Foot ball Drunker 〔30〕visiting 『 Estadio de Mestalla 』ヴァレンシア / スペイン

ヴァレンシアの星がカタルーニャに移籍したのは21年12月。昨季は4ゴール2アシストと不調。本人は残留を希望していたが、メディアからは放出候補と連日書き立てられる葛藤の日々が続いた。

人は空を行く鳥祈るように 解き放たれるよ 自由へ”

それが、いざ開幕すると飛ぶ鳥を落とす勢いでゴールを奪っている。
第2節のカディス戦、続くビジャレアル戦の連続ゴール、また代表でも9月12日キプロス戦での2ゴール。すべて途中出場の限られた時間で結果を出している。サイドに空間=自由か有れば速さと巧さでドリブル突破するトーレスこそ鳥のよう。古典的な右ウイング=翼でも、アシスタント役ではなくフィニッシャーをこなせるのが魅力。


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今春の35節vsレアル・マドリー戦で発生したヴィニシウス・ジュニオール:Vinícius Júnior【2000年7月12日生】に対する人種差別騒動。
この件でクラブからは《ヴァレンシアニスモ》を人種差別的な思想であると決めつける事は容認できない旨のコメントが発せられた。
レアルが相手だけに発言の意図にも頷けるのだが、カタルーニャのように独立こそ叫ばないものの、地域の歴史が育んだ言語、歴史、伝統、文化など民族アイデンティティは深く、国家行政の地方分権化を支持し、立法権の受権や自治権拡大を望んでいる。

“罪も罰も背負った熱い涙 歓声と酒でおくるよ”
 やはりこの名曲はヴァレンシアニスタに捧げるとしよう。[第30話了]


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◻️写真/テキスト:横澤悦孝 ◻️モデル:七菜なな