65〗Šiška Sports Park / リュブリャナ

夜明け前にバルカンからやって来た識者

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スロベニアの首都リュブリャナ。リュブリャニツァ川に架かるRibja Bravは日本語ならば”魚橋”。左岸を見上げればランドマ-クタワ-のリュブリャナ城。右岸にはズヴェスダ公園。橋の向こう側にあるプレシェーレン広場でひと際目立つピンク色の建物が聖フランシスコ協会。公園の手前にはリュブリャナ大学があった。ズデンコ·ヴェルデニク:Zdenko Verdenik【1949年5月2日生】は同大学で博士号を取得している。三十五歳の若さでNKオリンピア·リュブリャナの監督に就任。ユーゴスラビア二部リ-グから三部へと降格してしまい一年で解任。指導者としてのキャリアのスタートはほろ苦いどころか空丁茶並みの苦さ。
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’78年ケルン体育大学でコーチングを学び’81年までザグレブ大学にも。同じ大学で学んだよしみで祖母井秀隆:Hidetaka Ubagai【1951年9月2日生】に誘われると、’91年全日空のコーチを引き受けた。前年イタリアでユーゴスラビ代表を率いた名将と、その代表で輝いた妖精。彼らが日本に腰を据えるなど誰も思いもしなかったあの頃。一足先にユーゴスラビア人のパイオニアは東洋の蹴球途上国の地に降り立った。
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現在は母国で隠居生活を過ごし解説の仕事も。年明け《Pod prečko》に出演した際、24-25シーズン/スロベニア一部リ-グの終盤優勝争いについて興味深いコメントをしていた。
「オリンピアは言うまでもなく、ブラヴォも優勝候補に挙げてよい。彼らは高度に組織化されており、ピッチ上で優れたパフォーマンスを発揮できている。好守の切り替えが素早く、攻撃時には多くの選手が参加し、スピーディーにボールを動かせる。ボールを失っても直ぐに奪い返すことで、カウンターアタックを無力化する。成長の度合いにおいてはどのチームにも優っている。」
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結果は優勝がオリンピア、二位はマリボル、NKブラヴォは五位でフィニッシュとプレーヤーの顔触れを見れば妥当な結果に落ち着いてしまった。
第45話はプロフェッサーから高く評価されたNKブラヴォの本拠地シシュカ·スポーツ·パーク。陸上トラックを備えた多目的競技場。テニスコートも隣接していた。1931年に開場。ヴェルデニクが大宮アルディージャ監督に就任する前(’11)年に指揮を執っていたNKインテルブロック·リュブリャナも本拠地として使用していのがこのスタジアム。

ドナウの真珠で磨かれるストライカ- 

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あの日あの時は■2020年6月20日プルヴォリーガ第29節NKブラヴォ対NSムラ。24節ドムジャレ戦以降、アウェーのマリボル、NKトリグラフ·カラーニ、ルダル·ヴェレニエ相手に四連勝。それでもアウェーでの首位オリンピアとのダービーは流石に分が悪いと思いきや、元U20クロアチア代表のロコ·バトゥーリナ:Roko Baturina 【2000年6月20日生】とマリボルから貸し出されていたアリョシャ·マトコ:Aljoša Matiko【2000年3月29日生】のミレニアム生まれコンビが共に2ゴール。なんと0-5の大勝で破竹の五連勝と勢いが止まらない。順位も九位から六位まで上げてきた。
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