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「王者」サンフレッチェ広島の歴史 〜偶然と必然によって誕生した「広島スタイル」

苦難を乗り越えたサンフレッチェはJリーグや日本サッカーの”課題解決屋”

 そんな偶然と必然が交じり合った化学反応で生まれた“広島スタイル”を武器に、サンフレッチェは2008年のJ2リーグで勝点100を獲得する独走優勝により、1年でJ1に復帰する。翌2009年にはJ1昇格初年度でリーグ4位に入り、翌年のAFCアジアチャンピオンズリーグに初参戦。ペトロヴィッチ監督は2007年度の天皇杯、2010年度のナビスコカップで準優勝に終わるも、後任の森保一監督により、2012年と2013年のJ1リーグ連覇を達成。昨年もチャンピオンシップ決勝を制して、直近の4シーズンで3度のリーグ優勝を果たした。

 そして、そんな偉大な結果を残す中で、サンフレッチェ広島は日本サッカー界が直面する課題をいくつも解決してきた。「日本サッカーの“日本化”」、下部組織の充実とトップチームからの一貫体制、日本人FWの育成、外国籍の選手や監督に頼らないチーム作り、現場とフロントやサポーターを含めた一体感、結果に左右されないサッカーの評価基準、などなど。

 J2へ降格しても監督を解任しないクラブが増え、3バックや1トップ2シャドーを使う監督が増え、多くのJクラブに下部組織の在り方(全寮制など)を模倣されるようにもなった。そして、現在の織田社長のようにクラブに長らく関わって来たサッカー畑出身の社長誕生を迎えた。現在の森保一監督を始め、風間八宏(川崎フロンターレ監督)や高木琢也(Vファーレン長崎監督)、小林伸二(清水エスパルス監督)のように、依然としてクラブOBの元選手は監督としても大活躍している。これだけJリーグに、日本サッカーに貢献しているクラブは他にないのではないか?

 筆者が伝えたいのは、「サンフレッチェ広島を知る事はJリーグを知り、面白くさせ、サッカーへの関心を強くする事になるだろう」、という想いだ。同時にそこには日本サッカーの課題と、その解決策や試行錯誤の歴史まで提示されていると感じる。

 昨季から2ステージ制に移行したJリーグ。チャンピオンシップに進出したのはサンフレッチェ広島と浦和レッズ、ガンバ大阪だった。3クラブ共にJ2降格を経験してから新たな黄金時代を築いた部分は共通しているが、J2へ降格したのに年棒1億円を超える選手が3人もいるチームが「苦しかった」と言っても全く説得力がない。攻撃型から守備型へ変形したガンバ、守備型から攻撃型へ変形したレッズ。監督を替え、選手を補強し、“変化”していった現在のJリーグのビッグクラブは“進化”したのかもしれない。

 確かに“進化”“変化”が必要なのかもしれないが、サンフレッチェの“進化”“更新”であり続ける。昨季チームトップのリーグ21得点を記録したブラジル人FWドウグラスが抜けてた今季も、そんな更新されて来た“広島スタイル”を、サッカーファンとして多くの人々に観てもらいたい。

 そして、サンフレッチェのサポーターになれなくても、「2番目に好きなチーム」となってもらえたら幸いです。