2015/11/12アウェーのシンガポール戦は日本にとって重要な試合になった。

 理由は一つ前回のシンガポール戦では常に攻めていながらのスコアレスドローという結果に終わったからだ。

 ホームでシンガポール相手に引き分けという結果は国内メディアがハリルジャパンを叩くのには十分すぎる話題であった。

 迎えた決戦の日にピッチに立ったメンバーを見て驚いた。香川真司ではなく清武弘嗣、岡崎慎司ではなく金崎夢生、そしてボランチの位置には山口螢ではなく今回背番号7番を身に纏った柏木陽介というメンバーで挑んだからだ。

 5年ぶりの代表復帰となった金崎夢生と、ザックジャパン以来の柏木陽介の2人を起用したハリル。試合は終わってみれば3-0と無難な勝利に終わった。

 金崎、柏木どちらもフル出場で日本の勝利に貢献し、最高の復帰戦になっただろう。今回は柏木陽介の変化について書かせていただきたい。

 ザックジャパン発足当初は代表の常連として招集されていて、ポスト遠藤と呼ばれることもあった柏木だが、なかなか結果は出せずいつの間にか代表にも縁が無い選手になってしまった。

 肝心の浦和でも当時自身でもポスト遠藤としてボランチにこだわっていたが、良さが出ずに攻撃的な位置が彼の定位置になっていった。浦和でのプレーも決して悪い動きではないが、厳しい代表の2列目争いに参入するほどのインパクトが残せなかったのは事実であろう。

 そんな柏木が浦和でボランチとして固定されたのは昨シーズンだっただろうか?それまではシャドーの一角での出場が基本スタンスであったが、昨シーズンから今シーズンにかけては完全にボランチとして活躍している。それも今年の柏木は持ち味であった豊富な運動量だけでなく、タイミングの良い攻撃参加から得点を演出している。何よりも今シーズンは中盤でのパス捌きが素晴らしい。ボールをサイドに散らすだけでなく前線にも積極的に楔を入れる。そんな柏木が柴崎が付けていた7番を背負ってシンガポール戦に臨んだ。

 結果としては合格点をあげられるのではないだろうか?停滞する時間帯でダイレクトでの楔やサイドチェンジ、ボランチの位置からの飛び出しと1人違いを生み出そうとしていた。ゲームを上手くコントロールしていたと言えるだろう。

 特に私が印象に残ったシーンは前半40分頃のシーンである。長友がボールを持ったときに後ろにしかパスコースがない状態で柏木が逆サイドから顔を出してボールを受けにいったシーンである。残念ながら柏木にパスは出なかったがボランチらしい動きであった。常に動いてボールをもらえる位置に顔を出す動きが一番見受けられた。もちろん今回の試合でメンバー入りが確保できる訳はない。相手はシンガポールで、実際に強い相手にどこまでできるかが重要になってくる。

 ただ、ハリルの頭にある7番は柴崎だけではなくなっただろう。柏木自身もロシアがラストチャンスと考えているようだ。

 果たして柏木は7番を背負って今回こそ名実共にポスト遠藤となることができるであろうか?