サンドニでのブルターニュ·ダービー
カタールからの映像で日本が盛り上がる一方、フランスでは年明け7日にクープ·ドゥ·フランス(CDF)三回戦で幕が開き、リーグ·アンを挟んで今週末には四回戦が行われる。EAギャンガンとのブルターニュ·ダービーを制したのはスタッド·レンヌ。
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第90話はレンヌのロアゾン·パーク。次はホームで対戦相手はオリンピック·マルセイユ。ならば先月ヴェロドロームでの(0-2敗戦の)借りを返す絶好のチャンス。
2014年5月3日のスタッド·ド·フランス(SDF)。
番狂わせこそカップ戦の醍醐味。幸運なことにクープ·ドゥ·フランス決勝でブルターニュ·ダービーを観戦。実はこの顔合わせ、五年前の再現とあって「遺恨」が再燃。赤と黒の同じチームカラーで聖地のスタンドが埋め尽くされる。八万人もの大観衆の大半はブルターニュ半島から貸しきりバスでやって来たファン·サポーターかもしれない。場内はアルコールNGのためスタジアム周辺は宴会状態。試合前からお祭りムードで盛り上がる。
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四本のポールにはためくフラッグは、仏国のトリコロールに協会の雄鶏、SDFのロゴと白地にスタッド·レンヌのエンブレム。
向き合う二匹が狐にしてはしっぽが細い。確かにお稲荷さまの眷属に似ていなくもないが、この動物はオコジョの冬毛が真っ白に変わる姿=エルミン。清廉潔白を象徴としてブルターニュ公国の紋章。カバー写真のブルターニュ産ビールのラベルにも用いられ、広く愛されている。
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1998年フランス財界の超大物フランソワ・ピノー:François Pinault【1936年8月21日生】がクラブのオーナーに。ちなみに当時マルセイユのオーナーは、2001年まで独アディダス社CEOを務めたフランスの富豪ロベール·ルイ·ドレフュス:Robert Louis-Dreyfus【1946年6月14日生-2009年7月4日没】。
アディダスを辞めると家業(巨大総合商社)の経営に専念。農作物取引のおいてはルイ·ドレフュス社の占めるシェアは9%。欧州ではなく全世界の一割弱。
L10ブロックの座席に腰を降ろし周りの会話に耳を傾ける。言葉の断片からどうやらフランソワ·ピノーが貴賓席に来ているというので、「そりゃすごい。拝んでおこう」と望遠レンズを覗き込むが結局判らず仕舞い。真っ赤なスーツ姿の女性だけは確認ができたのだが。
先代のフランソワではなくジュニアの現ケリング社総帥、フランソワ·アンリ·ピノー:François-Henri Pinault【1962年5月28日生】氏が夫人同伴で御来場と翌日の新聞記事で知る。
試合が進むにつれ、レンヌサポーター女性の透き通るような白い肌から次第に血の気が失せる。五年前のリベンジは叶わず。2-0のスコアで意気消沈の彼らを励ますように試合後花火の爆音が響く。
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アンリ·ピノーに寄り添う夫人こそ、メキシコ出身のハリウッド女優サルマ·ハエック:Salma Hayek 【1966年9月2日生】。
抜群のプロポーションと派手なアクションで一世を風靡、世の男性達を虜にした。映画人としての顔に加えユニセフ親善大使としての活動が認められ2012年には、レジオンドヌール勲章の“シュヴァリエ”」を受勲したサルマ。帰国時の機内で偶然、ヒロインを演じた『ダイヤモンド·イン·パラダイス』(2004年)を鑑賞。フロリダとキューバの間にあるバハマを舞台にピアース·ブロスナン:Pierce Brosnan 【1953年5月16日生】演じる大泥棒がダイヤを盗むアクションコメディ。