに選出される。 その後は競技者としてのサッカーから離れていたが、サッカー観戦は欠かさない 。

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