50〗Stelios Kyriakides Stadium / パフォス


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FCパフォスのエンブレムには男性の顔が刻まれているレアなデザイン。彼こそキプロス解放の英雄エヴァゴラス·パリカリデス【1938年2月26日生-1957年3月14日没】。
パフォス県ツァダで生まれた彼は1955年11月、通学途中で二人の英国兵に逮捕された友人が縛り付けられ容赦なく殴打される姿を目の当たりにする。英兵を殴り友人を救出するとその場から逃走したパリカリデス。弱冠十七歳にしてEOKAに加入。’57年2月27日に銃器所持の罪状で十九歳の少年は絞首刑に処された。処刑された反乱者の中では最年少。その後彼の死はその若さと逮捕時の状況等から、大きな論争を巻き起こす事となる。ギリシャもキプロス島民を全面支持し、トルコも加わり、三国間で1959年独立保障協定が結ばれるのは約二年後。こうして翌’60年にキプロス共和国が誕生した後に設立されたフットボ-ルクラブはエヴァゴラス·パフォスと名付けらた。
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女神はサブリナパンを履いて現れる

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’22年六本木の国立新美術館で開催されたメトロポリタン美術館展。その目玉となったのが仏新古典派の画家/彫刻家のジャン=レオン·ジェローム:Jean-Léon Gérôme【1824年5月11日生-1904年1月10日没】が描いた『ピグマリオンとガラティア』。
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二ュ-ヨ-ク滞在時にこの名画は眺めているのだが、最後の写真はそのマンハッタンの五番街:Fifth Avenueに面したセントラルパーク内に構える《美の殿堂》のエントランス。『ティファニーで朝食を』のマンハッタン57丁目と五番街の角にあるティファニー本店までは真っ直ぐ歩いくだけなのに三十分ぐらいかかったからこの公園は広い。
自身が終戦後のオランダでユニセフでの支援を受けたヘプバーンは、スイスでの平穏な日常にピリオドをうち、親善大使として世界の貧困地域へと赴きその惨状を米国議会など世界に訴えた。その活動は癌に侵された体に鞭を打って’93年スイスの自宅で永眠するまで献身は続けられた。衰弱した子供達を抱き抱えるリアルなヘプバーンの姿は二十代前半の若僧には衝撃だった。王様の耳はロバの耳で知られるミダス王のようにギリシャ神話には実在する人物も僅かに登場しているが、大半は史実とは関係ない架空の存在。しかし二十世紀、今や伝説となったるサブリナパンツを履いた女神は間違いなく実在したのである。〖第五十話了〗
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⏹️写真/テキスト:横澤悦孝 ⏹️モデル:Heidi