Foot ball Drunker 〔115〕visiting 『Niedersachsenstadion』ハノーファー / ドイツ

2003年4月22日の朝7時20分頃、ウットリクスハウゼン近くのA7レーン高速道路でフ仏製コンパクトカーのルノー·クリオを運転していたフレッドは40トンの大型トラックに追突して即死。


◆◆◆◆◆

42歳の若さで他界するのだが、後部座席に同乗していた8歳のルイスは足と頭を負傷したもののフルダの病院に搬送され奇跡的に一命を取りとめる。
このニュースは当時三歳の息子を抱え週末スタジアムに足を運んでいた筆者にとって、あまりにも衝撃的でよく覚えている。


◆◆◆◆◆

そして昨季1FCケルンから父親も所属したハノーファーへと移籍。背番号は父と同じ11。

しかしハノーファーのステファン·ライトル【1977年8月29日生】監督は開幕時の手探りから公式戦の6試合目5節から5バックに固定。右サイドバックの室屋成:Sei Muroya【1994年4月5日生】と、左サイドバックが本職のハンブルガーユース出身デリック·ケーン:Derrick Köhn【1999年2月4日生】を起用し、相手や状況によって高さを調整する陣形を採用。ポジション争いどころか、ルイスの入る場所すら存在しない。


◆◆◆◆◆
転機は’17年生まれの長男に続き、ヴェレナ夫人が長女を出産。テストマッチでは1G1Aと好調をアピールした2児の父ルイス。
2月26日の22節マクデブルク戦に途中出場、遅ればせながらシーズン初得点。4月1日24節ハンザ·ロストック戦では4-2-3-1の中央に。ちなみに室屋も右サイドバックでスタメン。26節SVザントハウゼン戦でゴールを決めるとアルミニア·ビーレフェルト戦以降ツートップの後方、ルイスをトップ下で固定。結果六試合で3G4Aの数字を叩き出す驚異のラストスパート。

ライトル監督の信頼を勝ち取った今季、先週末FCマクデブルク戦でベンチから立つ機会がなかったのは二度目。27節を消化時点でスタメン18途中出場5で計23試合の出場。2G4Aは少々物足りないが五位の好成績を維持するハノーファーへの貢献度は高い。20代最後のシーズンを迎えるルイスが最後にナショナルチームに呼ばれたのは二年前のカタール大会予選。
ルイス·シャウブの代表復活は近い将来充分有り得る。なぜならば彼は奇跡の人なのだから。[第115話了]


◆◆◆◆

⏹️写真/テキスト:横澤悦孝 ⏹️モデル:有坂かずさ