世界が終るまでは… Tragedyな湘南
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模湾沿いを走る国道134号線。江の島から由比ヶ浜辺りは徐行と一次停止を繰り返すと思って間違いない。それでも真横を江ノ電車両が通り過ぎる光景は風情があって渋滞も苦にならない。『スラム·ダンク』聖地巡礼が大ブーム。エンディングテーマ『世界が終るまでは…を北京で口遊んでいたら大合唱になった二十年前の北京。七里ガ浜近くの鎌倉高校前一号踏切に中国人が殺到し近隣での迷惑行為が急増しているのは残念でならない。
2023年の劇場版は日本円で百三十憶円を超える大ヒット。この作品では主役のリョータが育った沖縄の海(モデルは渡具知ビーチ)と湘南の海岸が重要な舞台となっている。
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欧州ではスタンド上空を海鳥が飛び回り潮の香りが漂うスタジアムに度々出くわす。かつてHNKリエカの本拠地だったカントリダもビーチに隣接したスタジアムだった。現在のルエヴィツァは内陸よりとはいえ、小高い丘の上から見下ろせば、アドリア海の水平線を視界に捉えることができる。クロアチア最大の港湾都市からだと車を九十分も走らせればイタリアの国境を越えられる。かつてはヴェネチア帝国、さらにさかのぼれば東ローマ帝国に属し、ハプスブルク崩壊までは現首都のザグレブと共にオーストリア·ハンガリー二重帝国下にあった。第二次大戦後誕生した旧ユーゴスラビアを経て’91年クロアチアは独立し現在に至る。確かに市内を散策すると中世=オーストリアやイタリアの街並みとどことなく似ている雰囲気も。リエカはクロアチア語で「川」を意味するのでこの写真を選んだ。’20年の欧州文化首都は観光客で溢れるはずだったのだが。
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欧州文化首都が成功 東アジアヴァ-ジョンを提唱した元首相
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1985年の創設当時は各国政府がキャピタルシティ規模の中から開催都市を決定した。しかし経済効果が大きくなるにつれ、町興し的なイベントへとシフトされ、コンペ方式を採用する流れに。文化プログラムを複数の都市が連携して実施するスタイルへと進化した。本年はドイツのケムニッツ、そしてスロベニアのノヴァ·ゴリツァとイタリアのゴリツァ。国境を挟んでお隣の両都市が一組で文化首都を務めるのは初の試み。各国各都市による誘致合戦は更に活気をみせているようだ。
そこで「東アジアでも欧州文化首都をアレンジして実施してみてはどうか」と、鳩山由紀夫:Yukio Hatoyama【1947年2月11日生】元首相が提唱。’14年から“東アジア文化都市”がスタートした。初年度は韓国の光州広域市、中国は泉州市、言い出しっぺの日本は横浜市。20-21年を一回とカウントするので十一回目となる本年は神奈川県に文化都市が戻ってきた。今回の場所は鎌倉。ちなみに韓国は安城市 中国はマカオ特別行政区·湖州市が選ばれた。
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紙面には2017年のUEFAヨーロッパリーグ(EL)最終戦の結果が。既に首位でステージ突破を決めたACミラン以外の三チームには決勝トーナメント進出の可能性が残っていた。モチベーションの低いロッソネロをルエヴィツァで破ったリエカ。しかしAEKアテネがアウストリア·ウィーンと無得点ドローでミッションをクリア。この試合をエルンスト·ハッペルで取材したのが前日。オーストリアからスロベニアを超えてクロアチアへと入国。宿に荷物を置いてまずは飲み屋に直行する。
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お薦めのクロアチアのワインと酔いがまわるラキヤ
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クロアチアは知る人ぞ知るワインの名産地。但し生産量はけして多くない。ザクレブから東、寒暖差の激しい冷涼な大陸部では白ワイン、アドリア海沿岸や島々の温暖な地域で赤ワインが醸造される。お薦めで出してくれた一杯目のワインはクロアチア語でトラミネックとボトルに書いてある。イタリア北部アルトアディジェのトラミン村より持ち込まれた品種はトラミネール。ドイツに始まるドナウ川はオーストリアからハンガリーの領土に入ると一気に南下し再びルーマニア国内から東の黒海へ注ぐ。クロアチアとセルビア、旧ユーゴから分裂した両国の間を縫うように流れるドナウ川沿岸の傾斜地で育まれるのがトラミネック。軽くて酸味も少なめ。フルーティだがトラミネール独特の風味は弱い気がした。せっかくバルカン半島にいるのでラキヤ(RAKIJA)をショットグラスで。これはセルビアやブルガリアなどでも飲まれている果実の蒸留酒。アルコール度数は40%ぐらい。店を出たらスーパーでビールを購入して宿に戻る。1892年創業のザグレバチカ·ピボバラ社。(本社ザグレブ)何でもいいやと手をのばしたら苦手の黒ビール、初代国王の名前を拝借したトミスラヴのアルコール度数は7.5と少々高め。
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