かつてナポレオンが英国を迎え撃つための要塞を築いた湾岸都市オーステンデ。ベルギー王室の避暑地としても知られるビーチリゾートは観光客で活況を呈する。駅舎にはおなじみのBのロゴ。駅前からトラムで四区間の距離にスタジアムはあるのだが、あえて一区間で下車しカジノを横目に歩を進めると眼前に白い砂浜が飛び込んできた。十代を瀬戸内海沿いの街で暮らしたせいなのか、欧州の内陸を旅していると海が無性に恋しくなる。アルベルト一世プロムナードを歩けば、潮風を肌で感じ耳にするのは波音。暫し水平線を眺めていると心も穏やかに。意識の奥にある原風景は,海のそばで暮らしたことがない人にも、歴史的な郷愁を喚起させるらしい。普段は昔のことなどすっかり忘れている痴呆オヤの脳内を思い出が駆け巡りノスタルジ-に浸る。「生命の母なる海」の力は偉大なり。
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第24話はKVオーステンデの本拠地、アルベルト·パルク·スタディオン。収容人員は八千五百人弱。チームカラーは赤·黄·緑の信号トリコロール配色。財政難に苦みながらも’13年に九年ぶりにとなる念願のトップリーグ復帰を成し遂げた。ヘント出身の実業家のマルク·ク-ケ:Marc Coucke【1965年1月27日生】氏がクラブオーナーになり財政基盤も安定し出した頃に足を運んでいる。クーケ氏は製薬会社オメガ·ファーマの創業者。翌14年には米国のベリゴがオメガ·ファーマを三十六億ユーロで買収。市販薬のジャンルでは売上世界第五位に。一方クーケ氏は自身の投資ファンドを通じて、ベルギー国内の不動産、建設、製薬、テクノロジー、食品、エンターテインメントなど幅広い業種に投資をしている。
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