56〗Stadion Partizan / ベオグラ-ド


大セルビアの市民クラブと汎スラブ の軍隊チ-ム

◇◇◇◇◇

パルチザンは、同年十月ユーゴスラビア人民軍のスポーツ協会所属部門として設立された。名称は共産党パルチザン軍を称えるもので若手将校グループに加えスペイン内戦に参加した兵士が加わる。設立間もなく雪の積もる中でCSKAモスクワとの試合記録が残されていた。パルチザンは間もなく軍から独立するのだが、大セルビア主義的な赤星に対抗してクラブカラーに黒を取り入れ汎スラブ主義を打ち出した。現在の両クラブサポ-タ-からは政治的イデオロギ-の対立は薄れている気がする。しかし半世紀の間に様々なトラブルが火に油を注いだ結果、憎悪の連鎖によって世界屈指の危険なデルビ-が作り出されたのだろう。
◇◇◇◇◇


◆◆◆◆◆

改めて二つの主義を説明しておくと大セルビア主義は、セルビア人が居住する場所はセルビアの領土。他民族や国家の領土や支配権すら侵害しかねないナショナリズム。一方の汎スラブ主義はスラブ民族の統一と連帯を旗印に掲げ、あくまでもロシアが盟主として主導権を握る前提だから日本人からするとどちらも微妙で理解に苦しむところ。その後’90年代にユーゴスラビア解体されセルビア主義が再び台頭した事で、ツルヴェナ·ズヴェズダのサポーターの一部にこの思想が支持される。スタジアムが民族主義を象徴する為の場に変貌したのは非常に宜しくない。
最後の写真はギリシャ中部、アテネから北へ二百キロの都市ラミアのPASラミア1964在籍時のトシッチ。昨夏でこのクラブを退団し三十六歳で引退かと思われたが約五ヶ月浪人しての現役復帰。年明けから所属するのはロシア西部のFC SKAロストフ·ナ·ドヌ。EU非加盟反NATOを貫く国家で汎スラブ主義?のクラブでプレーしていればこの時期シベリア方面に向かうのも然程抵抗はないのだろう。〖第五十六話了〗
◇◇◇◇◇


◆◆◆◆◆
⏹️写真/テキスト:横澤悦孝 ⏹️モデル:あかり