1.長谷部が変えた4-1-4-1のイメージ
6-0と大勝を収めたホンジュラス戦において、私を最も興奮させたのは本田のゴールでも無く、乾&豊田の代表初ゴールでも無い。
長谷部、遠藤、香川で組んだ3センターが魅せた希望の光に最も興奮を覚えた。
アンカーの位置に2010、2014W杯で主将を務めた長谷部が入り、その前には34歳を迎えた遠藤が入った。
ともにアギーレJAPANでは初召集となり、「4年後は戦えないと考えられているベテラン組」の汚名を返上すべく最高のパフォーマンスを見せた。
遠藤は相変わらず高いゲーム能力を披露し、ミドルシュートまで突き刺して見せた。
長谷部も不慣れなアンカーで攻守に躍動し、危険な場面では相手にタックルを見舞う利口なプレーでチームに貢献した。
アギーレ体制後継続して使用している4-1-4-1というシステムは、日本人に1つの先入観を抱かせる。2010W杯で岡田JAPANが採用した4-1-4-1は超守備的なスタイルで、とにかく失点しないことを優先的に考えられたシステムだった。
アンカーにはCBもこなす阿部勇樹が入り、インサイドハーフには長谷部と遠藤の2人が入った。DFラインも自陣深くまで下がり、相手の攻撃を跳ね返す姿ばかりが目に付いた。
あの頃のイメージが強い日本人にとって、4-1-4-1は超守備的なシステムなのだと頭にインプットされている感がある。
特にホンジュラス戦より前の4試合ではアンカーにCBが本職の森重を起用したり、守備に走り回る細貝を起用したりと、阿部勇樹のイメージと重なるアンカーが起用されていた。彼らは守備に安定をもたらしたものの、攻撃面での貢献は皆無。
得点も4試合でわずか3ゴールと寂しい結果となり、やはり4-1-4-1は守備的だという考えが深まっていった。
そんなイメージを払拭したのがアンカー・長谷部だった。長谷部はザックJAPAN時代から不動のボランチであり、攻撃面も優れている。長谷部が遠藤や香川、あるいは1列飛び越えた本田や武藤にパスを配給する事で、これまで見られなかったアンカーからの展開を見ることが出来た。
守備面でも細貝や森重に劣る部分を見せず、それ どころか危険な場面を察知する「危機的察知能力」では2人を凌駕していた。元より長谷部はザックJAPAN時代からイエローカードの数が多く、それだけ危険な場面で相手を潰していた事になる。
「理想とするタイプはX.アロンソ」と答えた長谷部に、新たな4-1-4-1の可能性を見出す事が出来た親善試合だった。
2.日本の3センターに足りない要素
長谷部、遠藤、香川の3センターが機能した事で、得点力アップに光が見えた事は間違いない。
そんな中、2018W杯を目指すにあたって必要なポジションを提言しておきたい。それはボックス・トゥ・ボックス型の選手だ。
ボックス・トゥ・ボックスとは、自陣PAから相手PAまでを走り続けるタイプの選手を指し、 世界の強豪チームには必ずボックス・トゥ・ボックス型の選手が存在する。彼らは攻守両面において常に走り続け、攻守に厚みを持たせる事が主な役割となる。