第84話はレンヌのロアゾン·パルク。Roazhonはレンヌのブルトン語名。こちらの収容数は二万九千八百と人口二十二万人に対して妥当な規模。感染症拡大のダメ-ジから完全回復した’22年からの最近三シ-ズンの年間一試合平均入場者数は二万七千人を超えておりフットボ-ル人気の高さが垣間見れる。ロアゾン·パルクでの大金星として語り継がれるのは2019年3月7日、UEFAヨーロッパリーグ·ベスト16でのアーセナル戦。この試合の見所はア-セナルのペトル·チェフ:Petr Čech【1982年5月20日生】に対し十歳年下のトマーシュ·コウベク:Tomáš Koubek【1992年8月26日生】が挑むチェコ代表守護神対決。1-1で迎えた後半二十分、数的有利を活かしての波状攻撃からメフディ·ゼファン:Mehdi Zeffane【1992年5月19日生】のクロスがオウンゴールに。運も味方してレンヌが逆転、四十三分に追加点を奪い初戦を制した。
◇◇◇◇◇
効率的&合理的 ゴ-ルキックから頭で落としてル-プで先制
◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇
しかしこの試合よりも記憶に残る試合がある。あの日あの時は■2019年5月12日リ-グアン第36節スタッド·レンヌ対EAギャンガン。
◇◇◇◇◇

◆◆◆◆◆
フリ-で撃たれた強烈なシュ-トをエリア外のコウベクが足と胸で防ぎ開始早々興奮のボルテ-ジが上がると十五分、コウベクからのロングフィ-ド、この日ワントップのエムベイェ·ニアン:M’Baye Niang【1994年12月19日生】が競り勝ち頭で落としたボ-ルに反応したのは同胞の後輩。イスマイラ·サール:Ismaïla Sarr【1998年2月25日生】のル-プシュ-トは、相手キ-パ-の頭を越える柔らかな曲線を描き無人のゴ-ルに吸い込まれた。現在英クリスタルパレス所属のセネガル代表も映像を見ると初々しい。その後落ち着いていた試合が大きく動いたのは残り十分を時計の針が示したあたり。センタ-バックが退場して数的不利の状況で同点ゴ-ルを許してしまったのは残り時間三分の悪夢。この悪い流れは断ち切れずアデイショナルタイムにPKを献上してしまう。
◇◇◇◇◇

◆◆◆◆◆
キッカ-は背番号十一マルクス·テュラム:Marcus Thuram【1997年8月6日生】。翌月フランスU21代表に招集されるマルクスはまだリリアンの息子の域を出ない認知度。この心理的な重圧のかかるラストプレ-を制したのはベテランのコウベク。キャリアがものを言って試合はドロ-に。この日のレンヌは右サイドにゼファン、左サイドにはラミ·ベンセバイニ:Ramy Bensebaini【1995年4月16日生】を配したアルジェリアコネクション。マルクスとベンセバイとコウベクは三ヶ月後ドイツの国境を越える。ボルシア·メンヒェングラートバッハで再会したのはマルクスとベンセバイ。そしてコウベクはアウグスブルクに。
◇◇◇◇◇

◆◆◆◆◆
さて、最後にレンヌといえばあの人に触れずには終われない。この試合ではベンチを温めていたが前月に若冠十六歳でリーグ·アンデビュ-を果たしていたのがエドゥアルド·カマヴィンガ:Eduardo Camavinga【2002年11月10日生】。フランス屈指の育成クラブとして名高いレンヌ·ユ-スが輩出したなかでも近年の最高傑傑作の誉れ高い。’13年からレアルに移籍する’21年までの八年間をこの街で過ごしている。
◇◇◇◇◇