試合が始まると本田は予想どおり、トップに下に入った。
ただ通常であれば、チャンスがあれば自分でもゴールを狙う選手であるが、
裏を狙うような飛び出しはせず、あくまでボールの供給、ゲームメイク、そしてかなり守備を意識し、前よりも後ろとの関係を大事にしている雰囲気。
開幕戦ということもあるのだろう、本田だけでなく、全選手がとりあえず監督の指示を忠実に守って見ようという姿勢のようだ。
なので本田自身は攻撃のコマとしては、それほど重要な立場でないような印象を与えてしまった。
しかしそれが仇になってしまった。
ミランのエリーが36分に後ろからフィオレンティーナ期待の新戦力、カリニッチにアタック、しかしこれが2枚目のイエローで退場処分。
この後、マルコス・アロンソのミランの壁を巻くような芸術的シュートが決まり、ミランにとって「想定外」な形で失点。
状況的には守備の枚数を維持し、同時に点も取らなくてはいけないミランは、本田を下げサパタを入れた。
この緊急事態に下したミハイロビッチの判断はもちろんセオリーどおりだが、
本田に取っては理不尽な交代。そう、監督の指示を忠実に守っていたがゆえの交代。
もし早くから攻撃への参加のポーズを取っていれば、交代選手は違っていたかもしれない。
言い方を変えれば本田が自らの個性を封印したために、自らの首を絞めてしまった。
その後もミランは守備に負われ、満足な攻撃ができず次第に疲弊する。
後半は立ち上がりはミランのポゼッションが上回る。
さらにGKボグダン・ソリンのお世辞にも上手とはいえない手足の使い方で
ミランにも何度かチャンスがあったがそこを突けきれず、
単に体力を消耗しただけになった。