Foot ball Drunker 〔84〕visiting 『Arena Kombëtare』ティラーナ / アルバニア

観光客の増加 発展するアルバニア

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前回に続きアルバニアのティラーナ。前回に続きティラーナのマザーテレサ空港。入国は2019年12月19日なので、クリスマスツリーとトナカイが出迎えてくれた。際立った産業の見あたらないこの小国でGDPの二割を占めるのが観光収入。2020年コロナ禍による観光業への深刻なダメージはどの国も変わらない。それでも’22年は、外国人観光客も戻ってきて’19年との比較で5%増しのアルバニア。これは欧州の平均値を上回る数字。


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アルバニア旅行が人気の大きな理由は三つ。まずはアドリア海沿岸の美しいビーチや古城·遺跡等の歴史的建造物など、数々のスポットが点在する。
次に物価が安い。このコルチェビールとフリッツ入りケバブ。西欧に比べれば半額程度、前の晩に入ったイタリア料理店も、味は悪くない。やや食べ過ぎ気味でもお勘定は安かった。


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そして航空路線の拡大。前話のチケット半券はエア·セルビアでベオグラードから。ティラナ国際空港と欧州主要各都市を結ぶのは
ハンガリーの格安航空会社WizzAir。2004年から運行開始したLCCは英七都市 独四都市、伊西の各三都市、フランスはパリだけだが、欧州五大リーグの五大国の他、アイントホーフェンやブリュッセル、そしてワルシャワ、プラハ、ブダペストと東欧主要都市もカバー、更にはアブダビと首都ティラーナを結ぶ充実ぶり。1990年までの鎖国時代には考えられない。

そのぶん鉄道網の不備は目についてしまうが、ポルトガルの地方同様、インフラ整備が劣るぶん、住民は助け合い暮らしておりアルバニア人は親切で優しい方が多い。また鎖国を経験することで保たれた独自れないの文化を大切にする点は日本人と共通するかもしれない。

2006年の映画『インサイトマン』《スパイク·リー:Spike Lee【1957年3月20日生】監督》。作中NYCの警官がわからない謎の言語としてアルバニア語が登場する。
しかし実際アルバニアを訪問している間は、英会話で過ごせるから不便を感じない。観光が大きな収入源ならば、外国人観光客への対応に英語は必須。同国が教育課目で語学を重要視しているのも納得。前回もふれたイタリア語、また隣のギリシャ語のバイリンガルも多い。


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数日間の滞在ならば危険な目にあうことはない。しかしこの観光立国には裏の顔もある。八か月前にこの空港で乗客が搭乗を終え離陸直前のオーストリア航空旅客機が武装強盗団に現金を奪われた報道は耳にしていた。追跡する警官と周辺道路で映画宛らの銃撃戦。強盗団のリーダーは射殺されたとCNNは報じている。
そして、この空港での強盗事件は初めてではない。2017年2月にも同じような強盗事件が発生し被害額は320万ユーロ。’16年6月にはは99万5000ユーロが盗まれている。 ’15年に2件の強盗事件が発生とほぼ毎年、恒例行事かとツッコみたくもなる。


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ソ連邦からぺレストロイカを経てロシアに変わった当時のモスクワを訪問して、「KGBの監視がなくなり治安が悪くなった」と嘆いていた知人を思い出したが、90年前半のアルバニアでは、アドリア海沿岸やティラーナで犯罪組織が雨後の筍状態に。対岸のイタリアからの影響が大きい国ではあるが、イタリアン·マフィアを更に凶悪さで上回り、人身売買や管理売春の魔の手が女性達に及ぶ。またヘロインのバルカン·ルートが固まり、2000~10年代には欧州全体を蝕む。2008年仏米合作の映画『96時間』は北アイルランド出身のリーアム·ニーソン:Liam Neeson【1952年6月7日生】演じる元CIA工作員が攫われた娘を救うため、アルバニアンマフィアを片っ端から殺すストーリー。
この映画を見たカリフォルニア住民がパリは怖いところだと感じたならば苦笑せざるを得ない。