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『スタイルとは誰のモノ?』クラブor監督or選手 ~昨季の欧州ビッグクラブ間での監督大移動による解答

 ブラジルW杯での日本代表惨敗により、日本では”自分達のサッカー”を語る事がタブーになるような雰囲気がありますが、冒頭のタイトルに対する疑問や興味はサッカーファンとしては尽きない議論のネタであると思います。

 この解答に当たる例として出したいのが欧州各国リーグ。
 
 特に昨季の欧州の各国トップリーグでは超一流と呼べるクラスのビッグクラブで監督が大移動しました。

 まず欧州王者であり、3冠王者であったバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)にバルセロナ(スペイン)退任から1年の充電期間を経てジョゼップ・グアルディオラが就任したのを筆頭に、レアル・マドリー(スペイン)からジョゼ・モウリーニョがチェルシー(イングランド)へ行き、チェルシーのラファエル・ベニテスはナポリ(イタリア)へ。パリ・サンジェルマン(フランス)からレアル・マドリーへカルロ・アンチェロッティがやって来て、バルセロナにはヘラルド・マルティーノ。マンチェスター・シティ(イングランド)にはマヌエル・ペジェグリー二がマラガ(スペイン)からやって来て、アレックス・ファーガソンが勇退したマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)にはエヴァートン(イングランド)からディビッド・モイーズがやって来るなど、前代未聞の大多数のビッグクラブの監督が玉突き人事によって大移動したのが、僕の中での昨季の欧州各国リーグ最大の注目ポイントでした。

ペップ革命のバイエルン~”継承者の1人”ではなく、”伝道師”として

 その中でも注目されたのは”絶対王者”バイエルンに就任した”ペップ”ことグアルディオラ。バルセロナでの4年間の指揮で14のタイトルを取りながら、タイトルの数以上に美しく完璧なパスサッカーを披露し続け、下部組織から生え抜きの若手選手を積極的に抜擢し続けた手腕が評価されているスタイルに拘る指揮官です。

 彼が異国で違ったサッカー文化と言葉のある国で、しかも前年3冠王者で何を成し遂げても成功とされる事がない状況でどう融合するのか?
 スタイル的に全体制を継続するのか?
 ペップ流のスタイルを注入していくのか?
 はたまたペップが抜けて2年目となるバルセロナはどうなっていくのか?
など疑問と興味は尽きない人事でした。

 結果として、ペップは3冠王者のバイエルンでも自分流のスタイルとまではいかなくてもエッセンスは注入し、明らかにバイエルンのサッカーは”ペップ・バルサ”時代に似た”ペップ・バイエルン”になりました。

 開幕前からドイツ代表でもバイエルンでも主将を担うサイドバックのフィリップ・ラームをボランチにコンバートし、システムもボランチ2人から1人にマイナーチェンジする事でペップ色を出し、【4-1-4-1】システムの最前線にMFを配置するなどはバルセロナ時代そのもの。成績的にも欧州チェンピオンズリーグではベスト4に終わったものの、リーグ戦では史上初の3月の段階で最速優勝を達成し、その時点で無敗。国内カップでも優勝して2冠を達成しました。

 今季は下部組織からの若手抜擢も積極的に施し、ますますペップ色が出ています。

 いずれは「コレがバイエルンのサッカーだ」などと自他共に認めるサッカー哲学を植え付けて定着していくのでしょう。
 
 その中でペップはバルセロナにアヤックス流(オランダ)を持ち込んだ”トータルフットボールの創設者”リヌス・ミケルスとヨハン・クライフと同様に、”伝道師”としてバルセロナ流をバイエルンに持ち込んでいるのでしょう。

「コレがバルセロナのサッカー」と世界中で言われるサッカーはオランダのアヤックスで完成されたサッカーで、育成組織やノウハウもアヤックスから取り入れたモノ。
それをユース出身者がレギュラーに多く定着している現在のバイエルンで指揮を取るペップの選択は似たようなモノを感じさせます。
ペップはバルセロナの歴史においては”継承者の1人”でしたが、バイエルンでは”伝道師”となれる道を選んだ。その選択をサッカーファンとしては嬉しく思います。