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キリンチャレンジカップ 日本代表対ホンジュラス代表

 ホンジュラスはブラジルW杯に2大会連続出場を果たしたものの、日本と同じく未勝利でグループリーグ敗退で監督交代が行われ、国内リーグでタイトルを獲得してきたエルナン・メトフォード監督が就任して4カ月目。現在のFIFAランクでも日本が52位なのに対して69位という実力的には同格であり、監督交代後の結果と試合内容の悪さから、すでに監督解任論が囁かれる代表チームを取り巻く状況としても日本に近い状況かもしれません。有名な選手としてはプレミアリーグでも実力が認められているCBマイノル・フィゲロアや、サイドバックながらスコットランド年間MVP受賞のエミリオ・イサギレ等がいるものの、今回はW杯後の新チームという事で経験者よりも若手が多い人選で入っています。

 試合の方は日本がキックオフからハイプレスを敢行。最前線の岡崎から連動したプレッシングで中盤でボールを奪って主導権を握ります。プレッシングで相手にロングボールを蹴らせた際も、CBコンビの吉田&森重が強さと読みの鋭さを発揮するだけでなく、この日W杯後に初めて代表のキャプテンマークを巻いた長谷部がセカンドボールをどんどん回収していきます。

 そんな理想的な試合の入りをした日本は9分。左サイドで武藤の仕掛けからCKを獲得すると、代表復帰した遠藤の左CKをニアサイドで岡崎がフリックしたボールを相手がGKがこぼし、吉田が押し込んで先制。1-0。プレッシングで相手を圧倒してセットプレーから先制するという”サッカー理想的な試合の進め方の教科書”という文献があれば、どんな監督でも選手でもサポーターでも書きそうな理想的な試合運びからの先制点をゲット。

 日本は先制してからは立ち上がりの激しいプレッシングは弱め、ホンジュラスのフィジカル勝負のサッカーで中盤での競り合いでホンジュラスが主導権を握る展開に。それでも日本は長谷部が的確なポジショニングでホンジュラスのロングボールからの落としを回収してピンチを未然に防ぐ頭脳的な守備を披露。危ない場面やカウンター回避の場面でのプロフェッショナル・ファウルで止めるのもインテリジェンスに溢れていたものの、ファウルの数が多過ぎたか?遠藤のタックルが警告を受けたのは主審が長谷部と勘違いしたためか?どちらにしても長谷部に原因がなくもないものの、前でボールを奪いに行く時と、守備ブロックを組んで待つ守備のメリハリのつけ方は代表復帰した長谷部&遠藤の”鉄板コンビ”による的確な状況判断でチーム全体に浸透しており、引き締まった守備と試合運びが出来ていました。

 この引いて守った時間帯でも遠藤がオフサイドラインぎりぎりで裏を狙って岡崎を走らせるパスや、左サイドの武藤や酒井高徳を使うロングパスなどで速攻を披露。このいかにも”アギーレっぽいサッカー”に遠藤が何の気なく馴染んでいる姿は輝いていました。
 また、最終ラインからのビルドアップでは長谷部がCBコンビの間に入ってスムーズなボール回しを見せ、吉田や森重が鋭い縦パスを通す場面もあってピッチ上の選手全員が機能していました。

 そして、そんな”アギーレ流”がさらに形になったのが前半終了間際。ホンジュラスが中盤で不安定なパス回しをしている時、岡崎がプレスしてボールが転がり、長谷部がスライディングでクリアしたボールがそのまま相手DFラインの裏に流れ、そこに動きだしていた本田がフリーでゴール方向へ。確実にGKと1対1にまで持ち運び、慎重に脇を抜いた左足シュートを流し込んで日本が40分に2-0と追加点。

 さらに直後にも本田が中盤でボールを奪い、FWを追い越す動きを見せた香川が右からエリア内へ侵入して本田のパスを受けての左足シュートは惜しくも外れたものの、2点目と同じく理想的なショートカウンターでした。

 そして44分。日本が人数をかけて波状攻撃をバイタルエリアで仕掛けてボールを回し、本田が相手を引き付けてのパス。一瞬スペースと時間が空いた遠藤が精度が高い豪快なミドルシュートを炸裂させて3-0。鹿児島実業高校時代のような遠藤のミドルシュートでした。

 日本は3-0というスコアと”アギーレ流”で考えれば、これ以上ない試合運びで前半を折り返しました。

W杯未選出の悔しい思いをした乾&豊田が躍動

 後半、日本は開始から左ウイングに武藤に替わって、ドリブル突破と得点力に魅力がある乾を投入。この采配がいきなり当たります。
 47分、攻守の切り替えから遠藤が右サイドの本田へ正確なグランダーの長いパスを通して速攻この速い攻撃の中でも本田の外を全力疾走する内田が囮となって相手守備網を分散。本田は内田を囮としながら動き球のパスを逆サイドから中へ入る動き出しを見せた乾へ。フリーの乾の豪快なダイレクトシュートが決まって4-0。

 その後、ホンジュラスは僕的には注目の左利きのMFマリオ・マルティネスと長身FWブライアン・ロチェスを投入。ロングボールとセットプレーでこの2人が脅威となって日本ゴールに向かったものの、厚みのある攻撃は出来ずに空振り。

 日本は大量失点で集中力を欠いたホンジュラスの裏をつく速攻が冴え、69分には右サイドの本田からエリア内へ抜け出した香川へスルーパス。自らフィニッシュに持ち込めずとも粘り、こぼれ球を豊田が難なく決めて5-0に。
 さらに74分にも似たような展開で香川がゴール前に飛び出して粘り、もつれたところをセレッソ大阪時代のゴールデンコンビであった乾が蹴り込んで6-0に。

 その後も5,6点目と同じような攻撃から豊田に決定機が訪れたり、本田が相手GKを強襲した直接FKを放つなど終始日本ペースで試合を進め、結局は6-0という大勝を完封で締めました☆

やはりガンバの再建過程に似ているアギーレジャパン=すでに”遠藤のチーム”も、老舗温泉から新しい源泉

 アギーレ体制になって初めて招集された遠藤にボールが集まるというブラジルW杯メンバーで固められたこの日の先発メンバー。しかし、”老舗”と思っていた温泉の湯からは、新たな源泉のお湯が沸いていました。
 コレを簡単に表現するならば、上記の過去のアギーレジャパンのマッチレポートにも書いている通り、2012年にJ2へ降格してからJ1復帰、ナビスコカップ優勝へ至ったガンバ大阪の再建過程にそっくりです。長谷川健太監督が守備の整備からチームを再構築。攻守の切り替えの速さを重視したトランジションサッカーで、攻守のメリハリが利いた柔軟性のあるサッカーで結果を出しています。それがJリーグの中で行われるのと、国際舞台で行われるのとは意味合いが違いますが、アギーレ監督も長谷川監督と似たようなキーワードを連発している事や、この日の遠藤の即フィットも間違いなく現在のガンバに要因があるはず。

 では、最後に個人採点をお楽しみ下さい☆

【選手採点・寸評】

先発出場
選手 採点 一言
GK川島永嗣(81分まで出場) 5.5 何もしてないに等しい。西川との比較でフィード能力の乏しさを感じたのと、所属クラブでの出場機会が少なく自信を失ったか?コーチングも威勢がなく吉田等ともつれる事も多かった。
DF内田篤人 6.5 本田に使われる事はあまりなかったが、効果覿面・タイミング最高の攻撃参加で大量得点勝利に貢献。相手左SBイサギレも全く彼には敵わなかった!!
DF吉田麻也 6.5 先制点を奪い、高さでも競り勝ち続け、ビルドアップでも貢献度大!
DF森重真人 6.5 的確なインターセプトで主導権を握るゲーム運びに大きく関与。もはや大黒柱といって良い存在感。なんでブラジルW杯で主力ではなかったのか?大きな疑問。
DF酒井高徳 7.0 遠藤にゴールに繋がったような左サイドでのパスワークに絡んでチャンスメイク。逆サイドからのボールを引き出す積極的な動き出しや懸命な守備でも際立っていたし、長友とは違った魅力を見せた☆
MF長谷部誠(77分まで出場) 6.5 やっぱりキャプテンはひと味違う!!ファウルは多かったが、危機察知能力の高さとポジションニングの妙で攻守を完璧につないだ。細貝とは違ったタイプのアンカー像を見せた。
MF遠藤保仁(70分まで出場) 7.0 予想通りに最高のタイミングでの代表復帰だった。ガンバも長谷川健太監督就任後に、この”アギーレ流”に似た攻守のメリハリやバランス感覚、柔軟性を重視したサッカーをしている中でタイトルを獲得→代表復帰。彼は”代表運”を持っている☆
MF香川真司 6.5 目立たなかったが効果的な働き。速攻を引き出すロングパスの供給。FWに縦パスを当ててエリア内へ侵入してフィニッシュに絡む姿勢。中盤のエリアで身体を張ってハードワークする守備面。アギーレ体制になって最も変化した選手。代表チームにとってはコレは良かったが、彼本人としては・・微妙かもしれない。このさじ加減が今後は重要になるだろうが、この日の彼は良かったし、セレッソ入団当初のボランチの感覚も活きた☆
FW本田圭佑 6.5 内田がいれば楽そうでした。ラームが後方にいる時のロッベンかリベリのような安心した表情。でも彼も遠藤と同様に”代表運”を持っている。所属するACミランで今季からインザーギ新監督の下で、4-3-3のシステムでカウンター志向の戦術を取る中で、代表と同じく右ウイングのポジションを任されている。クラブでも代表チームでもほとんど同じプレーをするだけで良いのは最適。
FW岡崎慎司(63分まで出場) 5.5 スペースを作って決定機にも絡んだがゴールはならず。大量得点には貢献したが、ワントップがコレでは本人的には納得いってないだろう。
FW武藤嘉紀(45分まで出場) 6.0 ゴールこそ奪えなかったが、キックオフからアグレッシヴに仕掛け続けた。今回は本田に遠慮する場面もあったが、風格はレギュラー級。