CLグループステージを首位通過しながら、国内リーグ前半戦を降格圏で終えるなど、アップダウンの激しいシーズンを送るドルトムント。10-11、11-12シーズンとブンデスリーガ連覇を達成し、12-13シーズンにはCL決勝にまで進出。
つい3,4年ほど前まで栄華を保っていたクラブが、いきなり降格圏内に沈むなど信じがたい話だ。
しかしサッカーに偶然は起こらない。ドルトムントの低迷にも必ず理由が存在するのだ。ユヴェントスとのCL決勝トーナメント第1戦を終えた段階で、ドルトムントが抱える問題点を炙り出していく。
☆修正しがたい残る2つの理由
1.レヴァンドフスキの移籍
ドルトムントが遅攻を苦手としている事は前編で触れた。それでも好成績を残す事が出来たのは、最前線に位置していたレヴァンドフスキの存在が大きい。ドルトムントはビルドアップに困った際にロングボールを多用するのだが、今はこのボールを収める選手が存在しない。
唯一インモービレが得意としているが、彼はブンデスリーガに馴染むのに時間がかかってしまった。現在のファーストチョイスはオーバメヤンだが、彼はスピードが持ち味の選手のため、体を張ったポストプレーは得意ではない。つまりロングボールがそのまま流れてしまうケースが多くなっているのだ。
その点昨季まで所属していたレヴァンドフスキは体が強く、ロングボールを収める上手さがあった。ドルトムントがCLの決勝に進んだ12-13シーズン準決勝・レアル戦では、セルヒオ・ラモスやペペといったワールドクラスのCBをパワーでねじ伏せ、単独で4ゴールも奪っている。
彼の存在がドルトムントの攻撃を押し上げ、カウンターにも幅を持たせていたのだ。今までゲッツェや香川など放出選手は絶えなかったが、レヴァンドフスキの放出のダメージは計り知れなかったのだろう。彼の移籍が遅攻をさらに苦手にさせた理由の1つだ。
2.ゲーゲンプレッシングの停滞
3番目の理由は、ドルトムントの代名詞でもあったゲーゲンプレッシングの停滞だ。前線から果敢にプレスをかけるスタイルは対戦相手を恐怖させたが、今季はその強度が落ちている。もちろん対策を施された事もあるだろうが、前線でボールを奪う機会がめっきり減ったのだ。
高い位置でボールを奪ってのカウンターが得意技の1つであり、遅攻が苦手という欠点を補ってきた重要な要素でもある。しかしそれが機能しなくなった事で、ショートカウンターを仕掛ける機会が減少している。停滞した理由は定かではないが、選手に走り回る事を要求するクロップでも解決できない問題があるのだろう。
ただ、カウンターの威力は落ちていない。ユヴェントス戦でも見られたが、やはりロイスやムヒタリヤンが前を向いたときの加速力は簡単に止められるものではない。それだけにプレッシングさえ機能すればシュートチャンスを演出するのは難しい作業では無いはずなのだ。
それだけではない。ゲーゲンプレッシングの停滞は、遅攻にも大きな影響を及ぼしている。