Foot ball Drunker 〔49〕visiting 『Stade de Letzigrund』チェーリッヒ/スイス

ユーロ08開催前のチューリッヒ なぜ自分が豚だと気づかず真珠を奪うのか

◇◇◇◇◇

2008年はオーストリアとスイス共催による13回目のUEFA欧州選手権=通称ユーロ2008。開幕直前に降り立ったチューリッヒ国際空港をカメラに収めた。振る舞い酒ならぬスポンサー企業の振る舞いコーラが配られお祭りムードを高めていたのを覚えている。

当時は、欧州にいても仕事に追われ、試合観戦にまで頭が回らず心と時間のゆとりもなかった。チューリッヒでの2試合が組まれたフランス代表が真逆のグループ最下位。


◆◆◆◆◆

チューリッヒ『ビュールレ·コレクション』の印象派油彩計4点が銃を持った覆面の一味に強奪されたのが、この年の2月10日。被害総額は当時の為替レートで約175億円。スイスでは過去最大、欧州でも最大級に違いないのだが、前週にもパブロ·ピカソ:Pablo Picasso【1881年10月25日生-1973年4月8日没】の作品点が盗まれたばかりで美術館と外国人居住者の多いスイスならではといったところ。この手の犯人は素人のあんぽんたんだから、芸術品を換金できず、ポイ捨てされていて、見つかるか廃棄されるかがお決まりのパターン。豚の首に真珠の首輪をつけて何がしたいのか。

A-10-0)b
◆◆◆◆◆

もっともビュールレ:Emil Bührle【1890年8月31日生-1956年11月26日没】もナチスに武器を売って財を築いた阿漕な死の商人。ナチスが略奪した美術品を収集したコレクションは如何なものかと。そしてこの二週間後、175億円よりも筆者を驚かせる重大なニュースが。ユーロ2008閉幕後オランダ代表監督のマルコ·ファン·バステン:Marco van Basten【1964年10月31日生】
が、な、なんとアヤックスに復帰することに。本題から逸れるのでこの話題は次回に。


◆◆◆◆

第49話はレッツィグルンド:Letzigrundシュタディオン。旧スタジアムの老朽化により2006年から取り壊しにかかる。同国一の建設業者が記録的な速さで新スタジアムを完成させたのは2007年8月30日。総工費はすべて市が負担···する公立競技場。2004年のコンペで採用されたのはベトリクス&コンソラシオ:Bétrix & Consolascioとフライ&エーレンスペルガー:Frei & Ehrensperger。
7年ぶりとなる2015年のチューリッヒ訪問。試合がなくてもこのスタジアムだけは見ておきたい。
バースデーケーキの愛称をつけられたのは蝋燭を思わせる31本の照明塔。同じく31対の柱が楕円形の屋根を支ええているが、低めに設定されておりスタンドの上に浮いているイメージ。外壁の錆具合が絶妙で、コールテン鋼(耐候性鋼)にLetzigrundの文字が浮き出る。隣のビール缶に意味はない。