両エース不発のスコアレスドローも高槻MF成宮唯が存在感
【なでしこリーグ1部・レギュラーシリーズ第12節】
スぺランツァFC大阪高槻0ー0ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
【得点者】なし
1部リーグ昇格も最下位のスぺランツァ高槻、両ゴール前に代表選出のタレントを抱えるジェフL
台風11号の中で開催されたプレナスなでしこリーグ第11節・INAC神戸レオネッサVSスぺランツァFC大阪高槻を現地観戦してから僅か3日後、筆者も連戦となる第12節は3日前にも観たスぺランツァ高槻がジェフ市原・千葉レディースをホーム開催となる大阪・高槻市立総合スポーツセンター陸上競技場に迎えた一戦に足を運んで来ました。
スぺランツァ高槻は今季からなでしこリーグ1部に再昇格して来たばかり。
しかし、前節まで1勝1分9敗の最下位に沈む苦しい成績。昨季からのなでしこリーグは全10チームで構成されており、ホーム&アウェイの総当たり2回戦で全18節を消化した時点で、「レギュラーシリーズ」を終了。
その時点で上位6チームが優勝を争う【上位リーグ】と、下位4チームによる1部リーグ残留を争う【下位リーグ】に分かれる「エキサイティングシリーズ」となるスプリットシステムを採用していますが、スぺランツァは残り7試合で6位の岡山湯郷Belleとは勝点8差。上位リーグ進出は極めて難しく、現実的には下位リーグで1部残留を目指すチーム作りを再構築中というところ。
【下位リーグ】で最下位になった場合が自動降格、同9位となった場合は2部リーグの2位のチームとのホーム&アウェイによる入れ替え戦行きとなりますが、【下位リーグ】には「レギュラーシリーズ」で獲得した勝点の3分の1しか持ちこさないため、挽回はまだまだ可能です。
そんなスぺランツァにはカナダW杯のメンバーからは外れたものの、なでしこJAPANのスーパーサブとして流れを変える印象的なゴールを決めてきたFW丸山桂里奈が所属。その丸山と共に来月開催される東アジアカップの予備登録メンバーにエントリーされている佐藤楓も台頭中。佐藤は170cmの長身と身体能力を活かして、CFとCBの両方をこなすオールラウンダーとして注目されています。
そして、筆者が注目しているのは背番号7番を着る20歳のMF成宮唯。3日前に観たINAC戦でも鋭いドリブル突破からアシストを記録するなど、彼女の突破力やアイデアはスター軍団のINAC相手にも十分に脅威となっていました。
2011年のU16アジア選手権で優勝した際の主将でもあり、それにより出場権を獲得した翌2012年のU17W杯でも主将を務めてベスト8進出。同代表チームには現在INACで主力に成長したFW増矢理花とDF三宅史織もいて、彼女たちを束ねた成宮のプレーには初めて生で観た筆者にも光るモノを感じさせてくれました。
筆者の中では、この試合を迎える上での【注目選手】となりました。
とは言っても第11節終了現在でチーム総得点が僅か6点という深刻な得点力不足が最下位に沈む理由ですが・・・。
一方、ジェフL(レディース)はカナダW杯に招集され、初戦のスイス戦でのW杯デビュー戦を完封勝利に導いたGK山根恵里奈、第2戦のカメルーンで決勝点を挙げたFW菅澤優衣香という両ゴール前で能力を発揮するタレントを抱え、前節までで強豪の浦和レッズ・レディースと岡山の上を行く4位と好成績を挙げています。
特に昨季のなでしこリーグ得点王であるFW菅澤はチーム総得点15の6割となる9得点を自ら記録して今季も得点ランクトップに立っています。山根もカナダW杯参加24カ国の全エントリーメンバーの中で最長身だった187cmの高さで強さを見せ、ここまでリーグで少ない方から2番目の8失点という堅守の要因を占めています。
スぺランツァはボール奪取からの速攻、ジェフはサイド攻撃で好機演出も崩し切れず
試合の方はオーソドックスな<4-4-2>を布陣を敷くジェフが最終ラインからロングボールを使ってサイドへ展開し、ゴール前で合わせる形を得意とする得点ランクトップのFW菅澤をターゲットにどんどんクロスボールを放り込んで来るのに対して、スぺランツァはINAC戦と同様に<3-4-3>のシステムで入り、守備時には5バック気味にブロックを作るものの、中央の密度を高める事で中盤でのボール奪取からの速攻に冴えを見せました。