Foot ball Drunker 〔97〕visiting 『 Štadión Antona Malatinského』 トルナヴァ / スロバキア

商業施設とスタジアムが一体化、クリスマスイルミネーションと買い物客の装いで華やか賑やか。試合を取材したのはUEFAネーションズリーグのウクライナ戦。ハールィチ·ヴォルィーニの時代、スロバキアはハンガリー王国の一部として国境を接しており、それは現在も変わらぬ隣国対決。

日本と韓国の対戦に限らず、欧州でも歴史的に因縁深い隣国同士の対決となれば、異常な盛り上がりをみせる。欧州は猛暑下での過酷なシーズンが幕を開けた。あらためてトルナヴァ州の州都を説明するとスロバキアでは七番目の人口、およそ6万8千人。170万人を越えるかつてのオーストリア=ハンガリー帝国の都までは僅か130キロの距離。東京からならば甲府あたり。


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UEFAヨーロッパリーグ予選2回戦、アルバニアのFKクケシを二試合で合計5-1と軽く一蹴そたアウストリア·ウィーン。
一方トルナヴァもアルメニアのFCシラク·ギュムリにホームで2-0。観客も六千人をオーバーだから、こんなもんかと。
3回戦で隣国対決が実現。2016年7月28日の三回戦、初戦の会場はウィーンのエルンスト·ハッペル。

結果は0-1。フットボールでは度々起こるジャイアントキリングと書いたらトルナヴァサポーターは怒るだろうか。

計21本放たれたホームチームのシュートはネットを一度も揺らせず。対して僅か四本、それも枠内に二本だけのスパルタクのシュートが50%の確率で決まった。後半キックオフ直後に決まったこの虎の子を守るため、トルナヴァには後半だけでも七枚のイエローカードがだされたが、荒っぽくも決死の守りでギリギリ凌ぐ。5万人収容のスタジアムに当日僅か6800人程度の観客。トルナヴァサポーターの熱狂と歓喜が目に浮かぶ。

迎えた翌週の試合には19,200人収容のシュタディオーン·アントナ·マラティンスケーホに17,152人の観客が詰めかけた。
この日、トルナヴァの街が赤と黒に燃え上がった。

純白のアウェーユニのアウストリアはこの日も倍以上のシュートを撃つが堅い守りに阻まれる。トルナヴァ市民の歓喜目前の88分、定石どおりゴール前への放り込み。センター頭で繋いで最後は途中出場のケビン·フリゼンビクラー:Kevin Friesenbichler【1994年5月6日生】が頭で決めた。値千金の同点ゴール後、突入した延長戦でも決着はつかず、死闘の決着はPK戦へと持ち込まれた。


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四人目まで誰も外さず最後のキッカー、アウストリアはフリゼンビクラー。GKが左に飛んだのを確認してど真ん中に丁寧に蹴る強心臓。そして最期に登場したミルコビッチはPKを止めらピッチに倒れ込む。ショックのあまり仲間が駆け寄ってもしばらく立ち上がれなかった。
さも見てきたように文字にしているが、実はこの試合は現地でもTVでも観ていない。たまたま見つけた動画からこの試合の記録をネットをあさって紐解いた。その動画はこちら↓


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BGMにはスウェーデン出身の人気DJのアヴィーチー(本名:ティム·バークリング:Tim Bergling【1989年9月8日生-2018年4月20日没】)の大ヒット曲『ザ・ナイツ』(2014年)が驚くほどハマっている。素人がこさえた見るに堪えない動画が散見すyoutubuではあるが、この作品の編集は非常にセンスが良く気に入っている。最後のPK失敗シーンがカットされているのもよい。

Made memories we knew would never fade
思い出は、決して色褪せないと僕らは知っている