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J1リーグ第22節、ガンバ大阪VSアルビレックス新潟〜スタイル転換の妙によるサッカーの怖さ

 後半開始から新潟は2人の選手交代。古巣対決が空回り終わったFW岡本英也に替わって、アジア大会へ挑むU-21日本代表のエースFW鈴木武蔵、左SB大野和成に替わって、プレーメイカーのMF成岡翔を投入し、左SBにはMFの山本康裕が回る攻撃的な布陣に切り替えて来ました。
 逆に3点リードのガンバは緩慢なプレーでまたも新潟に主導権を握られ自陣に押し込まれます。
前半はぺナルティエリア内まで突破される事はなかったものの、後半はどんどん侵入を許して大ピンチの連続に。60分過ぎからはこぼれ球をダイレクトで狙われた小林のシュートがポストに当たったり、鈴木やレオ・シルバに替わって先発抜擢された高卒ルーキーのMF小泉慶にDFライン裏に抜け出されて決定的なピンチを迎えるも、両方ともにシュートが枠を捉えず。前半以上に新潟の決定力の著しい欠如により助けられていました。

 するとガンバは選手交代のカードを切りながら、さらに前がかりになった新潟の裏を突いて効果的な追加点を奪い取ります。
72分、藤春の自陣からの左足でのロングフィードに巧みに抜け出した途中出場のFW佐藤のシュートはGKに阻まれるも、長い距離を走って詰めていた倉田がこぼれ球を流し込んで4-0に。
90分にはカウンターから遠藤がタメを作りながら持ち上がり、DF裏に抜け出す途中出場のリンスに絶妙のタイミングで浮き球のスルーパス。GKと1対1のリンスが落ち着いてワントラップからボールを流し込んで5-0に。
おそらくボールを持ったのも決定機の多さでも新潟に分があった試合ながら、結果的には5-0の大勝に持ち込んだガンバ。何だか不思議なゲーム、いや逆にサッカーの怖さを大勝して知るという奇妙なゲームでした。

ポゼッションからカウンターへの転換は容易も、カウンターからポゼッションへの転換は難しいスタイル転換の妙

 本当に不思議なゲーム内容・結果に終わりましたが、勝敗を分けたのは決定力と言えば簡単です。しかし、それでは単純過ぎます。また、新潟の先制されるまでのゲーム運びに脅威があれば眠気でなく、冷や汗が出てくる展開になったはず。だからこそ、決定力の差では片付けられない要素があると思います。そして、それは両チームの現段階でのチーム作りにあると言えるのではないでしょうか?

具体的には新潟が昨季J1リーグ7位の好成績を土台に、チームの伝統である堅守速攻やショートカウンターだけでなく、レオ・シルバの攻守におけるハイレベルなプレーを軸としてポゼッションサッカーを取り入れ、FW陣にも豊富な駒を揃えてはチーム積年の課題である得点力不足を解消に向けてスタイル転換を図っている途上なのではないでしょうか?
 しかし、ポゼッションサッカーへ切り替える事で、もともとそのスタイルの先端にいたガンバにとっては新潟のボール回しは読みやすく、リスクをかけてくるポイントも見抜きやすく攻略はし易い段階のサッカーになっていたと考えられます。

 逆にガンバはJ2降格と長谷川健太監督の就任によって守備に割く人数が増えて守備意識も高まり、長谷川監督の攻撃コンセプトである”ファストブレイク”なる縦への速い攻撃により、ポゼッションよりもカウンター主体のスタイルへ転換しているチーム。

 そうなると、南アフリアW杯の直前の日本代表の大幅なスタイル転換と同様に、ポゼッションからカウンターへの転換は比較的スムーズに移行するものの、カウンターからポゼッションには移行し難いという事実はチェルシーやレアル・マドリーにも見られる現象。そのスタイル変更の妙がこの日の大差を呼ぶ引き金になったと思います。

 もちろん、その上で、新潟は大井とレオ・シルバという大黒柱を欠いていたために、決定機阻止の部分での欠陥があったところを、ガンバが突いたと言えます。

 今後の方向性としては両チーム共にポゼッション能力はあるので、先制点に対しての粘り強さを意識し、先制後にリードされて前に出る相手の裏を取るようなボールの動かし方でポゼッション能力を活かすべきで、それを現在のガンバは出来ていると言えるからこそ好調をキープしている要因となっているのでしょう。

 ポゼッションとカウンターの併用は日本代表だけでなく、Jリーグでも不可欠な要素である事を再認識させられた試合でした。

<選手個人採点> ガンバ大阪

先発出場

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GK東口順昭:6.0とにかく決定機でも相手が枠内にシュートを放てないという決定力不足により?完封。速攻に繋がる良いフィードもあったが、悪いキックも。
DF米倉恒貴6.0:超絶クロスで千葉時代の同僚でもある倉田のゴールをアシスト。守備面では危ない場面も多かったが・・・。
DF西野貴治6.0:値千金の先制点。逆輸入の長身FW指宿を空中戦では封じたが、起点を作られて危ない場面も。それでもカヴァーリングが光った。
DF岩下敬輔5.5:正直言って安定感は微塵も感じない不出来に終わった。藤春のスペースの対応に追われたとはいえ、西野に感謝しなければいけない。
DF藤春廣輝6.0:前半の先制するまでに仕掛けていたのは彼のみ。前半はMOM級も、後半は相手に狙われて突破口となってしまったが、先発復帰後の初勝利を喜びたい。
MF遠藤保仁6.5:勝負を決めたのは彼のFKから。その精度に感服したが、守備面の軽さもあった。
MF今野泰幸6.0:守備面だけでなく、攻撃面で的確な散らしでゲームメイク。ただ、そこまでタイトな守備が出来ず。岩下との連携がイマイチか?
MF倉田秋(80分まで出場)7.5:ピッチ中を動き回って試合を支配していた”縦横無敵”の活躍。
MF二川孝広(64分まで出場)5.5:先発の役目を果たし、ゴールも決めたが・・・彼のボールタッチが少なかった事が、この不思議な試合を象徴している。
FW宇佐美貴史5.5:鋭い突破からの豪快なシュートや起点となるキープを見せたが、彼にとっての最低限のノルマである1試合1ゴールは達成できず。
FWパトリック(69分まで出場)5.5:あまりボールを収められなかったが、ワンパターンなだけでなく工夫した動き出しがあった。