Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/orfool/soccerlture.com/public_html/wp/wp-includes/post-template.php on line 293
no-image

高円宮杯U18チャンピオンシップ 柏レイソルU18 VS セレッソ大阪U18

「高円宮杯U18チャンピオンシップ~高校年代ナンバーワンを決める大会」

 ガンバ大阪が天皇杯優勝により国内3冠を達成した翌日、埼玉スタジアム2002では高校年代日本一を決める高円宮杯U18チャンピオンシップが行われました。

 この大会は高校サッカー部や各地域クラブ、Jリーグのユースチーム全てを各都道府県、地域のリーグ=プリンスリーグに区分。そして、プリンスリーグの上に東西10チームずつが在籍するエリートリーグとして“プレミアリーグ(昇格・降格制度あり)”という舞台が創設され、1年を通して全国規模でのリーグ戦を実地。その東西のリーグ優勝を果たしたチーム同士が対戦するのが、この高校年代日本一をかけたチャンピオンシップとなります。プレミアリーグが2011年に創設される前までは”高円宮杯”として行われていましたが、この全国規模のエリートリーグが出来てからは新リーグシステムと統合。今年で4年目を迎えています。

 そして、今年のプレミアリーグを制覇したのはEASTがプレミア昇格1年目の柏レイソルU18と、WESTは大混戦の末に逆転優勝を果たしたセレッソ大阪U18の両雄。近年、最もトップチームや年代別日本代表、フル代表へ優秀な若手選手を輩出している2チームでチャンピオンシップが行われました。

昇格初年度優勝で、隙のないレイソル
  ドルトムント・スタイルを目指すセレッソ

 柏レイソルU18は、元日本代表のMFでクラブのOBである下平隆宏監督(”しもたいら”と読みます。愛用していたゲームソフト内で”しもひら”とアナウンスされていたので気になっていました)の下、プレミア昇格初年度で見事に優勝を果たしただけでなく、リーグ最多得点・最少失点も記録。全18試合制のリーグに置いて2位に勝点10差をつけた、という記録がどれだけ図抜けていたかを物語っていると思います。
 すでにトップチームでデビューしていたFW大島康樹を頂点に<4-3-3>のシステムを採ってチーム全体でポゼッションを重視したパスサッカーと、ビルドアップの巧さに定評があることからロングフィードでサイドをシンプルに使う攻撃で隙のないサッカーを見せるチームという印象です。

 WEST優勝のセレッソ大阪U18は、昨年度の高校サッカー選手権優勝の富山第一高校や、昨季プレミア優勝のヴィッセル神戸U18、今年の高校総体優勝の東福岡高校という強豪ひしめくリーグを、最終的に勝点1差の中に4チーム(ガンバ大阪ユース、名古屋グランパスU18、ヴィッセル神戸U18)が入った大混戦による大逆転優勝。
 すでに来季トップチームへの昇格が決定している選手が5人もいるタレント集団とも言えるセレッソ大阪U18はトップチームの低迷により、今季途中に大熊裕司監督がトップチーム監督に昇格。村田一弘コーチが暫定指揮を執る中でプレミア優勝を果たしました。
 U18からトップチームを経る事なく、ドイツ1部リーグのドルトムントへ期限付き移籍を果たしたMF丸岡満がすでにドルトムントでもデビューしているように、スタイルとしてドルトムントのような最前線からの激しいプレッシングサッカーを取り入れています。運動量の豊富さとボール際の競り合いの強さを、前への推進力に活かしながらダイナミックなサッカーで躍進してきました。

 そんな両チームの試合はミスの少ない、あるいはミスしても即座にカヴァーできる対応力があるというプロの試合運びのような展開になりました。
 序盤こそ、プレッシングで圧力をかけたセレッソがセットプレーから惜しくもオフサイド判定ながらゴールネットを揺らしたり、レイソルがロングフィードからのサイド突破で、グランダークロスにゴール前でシュートを放つ場面などがあったのですが、ボールが落ち着き始めるのも良い意味で早かった。バタバタするのではなく、状況判断を各自でしっかりとした上でチームとして戦っており、攻守の切り替えが速い好ゲームになりました。

徹底されたコンパクトなプレッシングサッカー

 セレッソはとにかく前からハメていく連動した激しいプレッシングがそのまま攻撃でも推進力として機能。レイソルはセレッソにプレッシングに後手には回るものの、状況を抑えた的確なポジショニングカヴァーリングで対応し、中盤での潰し合いによる緊張感の高い試合展開に。
 プレッシングサッカーの定義とは、相手最終ラインに対してFWがプレスを仕掛け、相手ボランチへのパスコースを寸断。その上で相手サイドバックへの横パスでの展開を施すワンサイドカットを促し、相手サイドバックに対してはFWがそのまま追うのではなくサイドMFが圧力をかける事で、相手の4バックに対してFWと2列目が4人でプレッシングをかける事を意味します。

 そうした試合では決定機がなかなか生まれないものの、セレッソはGKから最前線へ向けた縦パス1本にFW岸本武流が抜け出して相手GKと1対1になった場面。レイソルはクロスをエースFW大島に集め、落としをゴール前の至近距離でトップチーム2種登録のFW会津雄生が狙うという偶発的なプレーからの1度ずつのみという前半はスコアレスで折り返しました。

 試合が動いたのは60分、左サイドからのCK。来季からのトップチーム昇格が決定している左SB温井駿斗ゴール前へのキックがゴール前でバウンド。混戦の中で、これまた来季はトップ昇格のFW前川大河が落とし、MF高田和弥が右足で押し込みセレッソが値千金の先制点。