Foot ball Drunker 〔116〕visiting 『Štadión Sihoť』トレンチーン / スロバキア

取材したのは2017-18シーズンの終盤4月22日。客席はメインスタンド側のみで収容人員は5000人。印象に残ったのはユニークなまん丸形状の照明と学生らしき誘導·案内等運営スタッフ。高校生年代に見えるが社会奉仕カリキュラムの一環か。カバー写真も含め可憐な御嬢達のショットも散りばめた第116話はシュテディオン·ナ·シホチ。


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プレスホスピタリティの軽食が用意されたバーカウンター。栄光の歴史を彩る勝杯の下に吊るされたワイングラスを眺めていたら女性スタッフが赤ワインを注いでくれた。催促はしていないが、涎を垂らしていたかもしれない。古くから盛んだったワイン醸造も89年の共産党政権の解体を機に復活。スロバキアのワインの高品質と女性の美しさは欧州大国に何ら劣っていないと断言できる。


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注目は中盤の底で舵を取るアシュラ·エル·マハディウィ:Aschraf El Mahdioui【1996年5月生まれ】。

上写真中央のモロッコ系オランダ人はアムステルダム出身。2013年からアヤックが育成。ユースを卒業したマハディウィを待っていたのは2016-17シーズンADOハーグへの移籍。そして10月16日のエールディビジ·デビュー戦の対戦相手はまさかのアヤックスというドラマティックな展開。


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前週の快勝からマハディウィ以外の二人を変えた采配は、果たして吉と出るのか。結果は大凶、前半で2点を失い主導権を握られたまま時計の針だけが進む。注目した中盤がまったくと言っていいほど機能しない。クライフが観ていれば激怒したと思われるほどポジショニングの悪さが目についての敗戦。

さて六年が経過した現在27歳のマハディウィはアル·タアーウンに所属している。今話題のサウジアラビアのクラブ。21年高額の移籍金が前所属のヴィスワ·クラクフの懐に。昨夏は元名古屋のマテウスが加入しておりマハディウィのヒールパスによるアシストは日本でも見事な技巧に注目が集まった。


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一方ASトレンチーンは2月までキプロスでプレーしていたSamir Ben Sallam【2001年6月3日生】を獲得した。まだ出場機会こそないがモロッコ系のミッドフィルダーはマハディウィを想起させる。アムステルダム出身で小学生年代から’17年までアヤックスの下部·育成で磨かれた22歳。
スロバキアの小都市のクラブオーナーを現在も務めているリン氏は古巣アヤックスだけでなく’17年から短期間ながらFCアイントホーフェンのアドバイザーも務めている。

かつてPSV移籍の理由を聞かれたファネンブルグは、「クライフが嫌いだったから」と答えていた。個人的に価値観があわないのは、仕方ないとして当時の構成は大ベテランと
若手のみで、中堅層の橋渡しが抜け落ちていた。
ギリシャではなく、アムステルダムに彼が残っていれば歴史は変わっていたかもしれない。[第116話了]


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