「右ウイング(7番)と左ウイング(11番)で得点力の高い方が2トップに入る」が、ブラジルサッカーの型=<4-4-2>の伝統である。それを踏まえれば現在のブラジルは“ネイマールが2トップに入るような<4-3-3>”である。システム表記や着ている背番号に関わらず、ネイマールは「11番の選手」なのだ。ただ、より攻撃性能が万能な彼は「10番」の役割も兼任しているが、「11番」と「10番」のプレーエリアの原型が共に左サイドにあったのも面白い。
そして、日本戦に出場した守備的MFカゼミーロは、背番号と共に「5番の選手」である。ブラジルはダブルボランチが基本でそれが交流のある日本にも流れた格好なのだが、守備的なボランチを「第1ボランチ」、攻撃的なボランチを「第2ボランチ」としていて、ブラジル国内のベストイレブンを選出する際は、<4-4-2>表記で「第1ボランチ」と「第2ボランチ」という枠が設けられている。毎年選考基準が曖昧なJリーグとは明らかに違う。
ちなみにレアル・マドリー時代に左SBのロベルト・カルロスはずっと背番号3をつけてプレーしていながら、ブラジル代表ではいつも6番を着ていたのは、上記のブラジルサッカー伝統の型<4-4-2>の由来だと考えられるだろう。
「ポゼッションかカウンター?」「自分達のサッカーとは?」こんな問いが乱れ飛ぶ日本サッカー界だが、その時々の監督や選手で微修正できる、または曲げられてもしてしまうスタイルよりも、まずはこのようなブラジルを始めとした強豪国のように、「日本サッカー伝統の型」をつくる必要があるのかもしれない。
「ネイマールは9番ではない。でも、11番なのか?それとも10番なのか?」とブラジルではよく議論されている。未だに答えが出ていないのは、おそらくネイマールは不世出の選手なのだろう。だからこそ、彼は「世界最高額の選手」なのだ。日本でも、「香川真司は何番の選手なのか?」なんて議論が出て来ると面白いかもしれない。