38歳と3日。
ローマのトッティがチャンピオンズ・リーグで最年長記録のゴールを決めた。
今までの記録保持者はライアン・ギグスであった。
しかしギグスとトッティではCLの出場回数は全く違う。
両者とも移籍の経験がないので、その差はチームの実力になるわけだ。
しかもトッティはキャリアの中でイングランドでの試合で勝ったこともなく、ゴールも決めたことがない。
なので、この記録はベテランといえどもトッティにプレッシャーがあるのかと思った。
しかし実際に決めたゴールはまるで天使の羽根があるかのごとく、
右足のアウトサイドから浮かしたボールが、自身も含めてすべての人をボールウォッチャーにしてしまった。
それほどの美しいゴールであった。
UEFAチャンピオンズ・リーグ14/15、グループE、第2節、マンチェスター・シティ対ASローマ。
昨年のプレミア王者、シティは前節バイエルン相手とはいえ落としてしまっているので
ホームの今回絶対勝たなくてはいけない。
引き分けはありえない。
しかし、得点は4分のマイコンがアグエロに与えてしまったPKだけで
その後シルバやナバスのお膳立てはできるものの、最終ラインをこじ開けられない。
ジェコをランパードに変えたのも意図がわかるようでわからない。
アグエロとヨベチィチの交替も同様だ。
単なる同ポジションの交替では疲れた選手のフレッシュ化にしか見えない。
それはホームのチームが最初の提案でやることではない。
本来なら戦術的な交替が必要なはずだ。
とくにマイコンとコールが効いていたローマの両サイドバックを混乱させる起用が必要だと思った。
ただ戦術論も吹き飛ばすのがトッティのゴールである。
ロマニスタでなくとも、その味のあるゴールには思わず賛辞を送りたくなるような気持ちになる。
トッティの実力なら他のチームへ移籍してCLの優勝を経験することも難しくなかったと思う。
しかしローマ一筋の彼にはCLは身近でなかった。
ところが実績よりもいきなり記録がついた。
そのローマはリーグでも負けなし。
あの中田英寿がいたときのカッペロ時代以来のチャンスが来たのかもしれない。
ローマは一日にして成らず。
トッティにはこの教訓が心にしっかりとしみこんでいるのかもしれない。