日々のチーム練習にも顔を出しながらも、チームに合った選手を獲得して編成を組む激務をこなす事になったウォルシュ。
ただし、現場を任される事になり、今までも何となく気にしていた「優秀な選手」と「チームに合う選手」の違いに改めて気付いたウォルシュは、下部リーグに埋もれた才能を発掘する事に考えをシフト。就任早々にGKカスパー・シュマイケルを獲得すると、2012年に現在のチームで主将を務めるジャマイカ代表の主将DFウェズ・モーガン、MFダニー・ドリンクウォーター、FWヴァーディーを獲得。現在のチームの骨格となる選手を一気に揃えたのだ。
土台を完成させたレスターでは、そこから土台となる選手のパートナーに実績を持つ選手を組み合わせて行った。2014年1月にフランス2部からMFマフレズ、2014年夏にはMFマーク・オルブライトン、2015年1月にDFロベルト・フート、2015年夏には日本代表FW岡崎真司とMFカンテを獲得。彼等はチームを2014年のプレミア昇格、2014-2015シーズン終盤の9戦7勝の大脱出だけに止まらず、2015-2016シーズンの奇跡のリーグ優勝に導いた。
ピアソン監督が昨季開幕前に急遽解任となっても、チェルシー時代に4年間を過ごしたクラウディオ・ラニエリ現監督を招聘して動揺なくスムーズにシーズンに入れたのも、ウォルシュが現場を任されていたからだろう。
『バーゲン・ハンター』なだけではない？「ミラクル・レスター」の立役者
そして、優秀な選手を安く買って発掘する能力を称えられ、「バーゲン・ハンター」の異名をとるウォルシュだが、「最高額」を記録する移籍を成立させてもいる。
昨季リーグ2位の24得点を挙げたFWヴァーディーは、2012年に5部リーグのフリートウッド・タウンから引き抜いたのだが、その移籍金は約1億8000万円。イングランドでは4部リーグまでをプロリーグとしてカテゴライズしているが、アマチュアリーグからの移籍金の最高額を記録したのだ。
同様にレスター加入前まではフランス1部での経験が1年しかなく、2年前までは3部でプレーしていたカンテに10億円規模の移籍金を支払うなど、払うべき時にはケチケチせずに大金も使う覚悟を持ち合わせているのだ。
ウォルシュは「移籍先」となるエヴァートンではフットボール・ディレクターの役職に就任。クラブは昨季終盤に売却され、ファルハド・モシリ新オーナーが誕生したエヴァートンはチーム強化のための予算が310億円？との噂も報道されるほど豊富となったため、ウォルシュの手腕で移籍市場の主役になるかもしれない。
ひとまず、岡崎もリーグ優勝に貢献した「ミラクル・レスター」の立役者として、ウォルシュ氏の今後のご活躍を祈りたいと思います！