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サッカーとの思い出⑤ 〜いったんサッカーから離れて感じた「サッカーのある日常」

 そんなリーグ優勝を飾った翌年春に僕は大学を卒業して社会人になりました。皮肉な事に睡眠時間2時間ぐらいしかない日もざらにあった学生時代よりも時間が出来ました。また、ガンバが前年のリーグ優勝により初めてACLへ出場する事で国際試合が万博でも観る事ができるようになった事もあり、約6年ぶりに万博を訪れる機会がありました。ファンクラブにもその頃から再加入しました。

 しかし、社会人になって徐々に責任のある仕事をするごとに、次第にスタジアムに行く機会は少なくなっていきました。半年以上前に休暇を予定していた親友の結婚式にも行けないほど、土日休みを取れるかが分からないので、サッカー観戦の予定を入れる事など当然できずでした。始発終電どころか、職場に泊まる事もあったぐらいです。

 それでもガンバのリーグ戦は全試合録画して観る事は出来ていました。その時間だけが幸せに感じた日々でした。2007年のナビスコカップ優勝も仕事で行けず。試合結果を聞かずに帰宅してから録画を楽しもうと思っていたのですが、帰路となる電車の中で「優勝出来て良かったよな」というような声を耳にしながらも、ナビスコ優勝を素直に喜んでいました。

 その2007年の主力だった長身FWバレーは、今季のJリーグで無敵ぶりを発揮したFWパトリックと似ていて、長身にも関わらずポストプレーが物足りないものの、スピードと裏への抜け出しが得意で決定力は低いという特徴もありました。それでもクラブは彼ばかりに契約延長と年棒大幅アップを用意する傍ら、前年のJリーグ得点王となったFWマグノ・アウべスを冷遇。そのマグノが無断で移籍交渉のために中東へ向かって謀反を起こしたというのもクラブの責任だと感じていました。

 また、この“マグノ脱走劇”の前日に、僕は彼が箕面のカルフールで家族全員の大きな買い物をするのを目撃していたために色々と思うところもあるのです。

 バレーは「焼き肉はでんが1番や」のCMで歴代最適のキャラクター的には最高に良い人だと思ってるものの、このタイプのFWがいれば、どうしても頼ってしまう事を感じていたので受け入れてはいけない、と日本人としてのプライドという括りで思っていました。それが今のパトリックへの僕の観方に繋がっています。今季当コラムのマッチレポートで最も評価点の平均が高かったのは彼です。でも、そこへ頼ってはいけない、との思いが強いですから、その旨は否応なく書かせてもらっています。「寸評」としてパトリックには厳しい事を書いています。それはずっとガンバのサッカーを観続け来た者としてのプライドがそうさせるのだと思います。

 それでも、2008年のACL優勝は、準決勝第1レグと決勝第1レグは現地観戦できました事もあり、本当に休みもない日々の中でガンバの試合を観てる時間は幸せで、喜びがありました。

サッカーを観れる喜び、語る/伝える楽しさ

    

 その後、始発終電の生活への疲労と不満というよりも、そこまでして結果を出しても周囲と同じ評価である事への満たされない絶望感に苛まれてこの会社を退職した僕は、兵庫県・神戸の海浜公園で暇を潰していた日に再びサッカーに接近する機会に巡り合いました。

 その海浜公園で心身の疲れを癒すため、僕は1人でボ~ッとしていたら、ある時偶然にサッカーボールが転がって来ました。「すいませ~ん」と大人たちが多い集団がボールを要求していたので、転がって来たボールをダイレクトで30m以上の距離を蹴り返しました。そのボールを正確に鋭い弾道で蹴り返したあと、そのヒト達が僕のところまで追って来て、思わず僕は逃げました。「速いボール蹴り過ぎた。怒られるわ」と。

 しかし、待っていたのは「ちょっと今のキックを教えてもらえませんか?」でした。その日僕等は一緒にサッカーをし、そのヒト達はいわゆる地域の小学正サッカーチームを運営していた親御さんとその子供達の集団でした。そして、こうした経緯から週2回ですが、僕もボランティアでサッカーを教える立場のお話をもらいました。

 正社員雇用の会社を退職し、非正規雇用で働く傍ら、非正規なら非正規でチャンスもあると感じていた僕はその時間をサッカー指導に使いました。あまりにも練習が上手くいかないのでタグラグビーの練習をしたら親御さんたちに酷く非難されたりもしました。狙いは、“前へのパス禁止”というラグビーのルールを条件にし、ボールを持ったら自分で前へ運ぶこと(ラグビーならラン、サッカーならドリブル)を意識してもらこと。または守備側は相手に身体を当てる事を意識させるためです。コレは上手く行きました。

 僕は戦術論なども時々語っちゃってますが、僕の中での唯一信じるサッカーの戦術は「ボールを持ったら1歩でもゴールに近づけろ!」です。ボールを持った時が1番楽しいに決まっているし、その時に何が出来るかを練習しているからです。その上でどうしたらボールがもらえるか?というのが僕の中での練習メソッドの核です。

 ボールをもらう練習としてはイビチャ・オシム元日本代表監督の練習で有名な「3色ビブスのパスゲーム」も取り入れました。3色のビブスを来た者がいて、そのうちの2色が同チームでパスを回す練習ですが、僕の合図でその2色が入れ替わります。青と赤が同チームでも、次の瞬間は青と黄が同チームになって赤は敵としてボールを奪う側になるというような切り替えの速さを、頭と体両方でこなす練習です。全く上手くいきません。そりゃそうです。大人がやっても上手くいかないでしょうから。

 もともと上手く行かないのも計算済みですし、子供達のモチベーションを上げるためには、「この練習は日本代表でもやってるから」と言葉を送ると、練習後に迎えに来た親御さんとの会話に、「今日は日本代表の練習をしたよ」と目を輝かせながら話す子供たちの姿も未だに忘れられません。

 それからは、非正規の仕事とこのボランティア、さらに退職後に旅行したイングランドやイタリアでの本場のサッカーをもっと多くの人に伝えたいと思いました。

 今はさすがに正社員として働きながらはサッカー教えられないので指導とはご無沙汰ですが、今まで経験した事、伝えたい事を当コラムで発信していきたいと思いますので、今年もよろしくお願い致します。