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サラリーマン・ハリル! 〜日本人のワークスタイルとマッチした指揮官〜

☆過去に例を見ない完成体になる可能性も

 逆にハリルホジッチとしても、日本の選手は扱いやすい。体脂肪率の高い選手を名指しで批判した問題や、細かな練習メニュー、修学旅行のような厳しいルールは世界では受け入れられない部分もある。

 しかし指導者の発言に素直に耳を傾ける日本人は、体脂肪問題の際も不満気な声は聞こえなかった。中には体脂肪は少しあった方がいいという選手もいたが、公然と反旗を翻すような暴れん坊は誰1人としていない。
 ハリルホジッチも「宇佐美が体脂肪に関する私のアドバイスを聞いてくれて嬉しかった」と話すように、日本人の従順さは彼にとっても新鮮なものかもしれない。

 5月12、13日におこなわれた国内組によるプチ合宿に招集された大久保は「日本人は言われた事は全力でやるけど、言われなかったら何もしない。ハリルホジッチさんはズバズバ言ってくれて分かりやすい」と発言しており、思った事を口に出すハリルホジッチの性格は日本文化にマッチしているかもしれない。
 歴代の代表監督も「日本人は言われた事しかしない。プラスアルファが無い」と語っており、どこまで説明すればよいのか分からず困惑したシーンもある。

 求めて、求められる。この道筋がしっかりと出来上がれば、日本代表とハリルホジッチは日本サッカー界の歴史を塗り替える事になってもおかしくない。アギーレが解任された時、多くの人は日本人監督を希望した。
 
 確かに日本人同士であれば文化的にも苦労する点は少なくなるし、Jリーグの事もよく分かっている。そんな意見がある中で日本サッカー協会はハリルホジッチを指名した。「誰?」と思った人も多いはずだ。
 相変わらずの外国人監督の登用となった訳だが、ハリルホジッチは驚異的なスピードで日本サッカーを勉強している。その勤勉さは日本人指揮官にも引けを取らないはずだ。

 日本人が指揮官になった場合でも仕事をきっちりこなしただろう。それは勤勉な日本人であれば当然のことだ。しかし日本人はハリルホジッチのようにズバズバと選手に注文を付けるようなことはしない。
 性格的に選手のハートを傷つけないようにオブラートに包んで伝えようとするだろう。ロシアへの3年間を逆算したとき、その伝え方では成長スピードが遅いかもしれない。日本と欧米をミックスしたようなハリルホジッチは、日本にとってのベストパートナーとなるかもしれない。

 残るピースは戦術だ。ハリルJAPANとしてまだ2試合しか戦っていないため、彼の戦術を100%理解した選手もジャーナリストもいないだろう。これから彼独特の色がチームに注入されていくはずだ。問題はそれが日本人に合うのかどうか。
 少なくとも彼が2014ワールドカップで率いたアルジェリア代表での戦術は、日本にマッチしない。対戦相手によってシステムを変えるのは研究熱心な彼らしいものだが、システムの変更に柔軟に対応できる日本人が果たして何人いるだろうか。
 言われれば動く日本人には、そのシステムの解を1から10まで伝える必要がある。それをワールドカップのような短期間で出来るとは到底思えない。詰め込みすぎるとパンクし、本来のシステムですら機能不全に陥る危険性もある。

 その戦術は11日のイラクとの親善試合、そして16日より始まる2018ロシアワールドカップアジア2次予選で徐々にベールを脱いでいく。勤勉、選手への厳しい注文、規律、Jの選手に芽生えさせた海外組との競争心、勝利に飢えた精神・・・。導入部分は完璧といっていい。
 
 後はここに戦術が加われば過去に例を見ないほど面白いチームが完成するかもしれない。迷いに迷ったロシアへの道が少しずつ明るくなってきたかもしれない。