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宇佐美貴史が武藤嘉紀に劣る理由③スプリント数の急増の功罪

 ガンバ大阪所属の日本代表FW宇佐美貴史がリーグ戦ではクラブ史上タイ記録となる6試合連続ゴールを含め、J1リーグでは開幕から全10試合に先発出場する中でリーグトップの9ゴール(PK1、ほぼオウンゴール1)を記録しています。

同様に宇佐美と同年生まれで、FC東京所属の日本代表FW武藤嘉紀も開幕からリーグ全11試合に先発出場して8ゴールを記録し、得点ランキングではトップの宇佐美を1ゴール差で追い上げています。

 今季から武藤は所属するFC東京で、本来のサイドアタッカーではなくセンターフォーワードでの起用により点取り屋としてプレーしています。それもあって、この同級生2人がどうしても比較されてしまうのも当然です。各下部年代の日本代表のエースとして君臨し、バイエルン・ミュンヘンという世界屈指の強豪クラブでプレーした経歴も持つ宇佐美貴史。年代別代表経験が皆無で、大学在学中にプロ契約し、現在でもプロ経験が1年と少しという武藤嘉紀。

 宇佐美が代表キャップ2に対して、武藤が11キャップという逆転現象はどうやって起こっているのか?再び宇佐美が武藤を、いや17歳の時点ではブラジル代表FWネイマールと同格だった宇佐美の目標である、「バロンドール獲得」には何が必要なのか?

 前回までは所属するガンバ大阪というクラブのフロント、バイエルンでのチームメイトであったアリエン・ロッベンとの比較について論じてまいりましたが、今回はそのガンバ大阪の長谷川健太監督が採用するチーム戦術との兼ね合いについて説きます。

第1回「宇佐美貴史が武藤嘉紀に劣る理由~海外移籍を成功させられないフロントの犠牲に」

第2回「宇佐美貴史が武藤嘉紀に劣る理由~バイエルンでロッベンに負けた背景」

スプリント力の伸びを評価される宇佐美 実際は長谷川監督の戦術の犠牲?

 最近になってヴァヒド・ハリルホジッチ監督就任後の日本代表へ招集されて以降にスプリント数の大幅な伸びを評価されている宇佐美ですが、コレにも大きな落とし穴がある気がします。それはガンバ大阪の長谷川健太監督が採用する戦術により、必要のない負担をかけられているのではないか?というもの。

 現在のガンバ大阪が攻撃的なサッカーなどしていない事は、2人のセンターバックが常にゴール前で守ったり、ぺナルティエリアの枠内に4人のDFが入るポジショニング、相手のクロスを上げる選手に対してはサイドMFのプレスバックが優先の守備戦術を採用している事からも明らかです。

 これはガンバ大阪に限った事ではありませんが、Jリーグのチームはボールを奪われたら、いったん自陣で守備ブロックを組んでからでしか守備戦術を出せないという特徴があります。プレッシングで前でボールを取るかどうかに関係なく、いったんは引いてチャレンジ&カヴァーがセットポジションで組まれてからでしか守れない。湘南ベルマーレだけが、このJリーグの古い慣習を打ち破るような方法論を見せていると思いますが、あとは・・・・川崎フロンターレが乗ってる時はするかな?くらいに見えます。

 筆者の考え方としては、「FWに守備をさせた方が良いですか?負担をかけないなら守備させない方が良いですか?」という問い自体がおかしな質問に思えます。それでも、「FWに守備をさせた方が良いですか?」と聞かれたら、「プレスさせろ」と言いたいです。ただし、その理由は、「ハードワークしろ」という意味ではなく、「FWに負担をかけたくないから」です。「運動量を減らすためにプレスしろ」が正解。守備をする=運動量を増やすではなく、チーム全体がコンパクトに押し上げて守れば、FWが動く距離は5m程で済むからです。