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目指すはサンフレッチェ広島のMF青山敏弘!【ASハリマ・アルビオンMF武田裕季インタビュー】

 悲願のなでしこリーグ1部昇格を目指しているASハリマ・アルビオン。昨季はプレナスなでしこリーグ2部で7位に終わりながらも、新設されたプレナスなでしこリーグカップ2部の初代女王となった。そして、クラブ史上初タイトルを牽引した背番号10のFW千葉園子はなでしこジャパンにも定着した。

 今季のハリマはなでしこリーグ2部で4位。自動昇格となる首位・日体大FIELDS横浜とは勝点8差、1部9位チームとの入替戦となる2位・セレッソ大阪堺レディースとは勝点5差でリーグの中断期間を迎えた。

 1部昇格争いで追う立場のハリマはリーグカップの期間を利用し、リーグ戦では出番の少なかった選手たちが多くピッチに立ち、尚且つ新たな戦術や選手のコンバートを駆使し、また1つチーム力を積み上げようとしている。
 その成果が出てきたのが、リーグカップB組第6節・愛媛FCレディース、続く第7節・岡山湯郷Belle戦での1-0による2連勝。ハリマはリーグ戦でも第7,8節の1-0を含め、5試合連続の完封を記録しており、今季公式戦は16試合目(リーグ10試合、カップ戦6試合)ながら8度目の完封。実に“完封率5割”という驚異的な数字を誇る。

 ただ、その頃とはまた違った守備組織の構築と攻守のバランスの良さが見られるのが、ここ2試合連続の“ウノ・ゼロ”(イタリア語で1-0の意味)による勝利だ。(試合詳細は下記マッチレポートを参照。)。

≪参照記事≫
『「理想」と「現実」の狭間で課題修正~“完封率5割”に達したハリマが2連勝!』

 その辺りを今季アンジュヴィオレ広島(今季3部相当のプレナスチャレンジリーグに降格)からハリマに新加入し、ボランチとして定着していながら、ここへ来てセンターバック起用が続く、MF武田裕季に語ってもらった。

―――お疲れ様です。今日の試合、相手(岡山湯郷Belle)の中盤を上手く潰せていたと思うのですが。
(武田)「そうですね。今日は中盤2枚が守備的で、対人に強いタイプなので、『とにかくボールに厳しく行け』と指示を出していました。そこで潰してくれるので後ろ(DF)もやりやすいですし、コースも限定されるので、良かったですね。」

―――前節に引き続いてのセンターバックでの出場となりました。逆に本来はCBの主将・藤本まどか選手がボランチでの出場となっています。これまでも練習試合ではDFとしてもプレーされていましたが、今後もCBとしてのプレーが続くのでしょうか?
(武田)「そこまでは田渕(径二)監督の意向もあるので、ちょっと分からないです。」

―――監督からはコンバートの意図は伝えられていますか?
(武田)「チームの課題として、どうしても中盤までパスを繋ぐこと=ビルドアップができていない、というのがあって、監督からは『(後方で)変化を付けて欲しい、繋いで欲しい』と言われています。やっぱり試合の中でしんどい時間でもボコボコと大きく蹴ってしまったら前線の選手もキツイので、パスを繋げる時には繋げられるように、『DFとして後ろでプレーしてくれ』と言われています。」

両足で蹴れるようになったのは中学時代

―――毎試合のように炸裂するロングフィード。それも武田選手は両足で蹴れます。今日も左足でのCKから決勝点をアシストしました。いつ頃から蹴れるようになったのですか?
(武田)「私は中学生からサッカーを始めました。やっぱり始める時期が遅かったので、当時の指導者からは『両足蹴れないと、やっていけないよ』と言われていました。『両足で蹴れるように』と、強く意識していたわけではないのですが、どんな場面でも極力両足を使うようにはプレーしていました。」

―――1人で自主的に朝練などをされていたのかな?と思ったのですが。
(武田)「中学生の時はなかったですけど、高校の時は朝から晩まで授業がない時はボールを蹴っていました。」

―――それが広島文教女子大学付属高等学校時代だったんですね?
(武田)「はい。もうホント試験期間などで部活動がない時でもグラウンドに出てボールを蹴っていました。先生からは『少しは勉強しろ』と怒られてました(笑)。」

―――その後に大原学園JaSRA女子サッカークラブに加入されました。現在はなでしこリーグ1部の『AC長野パルセイロレディース』となったチームですが、ちょうどパルセイロとなるタイミングまで在籍されました。武田選手は専門学校に通う1人の学生さんだったのですか?
(武田)「そうです。ちょうど専門学校生としての卒業だったので、その時の大原のカテゴリー(当時・なでしこリーグディビジョン2、現・2部相当)も考えて、『より高いレベルのカテゴリーで勝負したい』という事を当時の指導者にも伝えました。それで1部の伊賀フットボールクラブくノ一に加入する事を決めました。」

伊賀FCくノ一で出会った偉大な2人のボランチ
―――先日(インタビューをする約1カ月半前)、伊賀でくノ一vsハリマの練習試合を拝見したのですが、その試合をご覧になられていたサポーターや武田選手が在籍していた頃からのスタッフの方からは、「あれがタケ(武田の愛称)なの?すっごく成長していて嬉しいな!」と仰る方々が多くおられました。
(武田)「ホントですか?嬉しいです。」

―――あの頃の伊賀には、宮本ともみさん(2012年限りで現役を引退。現・U-16/17日本女子代表のコーチで、現役時代は国際Aマッチ77試合出場)という偉大なボランチが在籍されていました。伊賀での武田選手はDFとしてプレーされていましたよね?
(武田)「伊賀ではサイドバックやセンターバックとしてプレーしていて、最後の年(2012年)は、キック力を買ってもらっていたのでボランチをやっていました。ただ、宮本さんや那須麻衣子さん(昨季限りで引退した元日本代表MF)のようなレベルの高い選手がいて、ボランチとして試合に出れることが、なかなかありませんでした。」

―――当時を知るサポーターやスタッフの方々は、武田選手が『ボランチなんて難しくてできない』と言っていたのが印象的だったようなのですが、そこからどうやってボランチとしてのプレーを克服して行ったのですか?
(武田)「ボランチはプレーの要求レベルが高いですし、同じポジションにあんなに巧い選手(宮本さん&那須さん)がいたら敵うわけもないし、自分がボランチをやる意味がよく分からないというのは凄く感じていました。ただ、キック力を買ってもらっていたのも分かっていたので、それをなかなか活かせなかったというのもあります。なので、当時は『DFのままで良かったかな?』と思ったりもしていました。」

―――その後、地元・広島で立ち上がっていた創設2年目のアンジュヴィオレ広島へ加入されました。中国リーグなので、カテゴリーを3つも落とす移籍でしたが。
(武田)「実は、『ボランチでプレーする事』、を条件にアンジュへの加入を決意しました。伊賀でのボランチ経験も活かしたいと考えていましたし、それを試合経験を積みながら発揮したいと考えていました。それでもアンジュでは監督交代や守備陣が薄くなって来た事もあって、最後の方はDFとしてのプレーが多くなりました。」

―――現在はボランチでもDFでもどちらでも対応できると思いますが、ポジション的にはどちらで勝負したい!など希望はありますか?
(武田)「全然ポジションに拘りはないですし、監督の要望に応えられれば良いかな、と考えています。」

目標は青山敏弘!現在は“森崎和幸役”担う1人2役

―――武田選手はサンフレッチェ広島がお好きですよね?アンジュ時代からのチームメート・葛馬史奈選手(上記写真9番)と一緒によく現地観戦されていたと伺いました。2015年のJリーグMVPのMF青山敏弘選手のような大きな展開をされますよね?
(武田)「はい、好きですね。もう青山選手はメッチャ憧れのような存在で、田渕監督にも、『青山みたいなフィードをしろ、裏の狙い方とか参考にしろ!』と、よく言われています。
他にも、『(青山とボランチでコンビを組む)森崎和幸選手のように最終ラインに下がっていって繋ぐ役割を担え』とも言われていて、『その2つの役割を両方できるようにしろ』と、ずっと言われています。」

―――ずっと憧れている選手や好きな選手、「この選手のプレーをアイデアにしてる」というような選手はいますか?
(武田)「シャビ選手(・エルナンデス/現カタール1部・アルサッド所属の元スペイン代表MF)と(アンドレス・)イニエスタ選手(現スペイン1部・バルセロナのスペイン代表MF)ですね。憧れはその2人で、理想や目標が青山選手ですね。」

―――“青山敏弘”や“森崎和幸”と、いう具合に固有名詞を用いて指導されるとイメージも付きやすいので良いですよね?
(武田)「監督は私が広島出身でサンフレが好きなのも知っているので、そう言ってくれていると思います。分かり易くて良いですよ。」

―――ハリマとアンジュは同じ頃に創設されたチームですが、毎年のように監督が変わっているアンジュに対して、ハリマはずっと田渕監督が率いています。
(武田)「良い事だと思います。やりたいサッカーが明確ですし、監督がやりたい事をずっといる選手が確実にチーム力を積み上げていけるので。」

―――リーグカップはグループリーグ敗退が濃厚(その後、決定)となってしまいましたが、約1カ月後にはリーグ戦も再開されます。クラブにとっては初の1部昇格へ向けての抱負をお願いします。
(武田)「今は4位につけて中断期間に入っているので、1つでも順位を上げられるように、1部昇格がもっと現実的に狙える位置に行けるように、1試合1試合頑張っていきたいと思います。」

―――最後にお仕事についてもお聞きしますが、今は何時から何時までの勤務ですか?
(武田)「8時半から17時20分まで、サッカーをするようなスポーツ施設の管理をしています。業務的には何でもやっていますけど、それこそ芝刈りもしています。」

―――それは客観的に観ても楽しそうで、有意義な経験に思えます。
(武田)「そう思います。良い経験をさせてもらえているなと実感していますし、スポンサー企業の皆様に本当に良くしていただいています。感謝しています。」

―――本日は試合直後にも関わらず、ありがとうございました。

ザマーやマテウス、現在の長谷部誠を想起させる“フォア・リベロ”

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 ハリマはサンフレッチェ広島のように最終ラインから繋ぐ緻密なパスワークから攻撃を構築するようなチームではない。当然、チーム編成も違う。だからこそ、武田のような展開力を武器とするMFが個人の部分で“違い”を作らなければいけない。“青山敏弘役”“森崎和幸役”を兼任しなければいけないのだ。

 武田は田渕監督の意図するサッカーとは一見違うプレースタイルを理想としていそうなのだが、面白い事に田渕監督もそれを理解しているがゆえ、武田に対してはサンフレッチェのボランチコンビのような緻密な部分でのアプローチを行っている。

 現在の武田のプレーを観て想起させるのは、男子のドイツ代表としてプレーしていたマティアス・ザマー氏(上記写真)やローター・マテウス氏だ。彼等は中盤でゲームメイカーとしてプレーしながら、その後は最終ラインへコンバートされた選手だった。それでいて攻撃の起点となり、チームのボール保持時には中盤のエリアまでポジションを上げてプレーしていたため、その役割は“フォア・リベロ”(前に出るCBの意味)と呼ばれた。

 実は現在のドイツでは昨季4位へ躍進した新興クラブ=ホッフェンハイムで、本職はMFのケビン・フォクトがこの“フォア・リベロ”の役割を担っており、アイントラハト・フランクフルトに所属する日本代表の主将MF長谷部誠も、このポジションと役割を任された事で、33歳のベテランにして更なる進化を見せている。ここ15年ほどは全世界共通であまり使われなかった“フォア・リベロ”だが、現在になって再び“旬”を迎えているのだ。

 今季ボランチとしてプレーしていた武田は、武器とするロングフィードで敵のサポーターをも唸らせるプレーを披露していたが、抑えられる試合もあった。良く言えばダイナミック、悪く言えば大味なプレーをしていた。

 ただ、田渕監督から新たに託された役割をこなす現在の武田は落ち着いていて、チーム全体への影響力もある一回り大きな存在に見える。今は“森崎和幸役”としてのプレーが多いが、本人の理想とする“青山敏弘役”のプレーをもっと出せるようになった時、武田のポジションは“フォア・リベロ”と表現されるのかもしれない。いや、“武田ロール(役)”や、このポジションの第一人者=“皇帝”フランツ・ベッケンバウアーならぬ、”タッケンバウアー”といった新しい名前が良いのかもしれない。

 そして、そんな武田がCBとしてプレーするようになったハリマは、ボールを持ちながら安定してハーフウェイライン付近までDFラインを上げられるようになっている。ボール保持時にビルドアップが安定したので、無理にラインを上げる事を意識する必要もなく、自然と攻守のバランスが上手く噛み合うようになった。まるで今季のハリマのチーム状況は武田のキャリアの成長曲線を辿っているかのようだ。

 逆転でのなでしこリーグ1部昇格を狙うハリマ。現在はチーム力をもう1段階引き上げるための再構築中だが、その中で大きな役割を担う武田は、なでしこリーグ2部どころか、1部のチームにもいない類まれな選手へと進化と深化を遂げようとしている。男子顔負けのキック力を持つ選手でもある武田は、今までの女子サッカーの常識を覆すような選手になるかもしれない。

 ASハリマ・アルビオンの背番号8番・武田裕季は、イングランド・プレミアリーグやドイツ・ブンデスリーガがお好きなサッカーファンの方々にも満足できる武器を持っている。絶対に現地で観るべき選手だ。

【プロフィール】

名前:武田 裕季(たけだ ゆき)
生年月日:1989年10月12日(27歳)
出身: 広島県
身長:165cm
体重:58kg
所属チーム: 広島文教女子大学付属高等学校→大原学園JaSRA女子サッカークラブ(現・AC長野パルセイロレディース、2008-2009)→伊賀フットボールクラブくノ一(2010-2012)→アンジュヴィオレ広島(2013-2016)→ASハリマ・アルビオン(2017-)
ポジション:DF・MF
背番号:8
代表歴:U20日本代表候補
なでしこリーグ通算:130試合出場7得点(なでしこリーグ1部:17試合0得点含む)
今季リーグ戦:10試合0得点

【ASハリマ・アルビオン 今後の試合日程】

≪プレナスなでしこリーグカップ2部≫[グループB]
第10節、8/05 (土)15:00 吉備国大-ハリマ @津山

≪プレナスなでしこリーグ2部≫[8月19日再開!]
第11節、8/19 (土)15:00吉備国大-ハリマ@笠岡
第12節、8/26 (土)15:00ハリマ-ニッパツ@ウインク
第13節、9/03 (日)15:00ハリマ-コノミヤ@ウインク
第14節、9/09 (土)15:00ハリマ-湯郷ベル@五色台
第15節、9/17 (日)13:00ハリマ-オルカ@ウインク
第16節、9/23 (土)13:00F日体大-ハリマ@保土ケ谷
第17節、9/30 (土)13:30S世田谷-ハリマ@味フィ西
第18節、10/07 (土)13:00ハリマ-愛媛L@ウインク

詳細はクラブ公式コンテンツにて。

【ASハリマ・アルビオン公式コンテンツ】

ASハリマ・アルビオン公式HP
ASハリマ・アルビオン公式Twitter
ASハリマ・アルビオン公式Facebook

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【男女 小学4・5・6年生対象】『プロタッチキャンプ2017 参加者募集中!】

ASハリマ・アルビオンは、地域のジュニア育成強化を目的に、夏休みのシーズンに『プロ・タッチ・キャンプ』を開催します。プロ選手の視点やプロコーチの観点で指導を受けることで、ワンランク上のステップアップを図るプログラムの数々。「プロを目指したい」というサッカー少年・少女の参加をお待ちしています。

≪詳細はこちら≫

About the Author:

hirobrown
創設当初からのJリ−グファンで各種媒体に寄稿する副業サッカーライター。好きなクラブはアーセナル。宇佐美貴史やエジル、杉田亜未など絶滅危惧種となったファンタジスタを愛する。趣味の音楽は演奏も好きだが、CD500枚ほど所持するコレクターでもある。 サッカー歴:中学・高校時代にサッカー部に所属。 中学時は大阪市トレセンに選出される。 その後は競技者としてのサッカーから離れていたが、サッカー観戦は欠かさない 。

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