あの日あの時は■2021年3月27日FIFAワールドカップ欧州予選グループE ベラルーシア代表対エストニア代表。ロシアのウクライナ侵攻は約十一か月後。まだベラルーシ代表がホームでも公式戦開催が認められていた。
試合はヘンリ·アニエル:Henri Anier【1990年12月17日生】
が右足で決めて先制したのはエストニア代表。髭面のストライカーはタリン出身。十代でイタリアに留学、サンプドリアでプリマヴェーラを経験。その後はノルウェー時代を経て’13年からの四シーズンをスコットランド·プレミア。’19年には韓国二部の水原FCにも在籍した。A代表デビューは11年10月のチリ戦。
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ホームチームが前半終了間際PKを得る。キッカーのヴィタリー·リサコヴィチ:Vitaliy Lisakovich【1998年2月8日生】が冷静に決めて同点で後半へ。ロコモティフ·モスクワ所属のベラルーシ代表に初めてレンズを向けたのはこの試合の半年後。’21年10月3日モスクワでのロストフ戦。ミンスクに生まれクロアチアのディナモ·ザグレブのユースで揉まれた逸材。
後半開始10分アニエルが今度は左足で決めて再びエストニアがリードするも、直後にベラルーシは二枚替え。これが奏功して試合を引っ繰り返す。リサコヴィチのダメ押し弾で幕を閉じた。
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目指すはロシアプレミアリ-グ かつては世界のスタ-が集結
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ロシアの傀儡国家の悪名高いベラルーシ。フットボーラーも国内リーグから階段を上った先はロシアプレミアリーグが定番。
アンドレイ·クリモヴィッチ:Andrey Klimovich【1988年8月27日生】もミンスクに生まれエネルヘティクのユース育ち。2005年のプロデビュー、’17年にはFKミンスクから同国を代表する強豪ディナモへと移籍。A代表デビューは、ニュージーランドとの親善試合で無失点勝利。そして‘19年オレンブルグ加入でロシア·プレミアへと参戦。
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’21年ロシア二部のクバン·クラスノダールへ。翌22年には同じく二部のクラブヴォルガ·ウリヤノフスクに移籍するのだがこのクラブが三部へと降格。ロシアは三部までは一応プロになるとはいえこのレベルで代表経験もある選手がプレーするのは些か気の毒に思う。仮にEU国籍を保持していれば、中堅国の二部レベルからのオファーも有り得たのではないだろうか。
そのクリモヴィッチが昨シーズン母国に復帰した。ベラルーシ·プレミア·リーグは日本と同じく春秋制を採用しており、故郷のイスロチ·ミンスク·ラヨンに夏の加入。そうなるとリーグ戦は残り十一試合の状況。結果は三試合のみ出場で一勝二敗七失点はやや不本意な成績。それでも今夏三十七歳の誕生日を迎えた守護神。チ-ムは九月末で23節を終了。十四試合をスタメンフル出場で今季十六チーム中七位は悪くない。29日のダービーでは九十分間を1-1で凌いだがアディショナルタイムに決められ古巣に悔しすぎる敗北を喫した。
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祝 ベラル-シのエ-ス UEFAコンペティションに帰還
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一方ルビン·カザンからバルチカ·カリーニングラードに移籍していたリサコヴィチはクロアチアのNKヴァラジュディン以来六年ぶりとなるEUクラブへの帰還を果たす。昨日スロベニアのNKツェリエはUEFAカンファレンスリーグ初戦でAEKアテネと対戦。ロコモティフ対レッドブル·ザルツブルク戦以来約五年ぶりのUEFAコンペティション出場となった。二日前には強豪マリボル相手に3-0の勝利、三試合目にして初スタメンで二試合連続のアシストを記録しており、ここまで脱ロシアは成功の様子。最後の写真もミンスクの街並から、もう一枚リサコヴィチのブレストアップに変更した。
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