Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/orfool/soccerlture.com/public_html/wp/wp-includes/post-template.php on line 293

Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/orfool/soccerlture.com/public_html/wp/wp-includes/post-template.php on line 294
no-image

“日本らしい”バニーズのサッカーで初戦を制す! 【プレナスチャレンジリーグ≪プレーオフ順位決定戦1位~4位»第1節、バニーズ京都VS大和S】

 それにしても何処かで聞いた現象だ。そう、男子のJリーグ・ヴァンフォーレ甲府の監督や日本代表・岡田武史監督第2政権時のコーチを歴任した大木武氏(現J2・FC岐阜監督)が京都サンガを指揮していた頃に、ボールがある同じサイドに多くの人数をかけて密集地帯を作り出すことを“閉じる”という意味合いから「クローズ」と表現されたサッカーだ。日本代表コーチ時代には日本ラグビー界でよく使われる「接近・展開・連続」とも表現された“日本らしい”フットボールだ。

 意図的に密集を作ってショートパスを連動させ、たとえボールを奪われても密集でコンパクトになった陣形のままにボールを奪い返す。どんなチームを指導しても、「大木武」という名前を聞いただけでチームのプレースタイルがハッキリと分かる。“日本のマルセロ・ビエルサ(※)”のような存在こそが大木武氏だ。

※マルセロ・ビエルサ・・・アルゼンチン人監督。男子のU-23アルゼンチン代表でアテネ五輪優勝。その後、チリ代表を強豪へ育て、現在はフランスのリールを指揮。戦術マニアとして知られ、“エル・ロコ”(変人)という異名も。これまで指導したチーム全てが同じようなスタイルを体現している。

Embed from Getty Images

 その大木氏は2015年からの2年間、バニーズに「スーパーアドバイザー」として在籍していた。バニーズの選手に直接的な指導を行うことは少なかったようだが、「現在のチームにも確実に影響力があります」(スタッフ)という声をよく伺ったのも納得だ。

 現在チームを率いる千本哲也監督は就任3シーズン目。今季から大木氏が離れたとはいえ、大木氏のガイドラインを踏まえた上で、より選手個々の特徴をこの組織的なサッカーに上乗せできたことがチャレンジリーグWEST初優勝に繋がったはずだ。

【プレナスチャレンジリーグ/プレーオフ概要】

 そんなチャレンジリーグは全12チームを東西で分けて3回戦総当たりの全15試合制のリーグ戦を行った後、順位決定戦となるプレーオフが開催される。そして、この日筆者が取材で訪れたのが、EAST/WESTの各1・2位による【プレーオフ順位決定戦1~4位】の初戦だ。このプレーオフの結果、1位は来季からのプレナスなでしこリーグ2部に自動昇格となり、2位は2部・9位チームとの入替戦に回ることになる。

 また、このプレーオフは1回戦総当たりの全3試合制のため、EASTとWESTの首位チームがホーム開催の試合を2試合戦えるアドバンテージとなる。

 そして、この日の初戦でバニーズがホームに迎えたのが、EAST2位の大和シルフィード。川澄奈穂美(現シアトル・レイン/アメリカ)や上尾野辺めぐみ(アルビレックス新潟レディース)、杉田亜未(伊賀フットボールクラブくノ一)という代表選手を輩出するなど、もともとは中学年代の選手を育成するチームだったが、2014年に年齢制限のないチームを結成。2015年からチャレンジリーグに参戦している。

 バニーズも大和Sも昨季は地区2位となり、1年前にも今季と同じプレーオフを戦っていた。昨季のプレーオフで3戦全敗の最下位に終わったバニーズに対して、大和Sは1勝1分1敗で2位となり、2部・9位の吉備国際大学Charmeとの入替戦(結果は、吉備国が2戦合計4-0で勝利。)に回ったチームで、決して侮れないチームだ。

 尚、今季のプレーオフ順位決定戦1~4位シリーズには、EAST首位・FC十文字VENTUS、WEST2位・静岡産業大学磐田ボニータが参戦している。

初戦の硬さはシンプルな攻撃で解消

 この日のバニーズは上記した“鉄板メンバー”の中から唯一、FW西川樹が欠場。代わってベテランながらテクニックとスピードで仕掛けられるMF渋谷由美子が先発。今季の渋谷は出場機会が少なく、本職ではなく左SBでの出場もあったが、この日は本来の左サイドのアタッカーとしてプレーした。

 その渋谷は前半5分。中盤で跳ね上がったルーズボールを、センターサークルから少し超えたロングレンジながら思い切って右足を一閃。しっかりとコントロールされたロングループシュートが相手GKの頭上を越えるビューティフルゴールとなって、バニーズが幸先の良い先制点を奪う。

 2部昇格が懸かるプレーオフ初戦。当然ながら硬さが見られる中、リスクをかけずにサイドブレーキを引いたままではバニーズらしい華麗なパスワークは繋がらない。ただ、前半は風上に立ったバニーズ。そして、その強めの風を活かしたシンプルな攻撃により、相手の対策の意表をつくことに成功する。