Foot ball Drunker 〔103〕『Stadion im Borussia Park』メンヒェングラートバッハ / ドイツ

久保建英:Takefusa Kubo【2001年6月4日生】は日本時間の今朝、CL決勝トーナメント1回戦でパリサンジェルマン(PSG)と対戦。韓国代表·李康仁:Lee Kang-in【2001年2月19日生】との“親友対決”は流れ、試合も0-2で敗れた。しかし久保個人のパフォーマンスは秀逸。バーレーン戦試合後、強く印象に残ったのは久保のコメント。「球際で今日は負けていなかったからイラク戦とは違ってチャンスの時間が増えた。」
その後のイラン戦、球際でイランに負けていたと挙って報じた日本のメディア。試合後男泣きをしたASローマのストライカーは続くカタール戦でもゴールを決める。しかし開催国の執念が更に上回ったアル·トゥマーマ·スタジアム。

今大会に向けてカタール代表の鬼気迫る様相は想像に容易い。約一年前、自国開催でのFIFAワールド杯では日本·豪州·韓国のAFC圏三か国が決勝トーナメント=ベスト16進出の快挙。南米とアフリカの二地域を上回り、また初戦で優勝国アルゼンチンに唯一黒星をつけたサウジアラビアも大きなインパクトを残せたのだから胸を張っての帰国。

それに比べ大会史上初となる開催国全敗。勝ち点1が遠かったカタールは「所詮オイルマネーでW杯出場を買った中東の小国」として世界に恥を晒す羽目に。屈辱を晴らさねば「末代までの恥」と言ったかどうかはさて置き内容はアジアだろうが二の次。イラン、ヨルダン相手より下回ったポゼッション数値がなりふり構わず結果へ拘ったカタール代表を証明している。

日本代表の森保一:Hajime Moriyasu【1968年8月23日生】監督の心境を斜め読みするならば、アジア杯を逃した悔しさよりも負傷者を出さずに欧州各クラブへ選手達を無事送り返した安堵感が勝っていても何ら不思議ではないし、寧ろそのほうが正常ではなかろうか。


◆◆◆◆◆

日本代表がイランに敗れた同日、ボルシアMGはアウェーでのバイエルン·ミュンヘン戦。アリアンツアリーナには7万5千人の観衆。6月のUEFA欧州選手権開幕戦では同数、更に上回る超満員の観衆で溢れるだろう。試合は先制しながら後半、英代表のエース、ハリー·ケイン:Harry Kane【1993年7月28日生】の逆転ゴールを許した。仮に板倉が出場していれば違った結果になっていたとまでは言わないが、少なくとも日本代表DFが現状で最も高いレベルでの対戦、即ち成長できる機会を逃した。

そのバイエルンとの首位攻防戦を制したのはバイヤーレバークーゼン。人口16万都市のキャパは意外に少なめでバイアレーナは三万人で超満員。シャビ·アロンソ:Xavi Alonso【1981年11月25日生】監督率いるチームが今シーズンのブンデスリーガを大いに盛り上げている。


◆◆◆◆◆

四位のボルシア·ドルトムントはCLでミランに勝利、最終節のPSG戦を引き分けでグループ首位通過。来週はPSVとのアウェー戦を控えており国内以上に欧州でその存在感を発揮している。今季ドルトムントに移籍したベンセバイニはミラン戦、PSG戦ともフル出場。しかしアルジェリア代表守備の柱=センターバックとして期待されたアフリカネイションズ杯はアンゴラ、ブルキナファソ戦と立て続けにイエローを出されてモーリタニア戦はベンチ外に。余りにも呆気ない敗退で早々にドイツへと戻っているのだが、昨年11月から既に始まっているワールド杯予選は連勝好スタートのアルジェリア代表。その他のアフリカ強豪国も6月再開する頃には、アジア同様流石に目の色を変えチューニングして臨むはず。

セリエAで首位を快走するインテルはアトレティコ·マドリーと対戦するCL。昨季のファイナリストは今年こそビッグイヤー獲得するぞとネッラズーリの鼻息も荒い。補強した新戦力で大当たりなのが一年前にボルシアMGからバイエルンに移籍したヤン·ゾマー:Yann Sommer【1988年12月17日生】、その守護神と僅か半年でまた同じ釜(?)のパスタを食う事になったマルクス·テュラム。


◆◆◆◆◆

結びの写真は肩を組むというより、板倉の首に手を回し話しかけるテュラム。一学年上のベンセバイニは10、一つ下のテュラムは14試合経験しているCL。そして今季は両者とも初となるベスト16=未知の世界に足を踏み込む。それに比べて板倉は未だUEFAコンペティションとの縁がない。その資質は’19年にオファーを出したマンチェスター·シティのお墨付き。日本代表がFIFAワールド杯でベスト8以上を目標に掲げるのであれば今、板倉滉に必要なのはアジア王者ではなくUEFAチャンピオンズリーガーの肩書だと思うのだが。
この写真に吹き出しをつけるならば「お前も早くこっちに来い」。ドイツ語ならばCOMEのスペルはKOMMに変わる。


◆◆◆◆◆