53〗Hristo Botev Stadium / プロブディフ

一昨年ブルガリアフットボール協会がUEFAに対してEURO予選ブルガリア対ハンガリー戦をソフィアからフリスト·ボテフ·スタジアムへ変更を要請したのは完全な勇み足。UEFAの了承を得たものの一度は同意したプロブディフ市が掌を返す。現在の作業工程はクラブのプログラムに合わせて調整されており、急遽中断しての試合開催となれば安全性を損なうと建設会社が猛反発。コスタディン·ディミトロフ:Kostadin Dimitrov【1963年5月22日生】市長自ら撤回を発表した。
2019年より同職を務めるディミトロフ市長は、スタジアム建設と国際プロブディフ見本市の所有権を巡るスキャンダルを理由に辞任を要求されたが断固拒否。医師の家庭に生まれたにもかかわらず、高校では電子工学を学びプロヴディフ市立パイシイ・ヒレンダルスキ大学で数学の修士号を取得しておりコンピューターサイエンス分野の造詣が深い市長。スポ-ツではブルガリア·テコンドー連盟の副会長を務め、七段の段位を持っているから文武両道。
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さて、ハンガリー戦はここから前代未聞の大騒動へと発展するのだが、続きは暫く時間を置いて別の機会に。
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労働力流出と少子化 人口減少世界一の悒鬱

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社会主義時代できなかった西側への労働移住。1989年に共産党支配の終焉で人々の移動は自由になり未来はバラ色に思われた。
2004年3月にNATO加盟、そして’07年1月にはEU加盟を果たしよりEU域内の移動は円滑さを増した。その結果低賃金等を理由に国外へ若者は流出、医師やIT技術者など専門の知識·技能を持つ労働者は不足しているのに失業率は高い。更に出生率の低下が著しくブルガリア世界で最も人口が減少すると予測されている国となってしまった。
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ドイツや北欧への流出を留め、出て行った国民を呼び戻す施策として、インフラ·経済·教育など改善すべき問題は山積。
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こどもの楽しみを大人が奪うな

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さて、最後の写真は随分と体格差がある少年達が入り交じっての試合。おそらくU12世代だろう。流石にボテフのアカデミ-チ-ムは上手くて強い。今月日本でポケモンカードの悪質な転売行為とフードロスが問題となったMcDonald’s。日本で食べる機会はあまりないが、先月のUEFA欧州女子選手権取材時のベルン。23時に開いているお店がマックしかない。ハンバ-ガ-とポテトとオレンジジュ-スを小サイズで注文しても日本円で千円以上するのだから笑うしかない。日本マクドナルドは転売対策として購入数制限を打ち出したあたりから、炎上プロモ-ション商法にも思えるので問題はそこではない。

ハッピ-セットはワンコイン価格、物価の高いスイスと比べればその半値でオモチャまでついてくる。そもそも広告宣伝費としてオモチャをつけるのは青田買いのようなもので、幼少期からマックでの思い出を植え付け、大人になっても店舗に足を運んで貰う為の投資が企業の狙いだろう。それなのに、わけのわからん中国人バイヤ-による買い占めの煽りをくって子供達が悲しい思いをするのは納得がいかない。食品廃棄や転売はル-ルではなく個々のモラルの問題だから中国国籍だけを責めるのもピントがずれている。

兎に角子ども向けの商品を大人が買っている時点で気にくわない。気の毒なのは今回の騒動で疲弊した店員の方達。そこでマックに提案するのはサッカ-のようにアンダ-12=十二歳以下の年齢制限の設定。競技をするわけではないから厳格でなくてよい。店員さんが見た目で十二歳以下と判断したらOKぐらいの緩さ。例えば背の低い童顔の高校生ぐらいならば問題ない。大学生は無理があるだろう。実はこの騒動で思い出したのが野球観戦による大炎上。米国や日本国内でも耳にするのがホ-ムランボ-ルを子供から奪う大人。こういったモラルの崩壊には子育ての経験のない大人が増えていることが起因しているのだろうか、世も末である。〖第五十三話了〗
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